エネルギー転換インフラ vs分散型インフラ:ポートフォリオの配分をエネルギー転換に集中させる理由
シュローダー・インベストメント・マネジメント株式会社
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エネルギー転換インフラは、従来の分散型インフラ・ポートフォリオとの相関は極めて低く、魅力的な競争力を持ち、急速に進化するサブセクターへの差別化された投資機会を提供します。
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200年以上にわたり、世界経済はエネルギー需要を化石燃料に依存してきましたが、急速に変わりつつあります。再生可能エネルギーは、脱炭素化、手頃な価格、エネルギー安全保障のいわゆる「パワー・トリオ」によって推進され、将来の電力需要を満たす上で重要な要素になりつつあります。世界経済全体で電化とデジタル化が進行していることから、これらの需要は急速に拡大し続けており、再生可能エネルギーは、他に類を見ない魅力的な投資機会となる可能性があります。
歴史的には、脱炭素化への注力が、世界的な再生可能エネルギー拡大の主な原動力となってきました。しかし、欧州や中東における地政学的な変化を受け、各国政府はエネルギー安全保障に重点をおくようになりました。その結果、変化のペースは加速しています。一方、再生可能エネルギー源による電力価格が手頃になったことで、エネルギー調達の大幅な転換が技術的だけでなく、経済的にも実現可能となりました。
こうしたメガトレンドの収束は、エネルギー転換が投資家にとって数世代にわたる投資機会をもたらすことを示しています。国際エネルギー機関(IEA)は、2030年初頭からエネルギー転換のために年間約4.5兆ドルを投資する必要があると推定しています。これは記録的な年となった2023年からほぼ3倍の増加です。この投資は世界規模で行われ、脱炭素で、低コストの安全な世界的エネルギーシステムの成長をほぼ全世界が支持しています。米国でも再生可能エネルギーへの投資は、長年にわたって幅広く、主に超党派の支持を得てきました。これは再生可能エネルギーセクターが、特に伝統的な共和党支持者が多い南部の多くの州で、雇用創出の重要な原動力となってきたためであり、再生可能エネルギーは、エネルギーコストの競争力をますます高めています。
にもかかわらず、「なぜエネルギー転換だけに投資するのか」という質問をよく受けます。この質問には、エネルギー転換資産だけでなく、公益、輸送、デジタル・インフラへのエクスポージャーを含む、より幅広いインフラストラクチャーへの投資は、より広範な機会を提供することができる、という前提を含んでいます。
投資家がオルタナティブ資産に配分できる割合は限られており、(シュローダーの調査によれば、平均でポートフォリオの約14%)、その価値を最大限に活用しなければならない希少なリソースであることを考えると、エネルギー転換への投資を最大化することは、高いパフォーマンスのポートフォリオの構築にとって極めて重要であると考えています。その理由は次の3つです:
エネルギー転換インフラへの投資は、ポートフォリオで保有する他のすべての投資と比較して、非常に差別化されていること
エネルギー投資はここ数年、インフラ市場の主要な構成要素であり、その優位性はますます高まっていること
サステナビリティ・リスクから逃れることはできないこと
シュローダーの調査:
https://www.schroderscapital.com/en/global/professional/insights/allocating-to-private-assets-an-essential-guide/
1.エネルギー転換インフラへの投資は、ポートフォリオで保有する他の全ての投資と比較して、非常に差別化されている
リスク/リターンのプロファイル
図1は、エネルギー転換インフラを、他の伝統的な上場およびプライベートの資産クラスと比較したもので、2014年から2024年までの年率リターンとリスク(ボラティリティ)を示しています。これによると、プライベート・エクイティが特筆すべき例外値であるものの、その他のプライベート資産が提供するリターンは、概ね上場株式とほぼ一致しているのに対し、ボラティリティは一般的に債券とより近いものとなっています。
