企業のAI活用拡大で運用課題が顕在化 Dynatrace、「SREおよびプラットフォームエンジニアリングの現状(2026年版)」を発表
Dynatrace合同会社
AIの信頼性、拡張性、安定性の確保に対するSREとプラットフォームエンジニアリングチームの責任拡大が明らかに
※この資料は、米国マサチューセッツ州で2026年8月25日に発表されたプレスリリースの抄訳です。
AI駆動のオブザーバビリティ(可観測性)プラットフォームを提供するDynatrace(NYSE: DT、日本支社:東京都千代田区、日本支社代表執行役社長:徳永 信二)は、新たな調査レポート「SREおよびプラットフォームエンジニアリングの現状(2026年版)」を発表しました。この調査は、大企業がサイト信頼性エンジニアリング(SRE)とプラットフォームエンジニアリングを拡大していく中で、オブザーバビリティ、自動化、AIをどのように組み合わせて活用しているかを明らかにしたものです。919名のITリーダーを対象にしたグローバル調査から、AIの急速な普及とAIワークロード特有の挙動によって、SREやプラットフォームエンジニアリングチームに求められる役割の範囲や構造が変わりつつあることが明らかになりました。この変化に伴い、企業は増大するシステムやサービスの複雑性への対応、自動化の推進、そして適切な統制の確保をどのように実現するかについて、見直しを迫られています。
本調査結果は、SREおよびプラットフォームエンジニアリングチームが、AIワークロードに対応するための新たな運用指標やツール、技術基盤を開発・運用環境へ取り込む最前線に立っていることを示しています。ガートナー(Gartner(R))は、組織全体でSREの実践(プラクティス)を導入する企業の割合が、2024年のわずか30%から、2028年までに80%へ達すると予測しています。経営層の支援と組織横断的な責任共有のもと、これらのチームには、プラットフォームや運用ツール、運用ルールの整備・発展を推進する役割が期待されており、AIイニシアチブの成否を左右する責任はこれまで以上に大きくなっています。
AI開発とAI運用の溝を埋める
こうした調査結果は、Dynatraceが発表した
Arize社の買収方針の狙いを示すものでもあります。現在、SRE担当者の67%が「AIモデルの監視」を最重要のユースケースに挙げており、「モデルのパフォーマンスと精度の監視」は、すでにSREにおいて最も一般的なAI搭載機能(58%)となっています。AI評価へのニーズが、それに対応するためのツールの進化を上回っているのです。一方で、AIはコスト削減やMTTR(平均復旧時間)の短縮において期待通りの成果を上げておらず、プラットフォームエンジニアの3分の1以上が、最大の障壁として「ツールの統合」を挙げています。
Arize社の買収は、こうしたニーズに直接答えるものです。AIネイティブな評価機能をオブザーバビリティプラットフォームそのものに組み込むことで、AIモデルを構築する開発チームと、それを本番環境で動かす運用チームが、別々のシステムをつなぎ合わせるのではなく、同じデータをもとに取り組めるようになります。
なぜ「規模」が企業にとって次の大きな壁になるのか
今回の調査からは、大企業においてSREとプラットフォームエンジニアリングがすでに広く定着していることが明らかになりました。
- SRE:92%の組織が、「SREへの取り組みに経営幹部の支持を得ている」と回答しています。- プラットフォームエンジニア:プラットフォームエンジニアリングに取り組む組織の89%が「内部開発者プラットフォーム(IDP)」を導入しており、そのうち60%が「部門を越えて広く利用されている」と答えています。- 両方の役割に共通する傾向:SREとプラットフォームエンジニアリングチームの73%が、現在、信頼性とプラットフォームの両領域で連携し、責任を共有しています。
これらの結果から、企業がこれまで信頼性、自動化、開発者の生産性向上に大きく投資を続けてきたこと、そしてSREとプラットフォームエンジニアリングチームには、その基盤をデジタルトランスフォーメーションの次のフェーズに生かしていくことが期待されていることがわかります。AIワークロードが本番インフラの一部として組み込まれるようになる中、複雑性の高まり、新たなテレメトリ、そして新たな障害の発生形態によって、オブザーバビリティに対する要求も高まっています。
AIが信頼性と監督の基準を押し上げる
今回の調査から、AIエージェントが新たな優先事項や課題を生み出している実態も明らかになりました。
- SRE:89%が、少なくとも一部のチームやシステムでサービスレベル目標(SLO)を活用しています。また、67%が、「AIモデルのモニタリング」を現在の最優先ユースケースに挙げています。- プラットフォームエンジニア:55%が、コーディングコパイロットやチャットボットといったAI搭載ツールを開発者が活用できるよう支援することを優先しています。
