食料危機に関する2026年版最新報告書 食料不安・栄養不良は深刻 資金が2016年の水準に減少する中 急性飢餓は過去10年で倍増 【プレスリリース】
公益財団法人日本ユニセフ協会

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カッサラ州で行われたユニセフ支援の戸別訪問による栄養キャンペーンで、上腕計測メジャーを使った栄養検査を受ける子ども(スーダン、2024年12月20日撮影)(C) UNICEF/UNI707456/Saif
【2026年4月24日 ジュネーブ/ニューヨーク/その他 発】
ユニセフ(国連児童基金)をはじめとする国際機関や政府機関などの国際的な枠組み「食料危機に対するグローバルネットワーク(the Global Network Against Food Crises、GNAFC)」は本日、「食料危機に関するグローバル報告書(the Global Report on Food Crises、GRFC)2026」を発表。報告書によると、急性食料不安と急性栄養不良は依然として憂慮すべき水準にあり、しかも根深い問題となっています。また、危機は特定の国々にますます集中しています。今回で第10版となる本報告書は、過去10年間で急性飢餓が倍増し、昨年は報告書の発行史上初めて2件の飢きんが宣言されたと指摘しています。
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GNAFCによる本報告書は、急性食料不安が依然として特定の国々に集中していることを明らかにしています。急性飢餓に直面している全人口の3分の2が、アフガニスタン、バングラデシュ、コンゴ民主共和国、ミャンマー、ナイジェリア、パキスタン、南スーダン、スーダン、シリア、イエメンの10カ国に集中しています。アフガニスタン、南スーダン、スーダン、イエメンは、「高い水準の急性食料不安(high levels of acute food insecurity)」に直面している人々の割合と絶対数の両面で、最大の食料危機に見舞われました。
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カブールにあるユニセフ支援のデイケアセンターで、重度の栄養不良と診断された生後8カ月のバフラムちゃん。すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を提供され、回復に向かっている(アフガニスタン、2025年10月23日撮影)(C) UNICEF/UNI885822/Karimi
最も深刻な状況として、2025年には「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」により、ガザ地区(ガザ県)およびスーダンの一部地域で飢きんが確認されました。GRFCの報告が始まって以来、同じ年に2つの異なる地域で飢きんが確認されたのは今回が初めてです。こうした事態は、主に紛争や人道アクセスの制限によって引き起こされ、強制的な避難によってさらに悪化した、最も深刻なレベルの飢餓と栄養不良が急速に進んでいることを示しています。
2025年には、47の国・地域において計2億6,600万人が高い水準の急性食料不安に直面し、これは分析対象人口の約23%に相当します。この割合は2024年よりわずかに上回り、2016年のほぼ2倍となっています。2025年の急性食料不安は記録上2番目に深刻な水準となり、極度の飢餓に直面する人々の割合は過去20年間で特に高い水準にあり続けています。「壊滅的な飢餓(飢きん)」(IPCフェーズ5)に直面する人々の数は、2016年の9倍に達しています。
同時に、急性栄養不良も依然として深刻かつ増大する懸念事項となっています。2025年だけでも、3,550万人の子どもが急性栄養不良に陥り、そのうち1,000万人近くが重度の急性栄養不良に苦しんでいます。食料危機が生じている地域のほぼ半数が、栄養危機にも直面しています。これは不十分な食事、疾病の広がり、および不可欠なサービスの崩壊が重なって作用していることを反映しています。ガザ、ミャンマー、南スーダン、スーダンなど、最も深刻な状況下にある国々では、こうした複合的なショックにより、重度の栄養不良が生じ、死亡リスクが高まっています。
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仮設テントや損傷した建物での過酷な生活を強いられるガザで、子どもたちは栄養不良の危機にさらされている(パレスチナ、2025年11月14日撮影)(C) UNICEF/UNI901421/Nateel
加えて、強制的な避難が食料不安をさらに悪化させ続けています。2025年には、食料危機にある地域全体で、国内避難民、庇護希望者、難民を含む8,500万人以上が避難を余儀なくされました。こうした人々は、受け入れ側のコミュニティの人々と比べ、一貫してより深刻なレベルの急性食料不安に直面しています。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は本報告書の序文で次のように述べています。「紛争は依然として、世界中の何百万人もの人々にとって、急性食料不安と急性栄養不良の主な要因であり、同じ年に、紛争の影響を受けた2つの地域で、紛れもない飢きんが発生したことは、前例のない事態です。本報告書は、世界のリーダーたちに対し、命を守る支援への投資を迅速に拡大するための政治的意志を固め、多くの人々に甚大な苦しみをもたらしている紛争の終結に取り組むよう強く求める行動への呼び掛けなのです」。
2026年の見通しは依然として厳しい
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地震の被害が大きかったマンダレーで、すぐに食べられる栄養治療食(RUTF)を食べさせてもらう2歳のシン・ミン・エイちゃん。地震後、栄養不良に陥ったが、ユニセフの支援で少しずつ回復している(ミャンマー、2025年9月22日撮影) (C) UNICEF/UNI869121/Htet