このデータは様々な資産クラスがどのリスク/リターン分布に位置しているかを示す基準にはなりますが、上場資産とプライベート資産の価格変動を測定する方法は、報告上のラグ効果により、経済的な観点からみたプライベート投資のボラティリティを過小評価している点に注意することが重要です。
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このヒストリカル分析によると、エネルギー転換インフラの全体的なリスクとリターンの特性は、分散型インフラ・ポートフォリオの特性とほぼ一致していることを示しています。このこと自体は興味深い観察結果であり、分散型インフラ・ポートフォリオは、その分散性からリスクが低いはずだと広く信じられている考えと矛盾しています。
図1は2次元的な視点に過ぎず、リスクとリターンを個別に評価することには限界があります。エネルギー転換インフラにおける特定のリスク・エクスポージャーの動態や、それらが長期的なリターンにどのように反映されるかをとらえることはできません。
また、エネルギー転換インフラへの配分による特定のリスク・エクスポージャーが、分散型インフラへの配分を含むポートフォリオの他の部分とどのように相互作用するかを考慮することも極めて重要です。ここで、ポートフォリオにおけるエネルギー転換インフラの真の可能性が明らかになるでしょう。
直観的には、エネルギー転換インフラに関連するリスクは高度に分散しており、投資家は次のような独自のリスク・プレミアムの組み合わせにさらされることになります:
インフレ・リスク:再生可能エネルギーのリターンは通常、(間接的または直接的に)インフレに連動しており、ポートフォリオの実質リターンを維持するのに役立ちます。これは、多くのインフラ資産に多かれ少なかれ当てはまる特徴ですが、特にエネルギー資産において顕著であり、他の資産クラスとの重要な差別化要因となります。
電力価格上昇リスク:再生可能エネルギー資産は電力価格の上昇から恩恵を受けるため、エネルギーが主要なコスト源となる他の資産クラスや非エネルギー・インフラのサブセクターから差別化を図ることができます。
資源/天候リスク:電力を発生させる仕組みに関連するため、再生可能エネルギー資産ほど、気象要因によってプラスにもマイナスにも重大な影響を受ける資産は他にほとんどありません。
テクノロジーリスク:太陽光発電や風力発電など、再生可能エネルギーの技術や資産にはそれぞれ固有のリスクがあり、多様化が期待されます。
地理/政策リスク:脱炭素化、エネルギー安全保障、手頃な価格を考慮すると、エネルギー転換を支援する政策や規制は、世界中のほとんどの地域で急速に進展しており、有利な投資環境を提供しています。
相関と分散
エネルギー転換資産に関するこれらの差別化されたリスク・プレミアムは、強力な分散効果をもたらします。相関データもこれを裏付けており、エネルギー転換インフラはすべての資産クラスに対して低いリターンの相関を示し、より景気循環的な株式や企業資産に対しては負の相関さえ示しています。図2は資産クラス間の相関関係を示しており、相関係数が1に近いもの(赤で表示)は非常に類似したリターンの「パターン」を示しますが、緑で表示されたものは相関係数が小さく(あるいはマイナス)、互いに大きく異なるパフォーマンスを示す資産クラスであることを示唆しています。
このデータが示す重要な点として、エネルギー転換インフラは、分散型インフラも含め、他の資産クラスとは年ごとにパフォーマンスが異なるということです。つまり、エネルギー転換インフラの全体的な長期のリスク・リターンは、歴史的に見て従来のインフラ資産とほぼ同様であるものの、基礎となる「パターン」とリターンの要因は大きく異なります。このことは、歴史的に見れば長期的なリスク・リターンがほぼ同様であったことから、分散型インフラへの配分の代わりに、エネルギー転換インフラに特化した配分を組み入れることで、分散効果を最大化し、ポートフォリオ全体の効率を改善する可能性があることを示唆しています。
