「JPX日経人的資本100」給与は94万円高いが、女性管理職・男女賃金差に有意差なし。独自分析
株式会社エフペリ

持株会社除外でも年収差104万円と拡大の一方、業種偏重(食品47% vs IT 4.5%)や男性育休の算定区分混在(100%超問題)も浮き彫りに
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株式会社エフペリ(本社:東京都中央区)が運営する企業分析プラットフォーム「Career Reveal(キャリア・リビール)」は、2026年8月24日に公表された「JPX日経インデックス人的資本100」の構成銘柄100社について、JPX日経400の非選定300社と比較した独自分析調査を実施しました。
分析の結果、人的資本100選定企業の平均年間給与の中央値は926.1万円となり、非選定企業(832.4万円)より約94万円高いことが確認されました(業種調整や持株会社除外後も有意差が継続)。
一方で、女性管理職比率(6.9% vs 8.2%)や男女間賃金差異(68.2% vs 69.4%)においては両群間に明確な統計的差が見られないほか、食品(47.1%)と情報通信(4.5%)など業種ごとの選定率の偏りも浮き彫りとなりました。
なお、男性育休取得率については、算定区分の混在や「100%超」表記の偏り(選定企業の21.2%が存在)など制度構造上のノイズが存在するため、安易な比較を行わず比較対象から除外する等、データの比較可能性(質)を担保した厳密な検証を行っています。
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平均年間給与の中央値は、人的資本100が926.1万円(有効100社)、非選定企業が832.4万円(同296社)で、差は+93.75万円でした(Mann-Whitney U検定 p<0.001)。1,000万円以上の企業の割合も39.0%対21.3%と差があります。
「商社など高年収の業種が多いだけではないか」を確認するため、両群に3社以上ある13業種で業種内の中央値を比較したところ、13業種中11業種で人的資本100が高い結果でした(符号検定 p=0.022)。各社の値から所属業種の中央値(自社を除く)を引いた業種調整値で比較しても、群間差は59.9万円残ります(p<0.001)。
また、有価証券報告書の平均年間給与は提出会社(単体)ベースであり、純粋持株会社では本社機能の人員が中心となるため高く出る傾向があります。そこで持株会社を除外して再集計しましたが、差は縮まるどころか+104.85万円に拡大しました。
ただし、この指数の選定基準には「従業員給与の成長率」と「従業員1人当たり営業利益の成長率」への加点が含まれ、母集団のJPX日経400自体も収益性を基準に選定された企業群です。給与水準の差は、指数の設計からある程度予想される結果でもあります。
女性管理職比率の中央値は、人的資本100が6.9%(100社)、非選定企業が8.2%(286社)でした。全体では人的資本100の方が低いものの、統計的に明確な差は確認できず(p=0.090)、業種構成を調整するとこの差はほぼ消えます(群間差+0.53ポイント、p=0.084)。
男女間賃金差異(男性の賃金を100としたときの女性の賃金の割合)も、68.2%(97社)対69.4%(291社)で、明確な差は確認されませんでした(p=0.362)。
なお同指数には女性管理職比率30%以上で加点する仕組みがありますが、JPXの公表によれば2026年に該当したのは100社中8社です。この8社は算定時点・対象範囲が異なるため、Career Revealの集計値とは直接比較していません。
また平均勤続年数は、全体では16.0年対15.0年で差が見られたものの(p=0.00423)、業種構成を調整すると差が消えたため(p=0.902)、主要な結果から外しています。
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業種別の人的資本100選定率(2026年8月31日適用ベース)
JPX日経400の各業種から人的資本100に選ばれた割合を集計したところ、食品は17社中8社(47.1%)が選ばれた一方、情報通信・サービスその他は66社中3社(4.5%)、小売は32社中2社(6.3%)、銀行は12社中1社(8.3%)でした。全体では400社中100社(25.0%)です。
人的資本100の企業群の数値を見るときは、この業種構成の偏りを踏まえる必要があります。
当初は男性育児休業取得率も主要な比較指標としていましたが、分析の過程で、この数値をそのまま企業間で比較できないことが分かりました。
育児・介護休業法に基づく公表には「育児休業等の取得割合」(施行規則第71条の6第1号)と「育児休業等および育児目的休暇の取得割合」(同第2号)の2つの区分があり、企業はどちらかを選択できます。また、前年に配偶者が出産し当期に育休を開始した場合は分子にのみ計上されるため、取得率は100%を超えることがあります。