報告書は、2026年も複数の国や地域において深刻なレベルの急性食料不安が重大な問題であり続けると警鐘を鳴らしています。紛争の長期化、気候変動、そして食料市場へのリスクを含む世界経済の不確実性により、多くの国々で食料をめぐる状況が変わらないか、あるいはいっそう悪化する可能性が高いとしています。
特に、現時点では全面的な評価を行うには時期尚早ではあるものの、中東における紛争の激化は、すでに何百万人もの強制避難民や帰還民を受け入れている地域において、さらなる避難を引き起こしているだけでなく、食料危機下にある国や地域に対し、世界の農産食品市場の混乱による直接的および間接的なリスクをもたらしています。
中東地域の食料輸入への依存度を鑑みれば、食料安全保障への直接的な影響は主に地域内にとどまるものの、エネルギー価格や物流コストの上昇に伴い、すでに脆弱な状況にあるコミュニティの購買力に即時的な影響が及んでいます。同時に、湾岸諸国はエネルギーおよび肥料の主要輸出国であり、輸送の混乱が続けば、世界の農産食品市場全体に波及するリスクが生じる恐れがあると、報告書は警鐘を鳴らしています。
資金拠出の減少が対応能力を脅かす
今年の報告書で強調されている大きな懸念は、食料危機に対する人道支援と開発援助資金の急激な減少です。食料危機に対応する、また食料安全保障・栄養を支援するための資金は、約10年前に見られた水準にまで後退しており、各国政府や人道支援の担い手たちが効果的に活動する能力を制限しています。データ収集にも影響が出ており、信頼性が高く詳細な食料安全保障・栄養に関する推計値を算出できる国の数が減少しています。
深刻なデータ不足
高い水準の急性食料不安に直面する人々の数が減少しているように見えるのは、実際に改善したのではなく、利用できるデータが少なくなってきていることを反映したものです。2026年のGRFCでは、技術的要件を満たすデータを有する国の数が過去10年間で最も少なくなっています。2025年には、18の国と地域で比較可能なデータが不足しており、その中にはブルキナファソ、コンゴ共和国、エチオピアといった大きな危機に直面している国々も含まれています。これら3カ国だけで、2024年に緊急支援を必要とする急性食料不安に直面する人々の数は2,700万人を超えていました。これは、本報告書で詳述されている急性食料不安に直面する人々の総数にも反映されています。この数値は昨年の報告書よりも低いものの、必ずしも食料安全保障の状況が改善したことを示しているわけではなく、むしろ信頼できるデータが欠如しているか入手できないことを反映しています。
行動への呼び掛け
GNAFCは、食料・栄養危機がもはや一時的な出来事ではなく、長期化し、その発生が予測できるものとなり、しかも紛争や危機が慢性化している地域にますます集中している、と強調しています。
これらの課題に対処するには、人道支援のニーズを減らし、レジリエンスを構築し、根本原因を解決するための、持続的かつ協調的な行動を強化する必要があります。各国政府、ドナー、国際金融機関、およびパートナーは、農業・食料システムの強靭化、気候変動への適応、農村部の生計手段、そして包摂的な経済機会への投資を拡大し、早期警戒システムを強化し、先を見越した行動を可能にする必要があります。飢きんを含む最も深刻な事態を防ぐためには、安全な人道アクセスを確保し、国際人道法を遵守し、紛争に起因する飢きんに対処するための政治的コミットメントを強化することも欠かせません。
ユニセフ事務局長のキャサリン・ラッセルは次のように述べています。「飢餓の瀬戸際に置かれている子どもが何百万人もいることは、世界に対する警鐘とならなければなりません。2025年には、23カ国で3,500万人以上の子どもが依然として急性栄養不良の状態にあり、そのうち1,000万人近くが重度の消耗症でした。これは食料の不足の問題ではありません。世界中の子どもが、生存と成長のために不可欠な基本的な栄養、安全な水、そして必須のサービスを、確実に利用できるようにするための政治的意志が欠如していることが問題なのです。豊かな世界において、栄養不良のために子どもが苦しんだり命を落としたりする理由はどこにもありません」。
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■ 注記
「高い水準の急性食料不安(high levels of acute food insecurity)」とは、総合的食料安全保障レベル分類(IPC)/Cadre Harmonise(CH)のフェーズ3以上、または本報告書に記載されたIPC/CHおよびその他の急性食料不安データソースから導き出された同等の急性食料不安の水準を指します。この水準の急性食料不安に直面している人々は、緊急の支援を必要としています。
■ 「食料危機に関するグローバル報告書(GRFC)2026」(英語)はこちらのリンクからダウンロードしていただけます。
https://openknowledge.fao.org/bitstreams/86067cbb-9396-4e7d-8d19-e60ad00d2f73/download
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■ ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在約190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念をさまざまな形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています。
https://www.unicef.org ※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する32の国と地域を含みます
■ 日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、32の先進国・地域にあるユニセフ国内委員会の一つで、日本国内において民間で唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、アドボカシーを担っています。
https://www.unicef.or.jp プレスリリース提供:PR TIMES



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