AI技術は、信頼性や開発者の生産性向上という面では概ね期待に応えているものの、コスト削減やMTTR(平均復旧時間)の短縮においては、期待されたほどの効果を上げていません。このギャップは、既存環境に単にAIツールを追加するだけではなく、より高度なシステムレベルのインテリジェンスと、ワークフロー全体を連携・調整する仕組みが必要であることを示しています。また、SRE回答者の半数近くが、データソースやメトリクスの乱立が、効果的なSLOの定義や管理を妨げていると回答しています。
特に注目すべきなのは、各チームが自動化の範囲を広げる前に、可視性と人間による監督を意図的に優先している点です。実際、AIシステムのモデルパフォーマンスと精度を監視する機能は、SREの間で最も一般的なAI搭載機能(58%)となっています。
オブザーバビリティは、AI主導の運用を支えるコントロールプレーン(制御層)へ
企業がさらなる自動化やAI支援型の運用を進めるなか、SREとプラットフォームエンジニアリングの領域では、オブザーバビリティがAIガバナンス、信頼性、最適化を支える基盤になりつつあります。一方で、統合や複雑性、データの断片化が、取り組みを進めるうえでの大きな障壁として浮かび上がっています。
- プラットフォームエンジニアの3分の1以上(37%)が、既存のツールやシステムとの統合を最大の課題に挙げています。- 「すべてのデプロイ段階にオブザーバビリティを組み込んでいる」と回答したプラットフォームエンジニアは、40%にとどまりました。
SREの半数はすでに、自動インシデント対応にAI搭載機能を活用しています。これはエージェント型運用への移行を示すものであり、こうした環境では、自律的なアクションをいつ、どのように実行すべきかを判断する「コントロールプレーン(制御層)」として、オブザーバビリティが機能する必要があります。
Dynatraceの最高製品責任者であるSteve Tackは、次のように述べています。
「SREとプラットフォームエンジニアリングは、現代のデジタルにおける信頼性の基盤を築いてきました。しかし、AIはそのルールを書き換えつつあります。企業は今、単にシステムを管理する段階から、システム全体を連携させる段階へと移行し、オブザーバビリティ、自動化、AIエージェントをつなげていく必要があります。これにより、各イニシアチブが求めるスピードで運用し、インサイトを大規模なアクションへとつなげていくことができます。今回の調査結果は、当社が発表したArize社の買収方針の背景も示しています。これまで、AIエンジニアリングチームはあるツール群で評価を行い、運用チームは別のツールでモニタリングを行ってきました。しかし、AIが本番環境にさらに深く組み込まれる中、このギャップはもはや持続可能なものではありません」
レポート『SREおよびプラットフォームエンジニアリングの現状(2026年版):企業は信頼性を拡張するため、オブザーバビリティ、自動化、AIをどのように組み合わせて活用しているのか』は、
こちらからダウンロードいただけます。
補足資料:
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SREのベストプラクティスとプラットフォームエンジニアリングのトレンド:AIワークロードはいかにして信頼性要件を満たすためのオブザーバビリティへの要求を高めるか-
相関関係の把握を超えて、自律的なアクションへ:AIエージェント時代に「そこそこの」オブザーバビリティが通用しない理由 -
自律的なインシデント解決に向けた、マルチクラウドAIエージェントのオーケストレーション
FAQ
『SREおよびプラットフォームエンジニアリングの現状(2026年版)』は、どのような内容を扱っていますか?また、どのような人を対象に調査したのでしょうか?
『SREおよびプラットフォームエンジニアリングの現状(2026年版)』は、年商5億ドル以上の企業において、サイト信頼性エンジニアリング(SRE)、プラットフォームエンジニアリング、IT運用に携わるシニアITリーダーや意思決定者、マネージャー、スーパーバイザー計919名を対象としたDynatraceのグローバル調査レポートです。本レポートでは、AIワークロードが本番環境へと移行する中、企業がSREやプラットフォームエンジニアリングの取り組みを拡大するために、オブザーバビリティ、自動化、AIをどのように組み合わせて活用しているかを明らかにしています。
AIによって、SREとプラットフォームエンジニアリングチームの責任範囲はどのように変わっているのですか?
AIは、両分野の責任範囲を従来の役割を超えて広げています。SREでは、インシデント対応やSLO管理にとどまらず、「AIモデルのパフォーマンスとドリフトの監視」が最大のユースケースになっています。プラットフォームエンジニアでは、AIツールを導入するにあたって、既存のプラットフォームでは対応できなかったプロビジョニングやガバナンスの枠組みが必要になっています。いずれの領域でも、AIの成果に対する責任の拡大に、それを管理するための運用の仕組みが追いついていないのが実情です。
AIの活用が広がるにつれ、なぜSREとプラットフォームエンジニアリングチームの重要性が増しているのでしょうか?
