清涼飲料業界のフードサプライチェーンにおける商慣行の見直し・適正化に向けた自主行動宣言
一般社団法人全国清涼飲料連合会
一般社団法人全国清涼飲料連合会(会長:井辻秀剛、以下「全清飲」)は、フードサプライチェーン全体の適正化・生産性向上と食品ロス削減を目指し、清涼飲料業界のフードサプライチェーンにおける商慣行の見直し・適正化に向けた自主行動宣言を策定しました。
1.はじめに(背景・趣旨)
2024年のトラックドライバーの時間外労働規制の適用、物流総合効率化法及び食料システム法の施行を背景に、フードサプライチェーンの持続可能性確保に向けた対応は、食品産業全体に共通する重要な課題となっています。
2025年5月には、公正取引委員会による調査において、フードサプライチェーンにおける商慣行により生じる食ロスが環境面に加え、適正な資源配分が行われず市場経済にも悪影響を及ぼしていることが示されました。こうした状況を踏まえ、一般社団法人全国清涼飲料連合会(以下、全清飲)は、特定の取引慣行や取引当事者を問題視するものではなく、関係者がそれぞれの立場から課題解決に取り組むための共通の方向性を示すものとして、本自主行動宣言を策定します。
本宣言は、清涼飲料業界として、製・配・販をはじめとする関係者との建設的な対話を通じ、持続可能なフードサプライチェーンの実現と食品ロス削減を一体的に推進することを目的とするものです。
2.基本的な考え方
本宣言は、関係法令(独占禁止法、物流総合効率化法、食料システム法等)の趣旨を踏まえた自主的取組として実施します。
商慣行の見直しは、製造、卸売、小売、物流等の関係者が相互に理解を深めながら協働して進めるべき課題です。本宣言は、特定の取引条件の一律変更を求めるものではなく、商品特性、流通実態、物流現場の状況等を踏まえ、合理的かつ持続可能な取引・物流のあり方を関係者間で協議していくための方向性を示すものです。 全清飲は、会員企業各社の自主的判断及び競争関係を尊重し、各社の競争領域には関与しません。また、個別の価格、取引条件、取引先との交渉方針等について、全清飲が調整、決定又は誘導するものではありません。
3.現状認識(主な商慣行と課題)
公正取引委員会の調査において、フードサプライチェーンにおける商慣行として、納品期限、リードタイム(発注から納品期限までの期間)、納品順序・日付管理、欠品時の取扱い等に関する実態が示されています。清涼飲料業界においても、商品の安定供給や品質確保を前提としつつ、物流負荷の軽減、食品ロス削減、在庫効率の向上等の観点から、関係者間で改めて確認・協議していくことが有益な事項があります。具体的には、以下のような事項について、各会員企業が取引当事者間で相互理解を深めながら、合理的な運用のあり方を検討していくことが重要です。
(1)納品期限・リードタイムに関する事項
(3分の1ルールによる)納品期限の設定や短いリードタイムへの対応について、商品特性や販売計画、物流体制を踏まえ、計画的な発注・納品に資する運用のあり方を検討すること。
(2)納品順序・日付管理に関する事項
日付逆転品や日付混合品の取扱いについて、品質確保を前提としながら、在庫効率や廃棄削減にも資する柔軟な運用の可能性を検討すること。
(3)欠品時の対応に関する事項
欠品時の対応や負担のあり方について、不可抗力や物流事情等も踏まえ、取引当事者間で合理的な協議が行われること。
4.重点取組事項
全清飲は、上記の課題認識を踏まえ、以下の事項を重点取組とします。なお、本取組は、全清飲が共通の方向性を示すものであり、具体的な取引や運用の見直しは、各会員企業がそれぞれの判断と責任において、取引当事者間の協議を通じて自主的に実施するものです。
(1)納品期限・リードタイムの見直しに向けた対話の促進
各会員企業は、納品期限設定の合理性について、取引当事者間での相互理解を深めるための対話を行います。 各会員企業は、短いリードタイムによる物流負荷の軽減に向け、計画的な発注・納品のあり方について、取引当事者間で協議します。
各会員企業は、商品特性(賞味期限等)や流通実態を踏まえ、柔軟な運用の可能性について、取引当事者間で検討します。
(2)納品ルール(順序・日付)に関する合理的運用の検討
各会員企業は、日付逆転・日付混合に関する運用について、品質確保を前提に、取引当事者間で合理的な取扱いのあり方を協議します。
各会員企業は、在庫効率の向上や廃棄削減の観点から、必要に応じて取引当事者間で実証的な取組の可能性を検討します。
(3)欠品発生時の対応ルールや負担のあり方に関する協議
各会員企業は、欠品発生時の対応ルールや負担のあり方について、取引当事者間で合理的な範囲での見直しを検討します。
