VIEと大正製薬、音響刺激により食欲抑制の可能性を示す研究成果を発表
VIE株式会社

特定の周波数設計の音響刺激による食欲をコントロールする新たなアプローチを提示
次世代型ウェアラブル脳波計の開発とニューロテクノロジーの社会実装を行うVIE株式会社(本社:神奈川県鎌倉市、代表取締役:今村 泰彦、以下、VIE(ヴィー))と大正製薬株式会社(本社:東京都豊島区、代表取締役:上原 茂)は、脳波(EEG)に基づいて設計された音響刺激によって、主観的な空腹感や食欲を抑制できる可能性を示した研究成果をFrontiers in Human Neuroscienceにて発表しました。
本研究では、満腹時に特徴的に現れる脳波パターンを特定し、その脳波状態を誘導する音響刺激を設計・提示することで、食事を摂らずとも満腹に近い状態を誘導できるかを検証しました。その結果、特定の周波数帯(β/γ帯)を含む音楽を聴取することで、空腹時の食欲が一時的に抑制されることが確認されました。
論文情報:Chang Ming / Modulating satiety with neuro-music: a frequency-specific acoustic approach to appetite control
https://www.frontiersin.org/journals/human-neuroscience/articles/10.3389/fnhum.2026.1796514/full
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世界的に肥満や過体重の増加が深刻な課題となっており、食事量の調整や体重管理の重要性が高まっています。しかし、カロリー制限や運動といった従来のアプローチは、主観的な「空腹感」や「まだ満たされていない感覚」によって継続が難しく、過食やリバウンドの要因となることが指摘されています(Blundell, 2010; Rolls, 2007)。
近年では、こうした食欲の問題に対して、単なる摂取量の制御だけでなく、脳内の状態や主観的な満腹感に着目した研究が進んでいます。
特に、満腹時には脳内で特有の神経活動が生じることが知られており、β波やγ波といった高周波の脳波活動の増加が、満足感や報酬処理と関連する可能性が示唆されています(Engel & Fries, 2010; Buzsaki & Wang, 2012)。また、空腹時には食べ物への注意や欲求が高まり、行動レベルでも食物刺激に対する反応が強くなることが報告されています(Goldstone et al., 2009; Nijs et al., 2010)。しかし、これらは主に現象の観察に留まっており、その知見を食欲抑制の技術として応用する試みは十分ではありませんでした。
こうした背景を踏まえ、本研究では、食前・食後の比較から得られたデータに基づき、満腹状態を象徴する固有の脳波パターンを精密に特定しました。 さらに、その神経活動を外部から誘導するための音響刺激を開発しました。 食事を伴わずに「満腹に近い脳状態」を誘導できるかという仮説のもと、新たな食欲コントロール手法の可能性を検証しました。
本研究は、1.満腹時に特徴的な脳波パターンの特定と、2.それを誘導する音響刺激の効果検証の2段階で構成されています。
◆実験1.:満腹時の脳波パターンの特定
まず実験1.では、健常成人22名を対象に、食前と食後の状態における脳活動および行動の違いを比較しました。
脳波計測では、安静時のEEGを記録するとともに、食べ物画像と非食物画像を提示し、画面に表示された画像に対する反応速度から、食べ物への注意の向きやすさを測る「Food Probe Task(食物注意課題)」を実施しました。この課題により、食べ物に対する注意の偏り(attentional bias)を定量的に評価しました。
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空腹状態と満腹状態における脳波活動の変化量(効果量)(図1)
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空腹・満腹状態における食物への反応時間の違い(図2)
その結果、6チャンネルの脳波を用いた安静時脳波測定において、空腹時(食事前)と比べて満腹時(食事後)にはβ波およびγ波を中心とした高周波帯域の脳活動が有意に高まることが分かりました(図1)。一方、空腹時には食物刺激に対する反応が速くなるなど、食べ物への注意が強まることが確認されました(図2)。これにより、満腹状態では脳活動の変化とともに、食物への注意や行動特性も変化することが明らかになりました。
◆実験2.:音響刺激による食欲への影響
実験1.の結果をもとに、満腹時に特徴的な脳波(特にβ/γ帯)に対応する周波数成分を音楽に組み込み、脳活動への影響を意図した音響刺激を開発しました。
実験2.では、約600名の参加者を対象に、空腹時および軽食後の状態で音楽を聴取させ、主観的な空腹感や食欲の変化を評価しました。音楽は、β/γ帯の周波数成分を含む音響刺激、α帯の周波数成分を含む音響刺激、control音楽の3条件で比較されました。
◆音響刺激による食欲抑制の持続的効果
食前(Pre-dining条件)においては、いずれの音楽条件においても、聴取直後に「現在の空腹感」および「すぐに食べたいという欲求」が有意に低下し、「満腹感」は有意に上昇しました。これらの変化は音楽の種類に依存せず共通して観察されており、音楽聴取そのものによる一時的な心理的影響が示唆されました。
一方で、聴取30分後の時点では、β/γ帯の周波数成分を含む音響刺激においてのみ、control音楽と比較して「空腹感」および「食欲」の低下が有意に持続することが確認されました(図3A-C)。
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音響刺激による食欲抑制効果の持続性(図3)
具体的には、「現在の空腹感」および「すぐに食べたいという欲求」において、control音楽よりも有意に低い値を示し、短時間の音響刺激であっても一定時間持続する食欲抑制効果が認められました。一方、60分後には条件間の差は見られず、効果は時間とともに減衰することが示されました(図3A,C)。
軽食後(Post-snack条件)では、音楽聴取による食欲の変化は一部見られたものの、音楽の種類による有意な差は確認されませんでした(図3D-F)。
このことから、本手法は空腹状態において特に効果を発揮する「状態依存的な特性」を持つことが示されました。
論文情報:Chang Ming / Modulating satiety with neuro-music: a frequency-specific acoustic approach to appetite control
https://www.frontiersin.org/journals/human-neuroscience/articles/10.3389/fnhum.2026.1796514/full
VIE株式会社は、最先端技術であるニューロテクノロジーを掛け合わせ、新たな可能性を追求しています。研究企画から共同研究開発、サービス開発、事業実装まで、多岐にわたるフェーズやテーマでの共同研究を歓迎しておりますので気軽にお声がけください。
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これまで製薬会社や大学研究機関、企業との連携を通じ、ウェアラブル脳波計やニューロテクノロジーを活用したサービスの開発を推進してきました。特に日常生活で簡易にEEG(脳波)を測定できる技術を実現し、感性の可視化を支援する製品や技術を展開しています。さらにリアルタイムで取得した脳波データにアクセス可能なデスクトップ版脳波解析アプリ「VIE Streamer」を提供しており、研究開発部門や大学研究機関、病院などで広く利用されています。
2024年3月には、製薬会社や事業会社などからシリーズA1ラウンドで3.05億円を調達し、研究開発および事業開発のさらなる推進に取り組んでいます。今後も、ニューロテクノロジーの普及と、ウェルビーイングや医療分野への貢献を一層進めてまいります。
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- 会社名:VIE株式会社- 代表取締役:今村 泰彦- 所在地:神奈川県鎌倉市大町1-9-22- URL:
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