2024年の炎上発生件数は1,225件、リスク発生後の対応の巧拙が企業活動に大きな影響を与える
シエンプレ株式会社
「デジタル・クライシス白書2025」公開のお知らせ
2025年1月28日、一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所(所長:佐々木 寿郎、住所:東京都渋谷区、以下「研究所」)は、2024年のデジタル・クライシス(ソーシャルメディアを中心としたネット上で発生した危機や重大なトラブル)を調査分析した「デジタル・クライシス白書2025」を公開しました。
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▼ダウンロードはこちらから
https://www.siemple.co.jp/document/hakusyo2025/
■「デジタル・クライシス白書2025」とは
ソーシャルメディアを中心としたデジタル上の各種媒体とクライシスの特性、傾向と論調を把握するため、「炎上の発生件数および内訳」「炎上の露出源」「炎上がメディアでアウトプットされる状況」「炎上と関連性が高いキーワード」「炎上の認知特性」について分析を行いました。それをまとめた資料が「デジタル・クライシス白書2025」です。
▼過去の白書のダウンロードはこちらから
デジタル・クライシス白書2021
https://www.siemple.co.jp/document/hakusyo2021/
デジタル・クライシス白書2022
https://www.siemple.co.jp/document/hakusyo2022/
デジタル・クライシス白書2023
https://www.siemple.co.jp/document/hakusho2023/
デジタル・クライシス白書2024
https://www.siemple.co.jp/document/hakusyo2024/
調査方法は、「デジタル・クライシス白書2024」と同様に、全国47都道府県の10代から60代までの男女5,012人を対象とし、炎上事案に対してのリテラシーやその後の行動などの調査を行い、クライシスに対する世代差などが表れた結果となりました。
■調査概要
炎上の発生件数、露出源とアウトプット状況の調査
■調査期間:2024年1月~2024年12月
■調査ツール:シエンプレ保有のソーシャルリスニングツールを使用
■収集媒体:X(旧Twitter)、ブログ(アメブロ、ライブドアブログ等)、ニュースサイト
■調査対象ワード:「【炎上】」
※その他の仕様はクローリングシステムの仕様に準拠する
※クローリングシステムとは、SNSや口コミサイト等の媒体のデータを自動収集できるシステム
※事故による炎上、家屋の炎上、国内外問わず森林等の火災などを省く目的で「炎上」ではなく「【炎上】」で収集
出現キーワードの調査
■出現キーワードの調査期間:2024年1月1日~2024年12月31日
■調査ツール:ソーシャルアナリティクスツール「NetBase」を使用
■調査対象ワード:「炎上」
※X(旧Twitter)データ:Decahoseデータを100%にスケーリングして使用
※DecahoseとはX(旧Twitter)の10分の1のサンプリングデータ。これを用いて実態に近い数値にスケーリング(拡張)する
※その他の仕様は「NetBase」の仕様に準拠
炎上事案の特性に関する調査
■調査期間:2024年11月11日~11月14日
■調査対象:スマートフォンまたはPCを保有している方
■調査方法:マーケティング会社を利用して5,012人へアンケートを実施
■研究員コメント/一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所 主席研究員 桑江 令
2024年の炎上件数は、前年比で22.6%減の1,225件でした。この件数は白書としてデータを収集するようになった2019年以来、最も少ない件数となりました(これまでは2019年の1,228件)。
しかしその件数の減少を感じさせないほど、2024年も多くのニュースを目にしたと思います。
2023年は“炎上系(暴露系)インフルエンサー”の影響力が高くなり、その影響で一般人の炎上が増えた年でしたが、それに対して2024年はそのインフルエンサーが炎上の話題を取り上げる頻度が5月以降で減り、そのことが炎上件数の減少の一因にはなったと考えています。実際に、炎上を主体別に分類してみると、一般人の炎上の割合は全体の33.3%から28.4%に減少しており、その分著名人の炎上の割合は32.5%→37.2%と増加することとなりました(かつ一般人の炎上件数の減少は、著名インフルエンサーの運用方針変更が行われたであろう5月以降からの変化)。
なお著名人には政治家や選挙における候補者も含まれるため、東京都知事選や兵庫県知事選、衆議院議員選と世間的に注目された選挙の影響も見受けられます。
その選挙戦での投票結果が話題になりましたが、SNSの影響力は高まっており、SNS上での評判が今後の企業活動においても重要な指標になるとも言えるでしょう。それは今回も行った5000人へのネット調査でも示されています。
今回のネット調査の結果を見てみると、炎上事案を認知した場合、58.6%が炎上後の対応を確認すると答え、そのうち12.3%は「解決するまで定期的に確認をする」と答えており、自発的に事後対応を確認している人が前回の調査と変わらず一定数いることが明らかになっています。
