近くで撮影したイマーシブビデオは、演者をより身近に感じさせることを心理実験により確認
株式会社MESON

MESONと博報堂DYホールディングス、Apple Vision Proを用いて「その場にいる感覚」および「演者との心理的な近さ」に与える影響を実験的に検証し、プレプリント論文として公開
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株式会社MESON (東京都中央区、代表取締役社長:小林佑樹、読み:メザン、以下MESON)は、株式会社博報堂DYホールディングス(東京都港区、代表取締役社長:西山泰央、以下 博報堂DYホールディングス)の研究開発部門であるマーケティング・テクノロジー・センター(以下 MTC)との共同研究において、180° Immersive Video (以下、イマーシブビデオ) における撮影距離が、体験者の「その場にいる感覚」と、コンテンツ内の演者への心理的な近さに与える影響を検討する心理実験を実施しました。
本研究では、STU48によるライブパフォーマンスをイマーシブビデオとして撮影し、演者に近い距離から撮影した映像と、離れた距離から撮影した映像の2つの体験を比較しました。その結果、近い距離から撮影した映像では、体験者が「あたかもその場にいる」と感じやすくなり、コンテンツ内の演者との心理的な距離感が縮まることが示されました。
この結果は、イマーシブビデオにおける撮影距離が、単なる画角や被写体の大きさの違いではなく、体験設計における心理的・情動的側面に影響を及ぼし得る重要な設計変数であることを示唆するものです。
▼1:イマーシブビデオでは、撮影距離が「見る位置」ではなく「体験する位置」になる
通常の映像では、カメラを近づけることは、被写体を大きく映すための演出として捉えられます。一方、Apple Vision Proなどのヘッドマウントディスプレイで体験するイマーシブビデオでは、カメラの位置が体験者自身の視点位置として感じられます。そのため、撮影距離は「対象をどう見せるか」だけでなく、「体験者が対象に対してどの距離にいるように感じるか」を左右します。
▼2:近い距離で撮影した映像では、「その場にいる」感覚が高まった
演者に近い距離から撮影した映像では、離れた距離から撮影した映像に比べて、体験者が「映像空間を自分がいる場所として感じる感覚」のスコアが高まり、その感覚に関連する複数の下位指標でも、有意に高い値を示しました。
▼3:演者との心理的な近さも、近い距離で撮影した映像では大きく上昇した
体験前の演者に対する心理的な近さのスコアを基準として、体験後の変化量を比較したところ、高プレゼンス条件の体験後は、低プレゼンス条件の体験後よりも、演者との心理的な近さが有意に大きく上昇しました。このことは、イマーシブビデオにおける撮影距離の設計が、心理的・情動的側面に影響し得ることを示唆します。
XR、とりわけイマーシブビデオは、従来の2D平面映像とは異なり、体験者が映像内の空間に入り込んだように感じられるメディア形式です。ヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)を介して体験することで、視聴者は画面の外から映像を見るのではなく、映像空間の中に自分の視点が置かれているように感じます。
こうした体験を理解するうえで重要な概念が、プレゼンスです。プレゼンスとは、体験者が映像によって提示される空間に自らが「そこにいる」と感じる主観的な感覚を指します。とりわけイマーシブビデオでは、カメラの位置が体験者自身の視点として経験されやすいため、撮影距離はプレゼンスの形成に関わります。すなわち、対象をどの程度近く、あるいは遠くに感じるかという空間的な経験にも影響を及ぼすと考えられます。
一方で、イマーシブビデオによるプレゼンスが、コンテンツの演者への心理的な近さに影響を及ぼすのかについては、まだ十分に検証されていません。特に、ライブパフォーマンスのような人物中心のコンテンツでは、視聴者が演者をどれほど近く感じるかが、エンゲージメントに関わる重要な要素になると考えられます。
そこで本研究では、撮影距離の違いが、体験者のプレゼンスと演者への心理的な近さに与える影響を検証しました。撮影距離の異なるイマーシブビデオを制作し、HMDを用いた心理実験を実施しました。
なお、撮影および収音は、株式会社コンセントおよび株式会社CRAZY TV クリエイティブの協力のもと実施しました。
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▼実験条件
本研究では、STU48に撮影協力をいただき、4期研究生による「出航」ライブパフォーマンスを対象に、撮影距離の異なる2種類のイマーシブビデオを制作しました。近距離撮影映像 (高プレゼンス条件;センターポジションの演者から1,200 mm) と遠距離撮影映像 (低プレゼンス条件;センターポジションの演者から7,600 mm) では、同一楽曲・同一演者・同一振付・同一会場を用い、主な違いは撮影カメラの位置だけとなるように設計しています。
実験には、STU48に関心を持つ24名が参加しました。参加者は、近距離撮影映像条件と遠距離撮影映像条件の両条件の映像をApple Vision Proで体験し、体験前後の演者への心理的な近さや、プレゼンスに関する評価を行いました。映像の体験順序は参加者間でカウンターバランスを取っています。