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図3は、従来の60/40の株式/債券ポートフォリオにエネルギー転換インフラまたは分散型インフラへの配分を10%追加した場合に期待される影響を示しています。資本をどちらのバケットから再配分するか、あるいは両方から再配分するかに応じて、様々な結果が示されています。注目すべきは、全体的なリターンは、債券から資本を再配分した場合に大幅に向上する可能性があり、全てのケースでボラティリティ、即ちリスクは大幅に低減されます。重要なことは、分散型インフラに配分した場合よりも、エネルギー転換インフラに配分した場合の方が、ポートフォリオの効率性が高くなるということです。
資本構成
エネルギー転換インフラに関連する特定のリスクで注目すべき点は、景気サイクルと連動していないことです。実際、エネルギー転換インフラは、インフレや電力価格のような、一般的に経済的ストレスを引き起こす要因(特に、近年のようにインフレや電力価格が急騰する場面)と正の連動性があり、反景気循環的であるといえます。
この反循環性は、多くのエネルギー転換インフラが採用する資本構成である、より低いレバレッジによってさらに強化されます。ほとんどの場合、これらの資産の企業価値に占める負債比率は50%未満であり、資本構成において負債よりも株主資本が多いことを示しています。つまり、エネルギー転換インフラは、他の多くのプライベート資産、さらには伝統的な上場株式よりも、レバレッジが大幅に低いのです。
エネルギー転換インフラと分散型インフラとの間の乖離はさらに顕著であり、従来のインフラは、消費者へのプロジェクト費用を抑えるように設計されてきた歴史的な慣習や、政策推進力から、より高いレバレッジを使用しています。分散型インフラ・ポートフォリオの企業価値に占める平均負債比率は通常60~70%、またはそれ以上です。
レバレッジを低くすることで、上記のような多様化したキャッシュフロー特性やリスク・プレミアムが、リターン・プロファイルの中で強調されることになり、デットファイナンスの利払いコストや資金調達環境が厳しい期間には、このサブセクターにとって大きなメリットとなります。
さらに、エネルギー転換インフラと分散型インフラでは、利用される負債の構造も異なります。負債を利用する場合、大半のエネルギー転換インフラはプロジェクト・ファイナンスを採用し、負債の期間をプロジェクトの期間に合わせ(多くの場合、プロジェクト内で最も確実なキャッシュフローの期間と連動させ)、この期間をかけて借入金を完全に返済し、金利は固定化されます。これにより、エネルギー転換インフラは、金利の変動や、将来のある段階での借り換えの必要性にさらされることがなくなります。
一方、社会インフラストラクチャーを除く分散型インフラの大半は、永久債で資金調達されており、返済されることがない借入です。この調達法は、借り換えリスクと金利リスクをもたらし、これらの資産は金利サイクルの影響を受けやすくなります。
実際のリターン例
上記で概説したプラスの分散効果は、単なる理論上のものではなく、実際のヒストリカルリターンを見ても明らかです。図4は、2022年における各資産クラスの年間リターンを示しています。この期間はロシアとウクライナの紛争を受け、関連するエネルギー安全保障の問題により、電力価格とインフレの世界的な急騰、国際的なサプライチェーンの逼迫、投資市場における広範な課題が見られました。
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業界では、「必要な時に分散が効かない」「危機時になると相関係数が1になる」という嘆きがよく聞かれます。2022年の株式と債券のリターンは確かにその通りで、半世紀近くぶりにどちらもマイナスとなりました。一方、プライベート市場は全般的に好調で、エネルギー転換インフラは、分散型インフラと比較しても、大幅にアウトパフォームしました。
このことは、エネルギー転換インフラが持つ独自のリスク・プレミアムの組み合わせが、特にエネルギー価格ショックによって引き起こされる危機のシナリオにおいて、真の分散化を提供するのに有利なポジションにあることを示しています。
2. エネルギー転換は、インフラ市場の主要な構成要素として成長
投資家は、成長のための資本が必要とされる分野に注目する傾向があります。特定のセクターや分野への追加資本の流入を継続的に促す必要があるため、構造的な追い風に後押しされ、強力なリターンが期待できます。