各会員企業は、不可抗力要因、物流事情その他の合理的事情を踏まえ、取引当事者間で適切な協議を行います。
(4)取引慣行の透明化と相互理解の促進
各会員企業は、商慣行の内容や条件について、取引当事者間での事前協議や相互理解の促進に努め、関係者が安心して取引や物流が継続できるよう、取引内容の書面化や合意形成のあり方等について、必要に応じて協議します。
5.推進体制
全清飲は、法令を遵守した上で、会員企業の取組状況を可能な範囲で把握し、一般化・匿名化された取組事例やベストプラクティスの共有を会員企業に向けて行う場合があります。なお、共有にあたっては、価格、個別の取引条件、取引先情報、交渉方針その他の競争上機微な情報は取り扱いません。全清飲は、行政機関、関係団体、研究機関等と連携し、商慣行の見直しに向けた取組の高度化を目指します。
全清飲は、本宣言の趣旨が特定の取引先や業態に対する一方的な要請として受け止められることのないよう、関係者との建設的な対話と相互理解を重視して取組を進めます。
6.関係者への呼びかけ
本課題は、特定の主体のみで解決できるものではなく、フードサプライチェーン全体の協働が不可欠です。本宣言は、特定の取引慣行や取引当事者を問題視するものではなく、フードサプライチェーン全体の持続可能性向上に向け、関係者がそれぞれの立場から課題解決に取り組むための方向性を示すものです。
全清飲に所属する会員企業は、卸売業者、小売業者、物流事業者をはじめとする関係者に対し、商慣行の見直しに向けた建設的な対話、必要に応じた実証的取組への参画、社会課題解決に向けた連携強化を呼びかけます。
7.おわりに
全清飲は、本自主行動宣言に基づき、会員企業各社の自主的な取組を尊重しながら、製・配・販をはじめとする関係者との協働を通じて、持続可能なフードサプライチェーンの実現と食品ロス削減の一体的推進に貢献していきます。
今回の清涼飲料業界の取り組みについて、国土交通省・経済産業省からそれぞれ応援メッセージをいただきました。
【農林水産省】
フードサプライチェーンにおける食品ロス削減や物流の効率化は、食料システム全体の持続可能性を確保する上で重要な課題です。
全国清涼飲料連合会におかれて、2023年に物流の適正化・生産性向上に向けた清涼飲料業界の自主行動計画を策定されたことに加え、このたび、清涼飲料業界のフードサプライチェーンにおける商慣行の見直し・適正化に向けた自主行動宣言を策定・発信されることは、食料システム法に基づく飲食料品等の取引の適正化に関する措置の実効性向上に寄与するものと考えます。
本自主行動宣言が、製・配・販の関係者間における建設的な対話を促進し、食品ロス削減及び持続可能な物流体制の構築、ひいては食品等の持続的な供給の実現に向けた具体的な行動につながることを期待します。
【経済産業省】
社会インフラである物流の持続可能性の確保は、我が国産業の基盤強化や競争力の確保において大変重要です。とりわけ、食品流通分野においては、食品期限表示を踏まえた厳格な納品期限や短いリードタイム等の商慣行が物流コストや在庫ロスの増加の一因となっており、これらの見直しは、物流の効率化に加え、サプライチェーン全体の最適化にも繋がります。
また近年は、サプライチェーンのデジタル化や標準化・規格化を通じて物流の効率化を図るフィジカルインターネットの推進など、企業・業種を越えた連携による持続可能な物流システムの構築が進められており、その実現に向けても、商慣行の見直しを通じた物流の柔軟性向上や非効率性の解消は重要な要素となります。
全国清涼飲料連合会による自主行動宣言は、個別企業の取引条件に関与することなく、業界横断で課題の整理と解決に向けた取組の方向性を提示するものであり、こうした商慣行の見直し取組の推進に資する取組として評価できます。
本取組を契機として、関係事業者間の協働が一層進み、食品サプライチェーン全体の効率化及び付加価値向上並びに、持続可能な物流システムの構築につながることを期待いたします。
【国土交通省】
物流全体の最適化に向けた商慣行の見直しを行うためには、荷主・物流事業者等の連携・協力を通じて、我が国の物流を支える環境整備をより一層強力に推進する必要があると認識しています。
本自主行動宣言は、持続可能な物流体制の実現等の観点から、商慣行の是正に向けた取組を加速するためのものであり 、その意義は大きいものと考えます。
短納期・多頻度配送による物流負荷の増大等が課題として指摘される中、本取組が清涼飲料業界全体に広がり 、物流現場の具体的な改善につながることを期待しています。
PDF:清涼飲料業界のフードサプライチェーンにおける商慣行の見直し・適正化に向けた自主行動宣言
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