AIワークロードが本番環境にさらに広く導入されるにつれ、SREとプラットフォームエンジニアリングチームは、そうしたシステムの信頼性や拡張性を担保し、信頼できる状態を維持する責任をますます担うようになっています。今回の調査結果が示すように、AIの急速な普及によってこれらのチームに求められる役割が変わりつつあり、企業は「規模」「自動化」「制御」の管理方法について、見直しを迫られています。
本レポートの主な調査結果を教えてください。
調査結果からは、SREとプラットフォームエンジニアリングの取り組みが、大企業に広く定着していることがわかりました。具体的には、92%の組織が「SREへの取り組みに経営幹部の支持を得ている」と回答し、プラットフォームエンジニアリングに取り組む組織の89%が内部開発者プラットフォームを導入しています。さらに、SREとプラットフォームエンジニアリングチームの73%が、信頼性とプラットフォームの両領域で連携し、責任を共有しています。
なぜ本レポートでは、SREとプラットフォームエンジニアリングを別々にではなく、まとめて取り上げているのですか?
両分野が、同じAIの影響によって同時に、しかしそれぞれ異なる形で変化しているからです。SREは本番環境の信頼性を担い、プラットフォームエンジニアは開発者が利用するプラットフォームを構築します。この2つをまとめて調査することで、プラットフォームから本番環境まで、運用スタック全体にAIがどのような負荷をかけているのかを、どちらか一方だけを調査した場合には見えない形で捉えることができます。実際、両チームの73%がすでに連携し、責任を共有しています。
AIはどのような新しい障害パターンをもたらしているのでしょうか?また、SREやプラットフォームエンジニアリングチームは、それに対処するためにどんな機能を必要としていますか?
AIシステムは、従来のソフトウェアとは異なる形で障害が発生します。モデルドリフト(予測精度の低下)や出力の不整合、推論コストの上昇、データセキュリティリスクといった問題は、従来型のインフラメトリクスでは捉えることができません。そのため、新たな計測、ガバナンス、そしてオブザーバビリティ機能が求められています。SREの67%、プラットフォームエンジニアの63%が、AI機能を最も重要なオブザーバビリティ機能として優先していることも、こうした背景を反映しています。
調査方法
本レポートは、年商5億ドル以上の企業でSRE、プラットフォームエンジニアリング、IT運用に直接携わる、あるいはその責任を負う、シニアリーダーや意思決定者、マネージャー、スーパーバイザー計919名を対象としたグローバル調査に基づいています。調査はDynatraceの委託により、QualtricsのパートナーであるY2社が2025年10月から2026年1月にかけて実施・分析しました。回答者は、南北アメリカ、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、およびアジア太平洋各地域(オーストラリア・日本・インド)の組織に所属しています。
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DynatraceおよびDynatraceロゴは、Dynatrace, Inc.グループ会社の商標です。その他すべての商標は、それぞれの所有者に帰属します。
(C) 2026 Dynatrace LLC
Dynatraceについて
Dynatrace (NYSE:DT)は、現代のデジタルビジネスのためのオブザーバビリティ(可観測性)を進化させ、複雑化する現代のデジタルエコシステムを強力なビジネス資産へと変革することを支援しています。AIによって強化されたインサイトを活用することで、Dynatraceは組織がより迅速に分析・自動化・イノベーションを実現し、ビジネスを推進できるようにします。Dynatraceがどのように組織のビジネスを支援できるか、詳細はこちら(
https://www.dynatrace.com/ja/ )をご覧ください。
将来の見通しに関する記述についての注意事項
本プレスリリースには、1995年米国私的証券訴訟改革法(Private Securities Litigation Reform Act of 1995)が定める「将来の見通しに関する記述」に該当する内容が含まれています。具体的には、Arize社の買収により見込まれる相乗効果、買収完了後にDynatraceとArizeを組み合わせて利用することで企業が得られると想定される機能、そして両社の統合によって企業が将来的に享受できると期待されるメリットなどに関する記述です。これらの将来の見通しに関する記述は、過去の事実ではないすべての記述、および「であろう」、「予想する」、「期待する」、「意図する」、「計画する」、「信じる」、「求める」、「見積もる」といった言葉や同様の意味を持つ言葉によって示される記述を指します。これらの記述は、当社が現在入手可能な情報と仮定に基づいた、当社の計画、意図、期待、戦略、および見通しに関する現在の見解を反映したものです。当社は、これらの将来の見通しに関する記述に示される当社の計画、意図、期待、戦略、および見通しが合理的であると信じていますが、それらが達成されることを保証するものではありません。実際の結果は、将来の見通しに関する記述と大きく異なる可能性があります。これは、当社のコントロールが及ばないさまざまなリスクや要因によるものです。具体的には、Arize社の買収を無事に完了させ、新たに取得する事業および製品ポートフォリオを統合していく当社の能力、また、当社の直近の年次報告書(Form 10-K)、それ以降の四半期報告書(Form 10-Q)、その他米国証券取引委員会(SEC)への提出書類に記載されている「リスク要因」などが含まれます。当社は、新しい情報、将来の出来事、その他いかなる理由によっても、本ドキュメントに含まれる将来の見通しに関する記述を更新する義務を負いません。
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