Career Revealが確認したところ、有効データのある391社のうち47社(12.0%)が100%超を開示していました。有価証券報告書を確認すると、IHIの352.9%と神戸製鋼所の157.4%は第2号による算定、楽天銀行の133.3%は第1号による算定と、100%超になる理由も同一ではありません。
さらに、100%超の出現率は人的資本100が21.2%、非選定企業が8.9%と偏っていました(Fisher正確検定 p=0.0021、オッズ比2.75)。この偏りが群間差の一部を作っている可能性を否定できないため、今回の比較からは除外しています。
Career Revealでは残業時間・離職率・有給休暇取得率についても、算定定義の違いを理由に比較から外しています。数字を増やすよりも、比較可能性を確認できた指標だけで結論を出す方が企業研究に役立つと考えているためです。
なお、これは企業の開示姿勢の問題ではなく、同じ名前の指標に2つの算定方法が認められ、開示から判別しにくいという制度上の構造の問題です。
「JPX日経インデックス人的資本100」は投資対象としての株価指数であり、働きやすさや職場環境の優劣を評価したランキングではありません。また定期入替では前年の構成銘柄がスコア120位以内であれば継続採用されるため、構成銘柄が常にスコア上位100社と一致するわけではありません。
今回の分析でも、給与では明確な差がある一方、女性管理職比率では差が確認できませんでした。投資家向けの人的資本評価と、就職・転職者が企業選びで見る人的資本には、重なる部分と重ならない部分があります。企業選びでは1つのランキングや指数で判断せず、自分が重視する項目ごとに複数のKPIを確認することが有効です。
なお本分析は2つの企業群の間に見られた数値の関連を記述したものであり、因果関係を検証したものではありません。人的資本100に選ばれたことが給与水準の要因であることを示すものではありません。
検定手法、信頼区間、業種別の全17業種のデータ、男性育児休業取得率の開示監査の詳細は、下記の分析記事で公開しています。
▼ 分析記事はこちら
【平均年収926.1万円】JPX日経人的資本100の100社を独自分析|JPX日経400他社と94万円差
また、サイト内検索を行うことで、人的資本100の全100社について、指標ごとの数値も1社ずつ確認できます。
- 調査主体:Career Reveal(運営:株式会社エフペリ)- 調査対象:「JPX日経インデックス人的資本100」2026年8月31日適用の構成銘柄100社、および「JPX日経インデックス400」同適用の構成銘柄のうち非選定の300社- 有効企業数:平均年間給与 100社/296社、女性管理職比率 100社/286社、男女間賣金差異 97社/291社、平均勤続年数 100社/296社、男性育休取得率 99社/292社- 非選定企業が300社に満たない理由:2026年新設・組替え銘柄で2025年期データが存在しない2社(417A、547A)と、2025年期の平均年間給与が欠損した2社(2127、9744)を除いたため- データ出所:有価証券報告書等の法定開示情報をCareer Revealが構造化したデータベース- 対象年期:2025年期の開示値- 集計方法:各指標の中央値を比較。群間差の検定はMann-Whitney U検定(両側)。中央値差の95%信頼区間はブートストラップ法(各群を独立に再標本化、10,000回、percentile法)- 業種調整:各社の値から所属業種の中央値(自社を除く)を引いた乗離値を群間比較(leave-one-out方式)- 業種分類:Career Reveal独自分類。東証33業種分類とは一致しない- 調査実施日:2026年8月26日
平均年間給与は有価証券報告書の提出会社(単体)ベースの数値であり、連結全従業員の平均ではありません。純粋持株会社では本社機能人員が中心となるため高く出る傾向があるほか、平均年齢・平均勤続年数・職種構成の違いによっても差が生じます。中央値差は四捨五入前の値で算出しているため、表示している中央値どうしを引いた値とは末尾が一致しません。また本分析は記述統計であり、企業規模・職種構成など調整していない交絡要因が残ります。
Career Revealは、企業の人的資本データを分かりやすく可視化するWebサービスです。有価証券報告書、統合報告書、サステナビリティレポートなどの企業開示情報をもとに、平均年収、残業時間、離職率、平均勤続年数、研修制度、女性管理職比率、男性育休取得率、男女の賃金差など、企業選びで参考になる情報を整理しています。
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