他のアンケート結果では「炎上が求職活動に与える影響」で69.4%が何らかの影響を受けると答えており、また「炎上により購入や利用を停止・再検討する人」が39.0%、そして「起用タレントが炎上した際の影響度」では、60.3%が影響を受けるという結果(※)となりました。
※いずれも「炎上を見てもその後の対応を確認しない・影響を受けない」層を除いた割合。
このような状況を踏まえ、企業側は炎上の事後対応に力を入れるようになっていると感じています。実際に法人(メディアを除く)が主体である炎上件数は404件から312件(33.7%から26.0%)に減少しています。しかしながら、事後対応に失敗し“不誠実な対応”との烙印を押されてしまった企業においては、逆に大きなブランド棄損に繋がってしまう事例もいくつかありました。
このように、2024年は前年の流れである「一般人による炎上の増加」「炎上系インフルエンサーの影響力拡大」「リーク文化の醸成」に一定の沈静化が見られ炎上件数自体も減った中で、炎上リスク発生後の事後対応が注目され、その巧拙によって企業活動に大きな影響が出ることが明らかになった一年であったと言えるでしょう。
そのような状況の中で、企業は様々な視点からリスクに備えなければならず、定期的なリスクの洗い出しと発生するリスクに迅速かつ的確に対応できる体制構築と継続的なリスクマネジメントが求められているのではないでしょうか。
その一助として、本白書を活用いただけますと幸いです。
■調査結果
2024年の炎上発生件数は1,225件、前年比22.6%減少
2024年に発生した炎上事案は1,225件であり、前年(1,583件)比22.6%増加した。最も炎上事案が多く確認されたのは4月の141件であった、また2024年の上半期(1月から6月)の炎上件数が691件で、下半期(7月から12月)が534件であることから、下半期にかけて炎上件数が減少したことを示している。
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
■著名人、メディアの炎上割合が前年比で増加 (著名人:4.7ポイント増、メディア:0.2ポイント増)
炎上原因となった問題行動の主体について、2024年は著名人が37.2%、一般人が28.4%、メディア以外の法人が25.5%、メディアが8.9%であった。2023年と比較すると、著名人の炎上が4.7ポイント増加、一般人は4.9ポイント減少、メディアは0.2ポイント増加という結果だった。一般人の炎上発生割合は減少し、著名人、メディアでは増加した。
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
■炎上事案の露出源として最も多いメディアはX(旧Twitter)で80%
炎上の露出源としてX(旧Twitter)が前年の65%から80%に増加している。一方でYouTubeに関しては6%から5%に減少した。なおTikTokに関しては前年と同水準で推移しており、2023年は3件であったが、2024年には2件確認された。
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
■炎上事案の放送・記事化の速度は「24時間未満」が26.3%、「48時間未満」までで56.8%を占める
2024年は「24時間未満」の割合が26.3%であった。また48時間未満まで含めると、全体の56.8%を占めることが明らかとなった。また2023年と比較し、「72時間以上」の割合が34.2%から26.3%に大きく減少している。放送・記事化を行うメディア側が炎上事案を取り上げる際に、より短時間で放送・記事化している傾向が見受けられる。
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
■炎上事案のその後の対応を確認する人は58.6%
「炎上後の
対応を確認する」と答えた割合は34.4%だった。また、「解決するまで定期的な確認を行う」と答えた割合は7.2%という結果だった。
「炎上している状況を見たり聞いたりしたことがない」を除外した場合、「炎上後の対応を確認する」と答えた割合は58.6%だった。また、「解決するまで定期的な確認を行う」と答えた割合は12.3%という結果だった。
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
以下は「炎上している状況を見たり聞いたりしたことがない」を除外した場合のグラフ。
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
■炎上対応が72時間を過ぎると悪い印象を受ける人は、26.0%
「発生から
24時間(1日)以内」に対応がないと悪い印象を受けると回答した割合は7.2%という結果だった。また、「72時間(3日)以内」まで含めると26.0%、「1週間以内」まで含めると35.2%という結果だった。
「炎上している状況を見たり聞いたりしたことがない」を除外した場合、「発生から24時間(1日)以内」に対応がないと悪い印象を受けると回答した割合は10.9%という結果だった。また、「72時間(3日)以内」まで含めると39.3%、「1週間以内」まで含めると53.2%という結果だった。
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
以下は「炎上している状況を見たり聞いたりしたことがない」を除外した場合のグラフ。
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