この方程式のもう一方の面は、成長が見られず、追加資本の必要性が限定的な分野です。このような分野では、リターンの獲得は困難です。一般的に資産がすでに長期保有者によって保有されている場合、例えて言えば、新規参入者は既存保有者が必要としない市場の一部をめぐり、小競り合いをするカモメのようなものです。
エネルギー転換インフラが主な選択肢
エネルギー転換インフラは、インフラ市場の中でも成長分野であり、新しいサステナブルなグローバル・エネルギー・システムを構築するために新規の資本が必要とされ、そして今後20~30年間は継続的な必要性が見込まれている部分です。加えて、世界の電力システムの電化、電気自動車の急速な普及、デジタル化の拡大とAIの浸透などの要因により、エネルギー需要の大幅な増加が見込まれています。ChatGPTのリクエストは、グーグル検索の10倍の電力を消費し、データセンターがクリーンかつ堅牢に、そしてコスト効率の高い方法で運営されるよう、再生可能エネルギー容量を拡大する必要性が高まっています。
さらに、エネルギー転換に向けた将来の投資ニーズはよく知られ、理解されているものの、この動きがすでにしばらく前から始まっていたことはあまり認識されていません。実際、エネルギー投資、特に再生可能エネルギーへの投資は、ここ数年インフラ取引の主戦場となっています。図5は、インフラ取引のセクター別内訳を示したもので、再生可能エネルギー・インフラが市場取引に占める割合が増加していることは明らかです。
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ご覧の通り、エネルギーはインフラの中で圧倒的に最大のセクターであり、2008年から2023年第1-3四半期(入手可能な最新データ)までの全インフラ取引の57%を占めています。また、再生可能エネルギーは最大のエネルギー・サブセクターであり、最も急速に成長しています。過去15年間の全インフラ投資の48%がこのセクターに直接投資されており、エネルギー転換をめぐる機会セットに合わせて、今後も成長が続くと予想されます。
機会セットが買手市場を形成
再生可能エネルギーへの投資機会の増加は、機会セットだけでなく、価格設定にも影響を与えるため、極めて重要です。成長市場であるエネルギーセクターは、一貫して資本を呼び込み、引き付ける必要があるでしょう。新たな投資機会は常に生まれており、開発業者、電力会社、投資家が資産を取得した開発の初期段階から、建設フェーズ、稼働フェーズでの投資まで、投資のライフサイクルのあらゆる段階で資本が必要とされており、新たなプロジェクトに資本を再循環させることができます。多くの開発業者が資本不足に陥っているため、運用資産の売却を通じて資本を再利用する必要性は今日の市場において特に顕著であり、意欲的な売手をもたらし、高いリターンを下支えするでしょう。
エネルギー転換におけるこの動態を実証する賢明な方法は、資産の割引率を時系列で見ることです。図6は、シュローダー・グリーンコートが運用する上場投資信託で保有する風力発電資産ポートフォリオのレバレッジ有の割引率(実質的な期待収益率)を示しています。この市場は、10年以上にわたる実績があり、透明性の高いデータソースを提供するため、使用していますが、この上場風力発電市場の最近の実績は、他の技術や地域で観察されたものともほぼ一致しており、世界的な現象を反映しています。
データによると、現在の割引率は過去10年間よりも高い水準にあります。この期間、特に過去3~4年間のリスク・プロファイルが比較的安定していたことを考えると、この上昇は2つの主な要因によって引き起こされています。1つ目は債券利回りの上昇です。リスク・フリー・レートに対するリスク調整後プレミアム(低リスクの国債からのリターン)を維持するためには、より高いリターンが必要となります。
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2つ目の重要な要因は、買手と売手の間の市場力学です。前述したように、運用資産の従来の売手(開発業者)は、開発・建設資産の膨大なパイプラインに投資するために資本を再利用する必要があり、これらの資産の売却に強い需要があります。同時に、従来の買手(例えば欧州の年金基金やアジアの政府系ファンド)の多くが手を引いており、この市場における買手は少なくなっています。