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▼演者に近い距離から撮影した映像では、プレゼンスが高まった
高プレゼンス条件では、低プレゼンス条件と比較して、「映像空間内に自分がいる感覚」のプレゼンスに関するスコアが有意に高まりました。
この結果は、イマーシブビデオでは、撮影距離の違いが単なる見え方の違いではなく、体験者が映像空間のどこにいるように感じるかに影響することを示しています。
▼高プレゼンス映像は、コンテンツ内の演者との心理的な近さを高めた
本研究では、コンテンツの演者との心理的な近さを、IOS尺度という方法で測定しました。IOS尺度は、自分と相手の関係を「2つの円の重なり具合」で示す回答形式で、円の重なりが大きいほど、相手が自分にどの程度近い存在として位置付けられているかを測定する尺度です。
体験前の演者に対する心理的な近さ (ベースライン) を差し引いた上で、体験後の心理的な近さのスコアを算出すると、高プレゼンス映像を体験した後は、低プレゼンス映像を体験した後よりも、コンテンツ内の演者との心理的な近さが大きく上昇しました。これは、高プレゼンスなイマーシブビデオ体験が、演者をより身近な存在として感じる心理的変化と結び付く可能性を示唆しています。
今回の研究成果を踏まえ、MESONと博報堂DYホールディングスは、イマーシブビデオやXRを活用し、新たな顧客体験の価値を高める方法をさらに探究してまいります。
物理的に現地へ足を運ばなくても、コンテンツや演者を身近に感じられる体験は、ライブエンターテインメント、スポーツ、観光、展示、教育、ブランド体験など、幅広い領域への応用が期待されます。
両社は今後も、テクノロジー、生活者理解、体験設計、実装検証を掛け合わせながら、コンテンツやブランドと生活者の新たな関係性を生み出す研究・開発に取り組んでまいります。
本実験の結果は論文にまとめ、「Enhancing Presence, Deepening Fan Intensity: How Presence in Immersive Video Shapes Psychological Closeness to Performers」のタイトルで、2026年6月8日にarXivに公開されました。
また、日本語版の抄訳については、弊社コーポレートサイトにホワイトペーパーとして掲載しています。
論文では、今回のプレスリリースで紹介した結果に加え、ファン層 (ライトファンとコアファン) の違いも要因として扱い、混合分散分析、探索的因子分析などの結果についても、より専門的な観点から詳述しています。
論文、ホワイトペーパーの本文は以下のリンクボタンよりご確認ください。
論文(arXiv)
論文(PDF)
ホワイトペーパー(MESON 公式)
本論文を引用される場合は、下記をご利用ください。
Toida, K., Hiranuma, H., Miura, S., Yamamoto, N., Kobayashi, Y., & Meguro, S. (2026). Enhancing presence, deepening fan intensity: How presence in immersive video shapes psychological closeness to performers. arXiv preprint. arXiv:2606.08912
https://doi.org/10.48550/arXiv.2606.08912
株式会社MESON
MESONは「まなざしを拡げる」をパーパスに掲げ、XRとAIを融合させた空間インテリジェンス技術の社会実装を目指すスタートアップです。XRとAIの融合によって生まれる新しい体験価値の創出を支援し、課題探索の初期段階から企業と伴走します。PoCにおいては、体験効果を定量的に計測できる仕組みを備え、技術と事業の両面から実装と検証を支援しています。
https://www.meson.tokyo/
株式会社博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センター
株式会社博報堂DYホールディングス マーケティング・テクノロジー・センターは、生活者データ、先端テクノロジー、マーケティングサイエンスを活用し、企業のマーケティング活動および生活者体験の高度化に向けた研究開発を行っています。
https://hakuhodody-mtc.com/
株式会社コンセント
株式会社コンセントは、「デザインでひらく、デザインをひらく」をミッションに、企業や行政と伴走し活動を支えるデザイン会社です。デザイン経営や事業開発、ブランディング、クリエイティブ開発等において、サービスデザインの視点と技術を生かし戦略策定から実行まで支援しています。またデザインの知を広く共有し、生活者一人ひとりがデザインの視点を身につけ、問題解決に役立てられる社会となることを目指して活動しています。
https://www.concentinc.jp/
株式会社CRAZYTVクリエイティブ
最新鋭の技術で、映像と音響表現の可能性を追求する総合映像プロダクション。
企画から制作までワンストップで対応可能な体制を完備しています。
常に時代の先を見据え、次世代の新たな映像体験を世界へ発信し続けます。
https://crazycr.jp/
株式会社MESON
担当:熊谷 春香(くまがい はるか)
MAIL:pr@meson.tokyo
プレスリリース提供:PR TIMES



記事提供:PRTimes