6万部突破で話題のベストセラー『会話の0.2秒を言語学する』の印税100万円を、著者の水野太貴さんが寄付しました!!
株式会社新潮社

会話で相手に返事をす るまで0.2秒。その間に起きている奇跡を伝える大興奮の一冊。YouTube登録者数44万人超の「ゆる言語学ラジオ」スピーカーでもある著者が、重版の印税100万円を、「言語学の未来を担う学徒の一助としてほしい」と印税分100万円を寄付する先について募集しました。100件近い応募の中から、言語学専攻の大学院生に、この度贈呈いたしました。その模様をご紹介します!
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12月14日(日)、「ゆる言語学ラジオ」の収録を普段行っている、池袋の「ゆる学徒カフェ」にて贈呈式が行われました。
当選された大塚日花里(おおつか・ひかり)さんは、現在、宇都宮大学の大学院に在学中。指導教員の木村崇是先生もご同席くださる中、「¥1000000」と書かれた金の延べ棒パネルを、お花と合わせて著者の水野太貴さんより贈呈いたしました。
※実際の100万円は、振り込みにてお渡しする予定です。
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(C)新潮社
贈呈に際して、『会話の0.2秒を言語学する』が読まれている理由、寄付を考えた背景や今後について著者の水野さんにお話を伺いました。
『会話の0.2秒を言語学する』は、現在、電子を合わせて累計発行部数が6万部を突破しました。本書の終章では、現代日本のコミュニケーションの相対化を試みています。具体的には、応答の速さ、流暢さが重視される風潮を批判しているのですが、刊行後、特に速さや流暢さに適応できていない当事者の方から「よくぞ言ってくれた」という声をいただきます。これはひとえに、まだまだ現代の会話はマイノリティに対して厳しい構造になっていることを示していると思います。
「言語化」が過剰に持ち上げられる今こそ、ぜひ読んでいただきたい本です。
寄付をすることにしたのは、大学の言語学の研究者の方たちに、言語学を学ぶ人を増やすためにはどうしたらいいかと質問をしたら、「現代は、実家が太くないと学問ができない時代ですよ」と生々しいお返事があったことからです。大学院生の時は特にお金がなく、博士課程にいるのは実家が裕福か、実家暮らしの人しかいないというのです。自分がこうして学べてきたのは、自分の能力だけではないことはわかっているので、何か還元したいと思っていました。とは言っても、薄く広く還元しても意味がないので、一人の人に手厚く、100万円を差し上げて自由に使ってもらいたいと考えました。
「100万円」という金額にはあまり確たる理由はなく、正直この本はめっちゃスベる可能性もあると思っていたので、「スベって初版から重版しなくても赤字にならなくて(今思うと税金含めたら赤字リスクもありましたが)、かつキリのいい額」というので100万円としました。
応募理由など100人分くらいを丁寧に読ませていただいたのですが、その中でも一枠しか選べないということなので、最後は私の直感で選びました。その直感を細かく分けると、
・境遇面
・言語学に対する熱意
・研究者としてのポテンシャル
を勘案した、という形になります。
・ご家庭がアカデミズムに対する強い理解があるわけではなく、大学での学究にお金をガンガン出してくれるわけではない
・コロナ禍によって、進学したい大学に行けず、地元の大学に進学することになった。ところが言語学への熱が冷めやらず、大学図書館に通って、限られた言語学系の図書を読み漁った
・発足したての木村ゼミで「国際学会への参加および発表」いう目標を立て、それを叶えている
・周囲の研究者からも、その実力や熱意、ポテンシャルが高く評価されている(これは当選後に知ったことですが)
という事情を知って、「俺はこういう人を支援するために金を儲けているんだ!!」と強く感じた、というのが一番の理由です。応募を一人ずつ見て行って、支援したい人はいっぱいいましたが、枠が一つということもあり、一番を決めるのは全然迷いませんでした。
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以下の記事と動画で詳述しています。
▶記事:
https://note.com/yurugengo/n/nce0b122a7de5
[動画:
https://www.youtube.com/watch?v=Wv3K9X5vWc0 ]
続いて、大塚さんからもコメントをいただきました。
「水野さんからメールでお知らせいただいた時は本当に驚きました。木村先生とは募集自体は話していたものの応募については話していなかったので、驚かれました。でも一番喜んでくださったように思います。