このため、エネルギー転換インフラに注目する投資家は、意欲的な売手と相対し、少数の潜在的な買手との競争になるため、より高いリターンを交渉できる有利な立場に置かれることになります。これらの結果、市場の割引率は2021年半ばの最低水準から200bp以上も再調整されました。
インフラ市場の中で、多額の資本の必要性と、意欲的な売手という二重のダイナミズムを持つセクターは他にありません。
平均すると、他の長期インフラ資産は長期保有者によって保有されていますが、図5が示すように、エネルギーセクターで見られるようなペースで新規資本が市場に流入しているわけではありません。そのため、より広範なインフラ市場で資産を購入することは、他の長期保有者を追い出す必要があり、何かしらのストレスや、より高い価格が提示されない限り、個人投資家レベルであれ、特定の資産レベルであれ、資産を売却するインセンティブは低くなります。
端的に言えば、歴史的にも将来においても、エネルギー転換インフラは大規模に建設されており、このセクターは買手市場となっています。より広範なインフラ市場においては、新規に建設される資産が少ないため、既存資産の長期保有者がより大きな力を持っており、分散型インフラは売手市場といえます。
専門家が重要な役割を果たす
こうした競争力学は、分散型インフラ・マネージャーよりも、専門のエネルギー転換マネージャーや戦略に有利に働きます。分散型インフラ・マネージャーは、資本の供給源としての役割を果たすことはできますが、開発業者は、取引の発生に関して自信と確実性を持つ必要があります。そのため、深い専門知識を持ち、長期的な関係を築き、市場でも評判の高い投資家と組むことになります。
実際にこれを測る指標は、相対ベースで調達される取引の数、即ちオークション・プロセスなどにより広く市場に出回らない取引の数です。これらは専門のマネージャーが独自に調達した取引であり、分散型インフラの運用を行う同業他社には見られません。例えば、シュローダー・グリーンコートが投資した約130億ポンドのうち、約30%は相対取引で調達されています。もちろん、専門マネージャーには実現しやすい段階的な変化を通じて資産の価値を高めるなど、他のメリットもあります。しかし、相対取引の多さは、強固な信頼関係の重要性を浮き彫りにしており、専門マネージャーは、分散型運用を行うマネージャーがアクセスするのが難しい、質の高い案件フローにアクセスすることができます。
さらに、この分野の成長について考察した最近の記事 にあるように、蓄電池や水素エネルギーなどのさらなるエネルギー転換技術の成長は、急ピッチで続いています。これらは一般的に実績のある技術ですが、インフラ市場の多くの参加者にとっては馴染みが薄く、独特のニュアンスやリスク特性を理解する必要があります。そのため、取引を実行するためには、エネルギー市場を深く理解し、新たなエネルギー転換技術を扱った経験を持つ専門的なマネージャーが必要になることが非常に多いのです。
この分野の成長について考察した最近の記事:
https://www.schroders.com/ja-jp/jp/intermediary/insights/beyond-renewables-investing-in-the-global-energy-transition/
3. サステナビリティ・リスクから逃れることはできない
エネルギー転換インフラに投資する主な理由は、経済的なメリットと、それがポートフォリオ全体をどのように向上させるか(上記で示したとおり)ですが、私たちは、この分野への投資には環境およびサステナビリティのメリットもあると考えます。
ポートフォリオ内にサステナビリティ・リスクが存在することを認識するために、サステナビリティがポートフォリオに付加価値を与えるという考えを支持する必要はないことに留意することが重要です。気候変動やネット・ゼロに対する個人のスタンスにかかわらず、気候変動が経済、国内政治、市場、そして(おそらく最も論議を呼ぶであろう)地政学に大きく影響する重要なトレンドであることに異論を唱えることはほぼ不可能です。また、ポートフォリオ全体のサステナビリティ・リスクの幅広さを勘案すると、全体としてこれがどのようにリスク分散になり得るかを見極めることは困難です。したがって、特に大規模で流動性の低い実物資産に投資する場合、サステナビリティ・リスクを積極的に管理することが重要であると考えています。
