技術・開発 – とれまがニュース

経済や政治がわかる新聞社や通信社の時事ニュースなど配信

とれまが – 個人ブログがポータルサイトに!みんなでつくるポータルサイト。経済や政治がわかる新聞社や通信社の時事ニュースなど配信
RSS
製品 サービス 企業動向 業績報告 調査・報告 技術・開発 告知・募集 人事 その他
とれまが >  ニュース  > リリースニュース  > 技術・開発

石灰化筋壊死症を再現する新規マウスモデルを確立

埼玉医科大学

石灰化筋壊死症を再現する新規マウスモデルを確立

◇ポイント◇ 〜 ヘビ毒を用いて、外傷後に長期残存する筋石灰化を再現 ~

・重度の外傷を受けた後、筋肉に“本来は存在しない硬い組織”が形成される「石灰化筋壊死症注1)」の症状は年単位で続くことがあり、効果的な治療法が待望されています。
・マウスの筋肉にヘビ毒の一種であるノテキシン注2)を注射すると、数日以内に形成された硬組織が一年以上残存し、石灰化筋壊死症を再現できることを発見しました。
・ノテキシンを注射された筋肉では炎症センサーであるインフラマソームが活性化して、硬組織の形成、すなわち筋肉の石灰化を促進すると考えられます。
・この硬組織は骨や歯と同様にヒドロキシアパタイトを成分としますが、骨芽細胞や骨髄細胞が関与しない、新規のメカニズムで生成されることを明らかにしました。
・本マウスモデルにより、石灰性筋壊死症の研究が飛躍的に進むと期待されます。


概要
埼玉医科大学(学長 竹内 勤)医学部ゲノム基礎医学の倉谷麻衣助教、塚本翔講師、片桐岳信教授らの研究グループは、外傷後に筋肉が石灰化し、長期間にわたり体内に残存する「石灰化筋壊死症」を再現する新しいマウスモデルの確立に成功しました。本研究は、東北大学(総長 冨永 悌二)大学院歯学研究科(生体材料理工学分野の鈴木治教授、濱井瞭講師、土屋香織学術研究員)、および埼玉医科大学医学部病理学(山田健人教授)との共同研究による成果です。
本研究結果は2026年4月22日号のPLOS One誌にオンライン掲載されました。

研究の背景
交通事故や骨折・熱傷などの重度外傷の後、筋肉に硬い組織が形成される「石灰性筋壊死症」という疾患があります。一度生じた硬組織は年単位で残存することもあり、治療に長期間を要します。しかし、これまで筋肉が広範囲に石灰化する病態を、再現性良く模倣できる動物モデルは存在しませんでした。そのため、発症メカニズムの解明や治療法の開発は大きく制限されていました。

成果の概要
本研究では、毒ヘビの咬傷によって筋肉の石灰化が引き起こされたという報告に着目し、筋肉内に硬い組織を形成する実験系の確立に挑みました。その結果、ヘビ毒の一種であるノテキシンを野生型マウスの下肢骨格筋に局所注射することで、数日以内に筋線維にカルシウムとリンからなる硬組織が形成され、それが1年以上にわたり安定して筋肉内に残存することを見出しました (図1; マイクロCT注3)画像)。さらに、X線回折注4)および電子顕微鏡解析を行い、これらの硬組織は骨や歯の無機成分として知られるヒドロキシアパタイト注5)結晶で構成されていることを明らかにしました(図2)。

図1.ノテキシン注射後に生じるマウス下肢筋石灰化の経時的変化
(Kuratani et al., 2026, DOI:10.1371/journal.pone.0346816より改変)

従来モデルとの違い
筋肉に硬い組織が出現する現象のモデルとして、骨形成因子BMP(Bone Morphogenetic Proteins)注6)によって誘導される「異所性骨化」が知られています。この系では、BMPの作用を受けた筋組織内に骨を形成する骨芽細胞や骨を破壊する破骨細胞が出現し、骨の代謝が起こります。
一方、ノテキシンによって誘導される本モデルの硬組織には、骨芽細胞や骨髄細胞は存在しないにも関わらず、筋線維の内部にヒドロキシアパタイト結晶が沈着していることが確認されました。すなわち、本モデルにおいては、「骨ではないが筋肉が石灰化する」という、石灰化筋壊死症に特有の病態が初めて再現されたのです。

図2. ノテキシン注射後7日目のマウス下肢筋
A. 下肢後部の筋組織(腓腹筋など)。石灰化により外見も顕著に変化する。
B. 走査型電子顕微鏡写真。棒状の結晶構造が観察される。
(Kuratani et al., 2026,DOI:10.1371/journal.pone.0346816より改変)

石灰化を引き起こす分子機構の手がかり
さらに、ノテキシンを注射された筋組織では、石灰化に先行して炎症反応が起きていることを見出しました(図3)。そこで本研究では、石灰化誘導機構として炎症センサーであるインフラマソーム注7)に着目しました。ノテキシン投与筋では、(1)Nlrp3、Asc、Caspase‑1などインフラマソームを構成する分子の発現が上昇し、(2)それらが石灰化した筋線維の周囲に局在すること、さらに、(3)炎症性サイトカイン(IL‑1βやIL‑18)の発現増加も確認されました。これらの知見は、インフラマソーム活性化が筋肉の石灰化を促進している可能性を示唆しています。