100万円をどう使うか、まだ決めてはいませんが、円高や物価高で、国際学会に参加する金銭的な負担が非常に重くなっているので、それに使いたいと考えています。近いところでも海外で大きな学会があり、参加できることになったらそこでになるかもしれません」と嬉しそうに話してくださっていました。
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(C)新潮社
宇都宮大学大学院 地域創生科学研究科 博士前期(修士)課程1年
3年次編入で宇都宮大学に進学し、第二言語習得(SLA)ゼミに所属。日本語を母語とする英語学習者の複数形習得に関心を持ち、卒業論文では「日本語を母語とする英語学習者による物体不可算名詞の誤りとその原因」を執筆した。修士論文でも同様のテーマについて研究を進めている。
「言語学の研究者にならなくては、など負担に思わなくて良いので、自由に使ってください。海外で美味しいものを食べるだけでもいいんです!」と水野さん。
今後については、「ありがたいことに『会話の0.2秒を言語学する』は、僕の想像を超えるほど多くの方に届いています。つまり印税もそこそこもらえています。
今回の選考はひとりに絞りましたが、ゆる言語学ラジオの活動を続ける中で、法人さんとの接点も増えました。そこで、次は企業を巻き込みながら、言語学を志す学生さんへの奨学金の枠を増設したいと考えています。
具体的には、拙著が10万部を突破したタイミングで、私の方からも数枠、奨学金の枠を設けつつ、この活動や理念に共感してくださる企業さんにもスポンサーとして、奨学金を拠出いただけないか交渉したいと思っています」とまだまだ言語学を伝える気持ちは実を結んでいきそうだ。
本書「まえがき」全文・第一章冒頭を公開しております。ぜひご一読ください。
まえがき
日々繰り広げられる、0・1秒単位の競争
2009年8月、ドイツ・ベルリン。アメリカの陸上選手であるタイソン・ゲイは唇を嚙んだ。世界陸上の男子100メートル走決勝、彼が出したタイムは9・71秒。銀メダルだった。表彰台の横に立つのはジャマイカのウサイン・ボルト。今も破られぬ9・58秒という世界新記録を叩き出した男だ。その差はわずか130ミリ秒。
この130ミリ秒――つまり0・13秒という数字をあなたはどう思うだろうか。きっと、極めて短い時間だと感じる人が多いだろう。
しかし見方を変えると、あなたも毎日のように、1秒以下のわずかな時間で競争を繰り広げている。それが、会話だ。
会話では、一人の話者が話し、それが終わると別の人が話し始める。話者が交替するまでの発話を「ターン」といい、話者の交替を「ターンテイキング」というが、イギリスの言語学者であるスティーヴン・C・レヴィンソンらの研究によると、ターンテイキングには平均して200ミリ秒――つまり0・2秒しかかからないという。タイソン・ゲイが涙を呑んだ130ミリ秒とさほど変わらない、極めて短い時間である。
別の研究では、10の言語で「はい/いいえ」で答えられる質問文を与え、応答に要する時間を調べた。各言語の所要時間の中央値は0ミリ秒から300ミリ秒だったそうだ。やはり1秒どころか、500ミリ秒もかかっていない。僕たちは会話において、100ミリ秒単位の世界で高度な駆け引きを行なっているのである。 <続きは下記ボタンをチェック!>
【試し読み】続きはこちら
会話で相手と交替するまで平均0.2秒。この一瞬にどんな高度な駆け引きや奇跡が起きているのか――言語学の歴史を大づかみに振り返りつつ、「食べログ」レビューからお笑いに日銀総裁の会見、人気漫画まで俎上に載せ、日々の言語学をわかりやすく伝える、待望の書き下ろし。なぜうまく話せないのか。悩んでしまうあなたの必読書!
まえがき
第一章 コミュニケーション上手になるための「語用論」
第二章 ことばには"奥行き"がある
第三章 あなたは「ネコ」の意味さえ説明できない
第四章 言語化の隠れた立役者たち
終章 世界は広い! 驚きのコミュニケーション
あとがき
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(C)新潮社
1995年生まれ。愛知県出身。名古屋大学文学部卒。専攻は言語学。出版社で編集者として勤務するかたわら、YouTube、Podcastチャンネル「ゆる言語学ラジオ」で話し手を務める。同チャンネルのYouTube登録者数は43万人超。著書に『復刻版 言語オタクが友だちに700日間語り続けて引きずり込んだ言語沼』(バリューブックス・パブリッシング)、『きょう、ゴリラをうえたよ 愉快で深いこどものいいまちがい集』(KADOKAWA)がある。
【タイトル】会話の0.2秒を言語学する
【著者名】水野太貴
【発売日】8月27日
【造本】四六版
【定価】1,760円(税込)
【ISBN】978-4-10-356431-7
【URL】
https://www.shinchosha.co.jp/book/356431/プレスリリース提供:PR TIMES




記事提供:PRTimes