■炎上事案で購入や利用に影響すると答えた人は、39.0%
法人の
炎上により「購入や利用を停止・再検討する(※)」と回答した割合は23.7%だった。また、「優先順位が下がった」と回答した割合を含めると45.7%という結果だった。
「炎上している状況を見たり聞いたりしたことがない」を除外した場合、法人の炎上により「購入や利用を停止・再検討する」と回答した割合は39.0%だった。また、「優先順位が下がった」と回答した割合を含めると75.2%という結果だった。
※「購入や利用を停止した(しようと思った)」「購入や利用を再検討した(しようと思った)」「購入や利用を停止した(しようと思った)し、友人や家族、同僚、フォロワーなどにも事象を共有した」「購入や利用を停止した(しようと思った)し、友人や家族、同僚、フォロワーなどにも事象を共有して購入や利用の停止を推奨した」の合計
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
以下は「炎上している状況を見たり聞いたりしたことがない」を除外した場合のグラフ。
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
■起用タレントが炎上した際、購入・利用への影響があると答えた人は、32.1%
起用タレントの炎上により「購入や利用を停止・再検討する(※)」と回答した割合は19.8%だった。また、「優先順位が下がった」と回答した割合を含めると37.2%という結果だった。
「炎上している状況を見たり聞いたりしたことがない」を除外した場合、起用タレントの炎上により「購入や利用を停止・再検討する」と回答した割合は32.1%だった。また、「優先順位が下がった」と回答した割合を含めると60.3%という結果だった。
※「購入や利用を停止した(しようと思った)」「購入や利用を再検討した(しようと思った)」「購入や利用を停止した(しようと思った)し、友人や家族、同僚、フォロワーなどにも事象を共有した」「購入や利用を停止した(しようと思った)し、友人や家族、同僚、フォロワーなどにも事象を共有して購入や利用の停止を推奨した」の合計
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
以下は「炎上している状況を見たり聞いたりしたことがない」を除外した場合のグラフ。
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※一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所作成
全体の概要は以下の通りです。
■デジタル・クライシス白書2024の概要
第1章:炎上の発生件数及び内訳
2024年1月から2024年12月までの炎上事案を収集、分析し、炎上件数の推移を明らかにしました。また炎上の内訳として問題行動の主体の割合や、問題行動の内容別の分類を行いました。また法人等を分析対象とし、炎上が発生する可能性の高い企業規模(従業員数、上場の有無)や、炎上の発生しやすい業界を明らかにしました。
第2章:炎上の露出源
炎上の露出源となりやすい媒体とその比率を調査しました。今回は露出源のカテゴリ別調査と、サイト別調査をそれぞれ実施しました。
第3章:炎上がメディアでアウトプットされる状況
デジタル・クライシスの発生後に放送・記事化される割合とそれまでにかかるスピード、取り上げられるメディアの傾向に関する調査結果です。
第4章:炎上と関連性が高いキーワード
炎上というキーワードを含んだ投稿に、どのようなキーワードやハッシュタグが含まれているか調査しました。炎上の早期発見および炎上リスクのある投稿を発見するために、注意すべきハッシュタグについてまとめています。
第5章:炎上の認知特性
炎上の認知度、認知した媒体、影響度、事後対応の重要性などを調査しました。「SNS」で炎上を認知した割合が、男性よりも女性のほうが高いといった傾向や、年代別に炎上を認知する媒体が異なるといった傾向が明らかになりました。
なお、巻末には2025年に発生するデジタル・クライシスを予測し、必要と思われる対策を記述しております。
■一般社団法人デジタル・クライシス総合研究所について
設立日 :2020年1月10日
住所 :東京都渋谷区神南1-19-14 クリスタルポイントビル 2F
所長 :佐々木 寿郎
主席研究員 :桑江 令、前薗 利大
研究員 :嶋津 幸太、佐藤 智恵子、門屋 智晃、風間 悠太 他
アドバイザー:
山口 真一(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授)
沼田 知之(西村あさひ法律事務所 パートナー)
主な研究内容:
1.国内および関係する海外のソーシャルメディア他媒体の特性研究
2.国内および関係する海外のデジタル・クライシスの事例研究
3.「デジタル・クライシス白書」の発行
4.会員向け「デジタル・クライシス事例レポート」の発行
5.会員向けデジタル・クライシス研究会の開催
6.ソーシャルメディアの特性および炎上リスク等を理解するための教育・研修
7.ソーシャルメディアの特性および炎上リスク等に関する資格認定試験の企画・運営
URL:
https://dcri-digitalcrisis.com/
関連会社:シエンプレ株式会社
関連リンク
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