エネルギー転換インフラへの投資は、気候変動やネット・ゼロに関連するリスクをヘッジするのに役立ちます。重要なことは、ネット・ゼロへの道筋はしばしば経済学者によって一直線に描かれることが多いですが、過去の歴史から学ぶ者であれば、経済変革には必ず不安定さが伴うことを認識しており、その過程でエネルギー転換ショックが発生する可能性は高いと言えます。その際にはエネルギー価格の高騰や急激なインフレが起こる可能性が高く、これらの要因との連動性と耐性を備えたエネルギー転換インフラは、これらのシナリオで優れたパフォーマンスを発揮することができるでしょう。
その好例は上記のセクション1で詳しく説明されています:脱炭素化よりもエネルギー安全保障が原動力ではありましたが、2022年にはエネルギー転換のショックがあり、エネルギー転換インフラ戦略は好調に推移した一方で、他の資産クラスは概して苦戦しました。
多くの実物資産ポートフォリオにおける「座礁資産リスク」に対する認識が高まるインフラ市場の他のセクターに関しては、同じダイナミクスで語ることはできません。インフラ市場の多くのセクターでは、以下のような形でこれらのリスクにさらされています:
変革期間を必要とし、現行のビジネスモデルに混乱を引き起こす可能性がある資産。この例としては、ガス・ネットワークや輸送資産(特に空港や港湾、場合によっては有料道路)などが挙げられます。
環境目標を達成するために、インフラ資産を物理的に再整備する必要があり、多額の投資が必要となる可能性があるが、新しい要素と従来の要素の組み合わせを考えると、経済性がどのようにもたらされるかについて疑問が残る資産。この例としては、電力網や水道のネットワークが挙げられます。
安定的かつ継続的な低コスト電力へのアクセスを必要とする、大量にエネルギーを消費する資産。この例としては、データセンターや、程度は低いものの通信が挙げられます。
サステナビリティ・リスクの課題は、リスクを正確に価格へ反映する能力です。既存のモデルや経験では、重大な損失が発生する可能性を考慮すると、十分な分析はできません。エネルギー転換インフラへの投資は、こうしたサステナビリティ・リスクを軽減するだけでなく、リスクに対する効果的なヘッジにもなります。
結論
エネルギー転換インフラは、分散型インフラを含むポートフォリオにおいて、大きく異なるエクスポージャーとリスク・プレミアムを提供することを示しました。このようなエクスポージャーは、過去のリスク・リターンの数値が概ね類似していたとしても、実際にはリターンとリターン・ドライバーの相関は非常に低くなります。さらに、2022年のエネルギー価格ショックの際に実証されたように、世界的なエネルギー転換の進展に伴い、エネルギー転換インフラ内の独自のリターン・ドライバーが良好なパフォーマンスを生み出す可能性があります。
加えて、エネルギー転換インフラは、膨大な投資機会と市場外の投資機会へのアクセスを提供できる、世界的なインフラ市場の中で急成長するセクターとして、また、より広範なサステナビリティリスクを低減できる固有の特性を有するセクターとして、独自の立場からの恩恵を受けています。このことは、これらの資産がポートフォリオの分散化を促進し、ポートフォリオの回復力を高める可能性があるという主張をさらに裏付けるものです。
もちろん、投資対象はより集中化しており、またエネルギー転換セクター全体の技術進化に伴い、ユニークで複雑な特徴を持つ新興のサブセクターが次々と誕生している状況では、エネルギー転換インフラへの投資は、理解の必要な特定のリスク要因を伴うものです。このことは、この分野における投資実績と深い専門知識を有し、プライベート市場の力学で成長するセグメント全体の幅広い投資ユニバースにアクセスできる専門マネージャーと組むことの潜在的なメリットを強調しています。
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関連リンク
シュローダーの視点
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再生可能エネルギー容量を拡大する必要性
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