図3. 筋組織の石灰化と炎症反応
A. 注射後3日目より、組織の石灰化が顕著になる(黒色:カルシウム沈着)。
B. 炎症反応は1日目から観察される(褐色:炎症細胞の浸潤)。
(Kuratani et al., 2026, DOI: 10.1371/journal.pone.0346816より改変)

研究の意義
本研究で確立したノテキシン誘導性石灰化筋壊死症マウスモデルは、筋肉内に石灰化物が沈着する病態を長期間・安定的に再現できるこれまでにない画期的なモデルです。外傷後の炎症、インフラマソーム活性化、ヒドロキシアパタイト結晶の沈着といった複数の要因が絡み合う筋石灰化の分子機構を、体系的に解析するための強力な研究基盤モデルになると期待されます。

今後の展開
本モデルマウスを用いることで、石灰化筋壊死症の成り立ちを分子レベルで解明し、筋石灰化の進行抑制や結晶除去を目指した新規治療薬の開発と治療戦略の評価につなげることが可能となりました。外傷後の難治性石灰化に対する治療法開発は新たな局面を迎えると期待されます。なお、本マウスモデルの製造法については現在、特許出願中です。

■研究資金■
JSPS科研費JP20H03808、JP22K09386の支援を受けました。

■論文情報■
論文名:In vivo mouse model of calcific myonecrosis induced by injury
雑誌名:PLOS One
著 者:Mai Kuratani, Sho Tsukamoto Ryo Hamai, Kaori Tsuchiya, Osamu Suzuki, Taketo Yamada and Takenobu Katagiri
DOI:10.1371/journal.pone.0346816
掲載日:2026年4月22日
URL:https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0346816

■用語の説明 ■
注1)石灰化筋壊死症
外傷や骨折、手術などを契機として、筋肉組織が壊死した部位に硬組織が形成される疾患であり、主に下肢の筋肉で報告されている。形成された硬組織は症状が落ち着いた後も何十年にもわたり残存することがある。
注2)ノテキシン(notexin)
オーストラリアに生息するタイガースネークの毒に含まれる毒素。筋肉の細胞を壊す作用が強く、筋肉の再生過程を解析する実験でも使用されている。
注3)マイクロCT
X線を用いて、体内の構造を顕微鏡レベルで可視化する観察法。非侵襲的であるため、生きたままの同一個体について時間を追った比較解析が可能である。本研究では、筋肉内にできた硬組織の経時的変化を長期間にわたって観察するために用いた。
注4)X線回折
試料にX線を照射し、結晶中の原子の規則正しい並びによって生じる「回折パターン」を測定する分析手法。このパターンをもとに、試料の構成成分や結晶の状態を同定する。本研究では、筋肉内にできた硬組織がどのような結晶からできているかを調べるために用いた。
注5)ヒドロキシアパタイト
骨や歯の主成分であるカルシウムとリン酸からなる結晶。
注6)BMP(Bone Morphogenetic Proteins)
骨や軟骨の形成に重要な成長因子。骨格筋内で異所性骨化(本来骨のない部位での骨形成)を強力に誘導できることから、再生医療や骨補填材の開発研究においても注目されている因子である。
注7)インフラマソーム
細胞内に存在する炎症センサーであり、様々な因子によって構成される。細胞外から危険信号を検知するとIL‑1βやIL‑18といった炎症性サイトカインの産生を誘導する。

■お問い合わせ先■
・研究に関すること
片桐 岳信(かたぎり たけのぶ)
埼玉医科大学 医学部 ゲノム基礎医学 教授E-mail: katagiri@saitama-med.ac.jp

・取材、報道に関すること
埼玉医科大学 広報室
E-mail: koho@saitama-med.ac.jp

東北大学大学院歯学研究科 広報室
E-mail: den-koho@grp.tohoku.ac.jp

【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

石灰化筋壊死症を再現する新規マウスモデルを確立石灰化筋壊死症を再現する新規マウスモデルを確立

記事提供:Digital PR Platform

記事引用:アメーバ?  ブックマーク: Google Bookmarks  Yahoo!ブックマークに登録  livedoor clip  Hatena ブックマーク  Buzzurl ブックマーク

ニュース画像

一覧

関連ニュース

とれまがマネー

とれまがマネー

IR動画

一覧

とれまがニュースは、時事通信社、カブ知恵、Digital PR Platform、BUSINESS WIRE、エコノミックニュース、News2u、@Press、ABNNewswire、済龍、DreamNews、NEWS ON、PR TIMES、LEAFHIDEから情報提供を受けています。当サイトに掲載されている情報は必ずしも完全なものではなく、正確性・安全性を保証するものではありません。当社は、当サイトにて配信される情報を用いて行う判断の一切について責任を負うものではありません。

とれまがニュースは以下の配信元にご支援頂いております。

時事通信社 IR Times カブ知恵 Digital PR Platform Business Wire エコノミックニュース News2u

@Press ABN Newswire 済龍 DreamNews NEWS ON PR TIMES LEAF HIDE

Copyright (C) 2006-2026 sitescope co.,ltd. All Rights Reserved.