【高知大学】自然科学系農学部門の足立真佐雄教授と海洋コア国際研究所の萩野恭子特任講師が、2025年の米国科学振興協会ニューカム・クリーブランド賞を受賞しました
高知大学
高知大学自然科学系農学部門の足立真佐雄教授と海洋コア国際研究所の萩野恭子特任講師が、2025年の米国科学振興協会ニューカム・クリーブランド賞（AAAS Newcomb Cleveland Prize）を受賞しました。授賞式は、米国ボストンで開催された米国科学振興協会の年次総会において、２月14日（日本時間15日）に行われました。
ニューカム・クリーブランド賞は、1923年に制定された米国科学振興協会の最も古い歴史ある賞です【１】。同協会が発行する科学雑誌『Science』に毎年６月から翌年５月に掲載された研究論文のうち、基礎科学の進展に深く貢献するデータや理論、広く影響を及ぼす技術的成果を発表した論文の全著者に対して贈られます。
足立教授と萩野特任講師は、カリフォルニア大学サンタクルズ校のJonathan Zehr教授らとともに、B. bigelowiiの細胞内に観察される窒素固定細菌由来の小体が、細胞内共生の域を超えてオルガネラ（細胞小器官）としての特徴を持つことを明らかにした論文、「Nitrogen-fixing organelle in a marine alga」（2024年４月12日号掲載）の共著者として受賞しました【２,３】。
この研究成果は、複雑な生命の進化において極めて重要であり、生物学では数回しか起こらなかったと思われるオルガネラの進化についての洞察を明らかにし、細胞生物学の理解を根本的に広げる発見であることが評価され、受賞につながりました。
＜受賞者のコメント＞
・足立教授
本論文において報告された海産微細藻類におけるニトロプラストの発見は、葉緑体やミトコンドリアなどに続く新しいオルガネラの発見、さらには全海洋の窒素循環における本微細藻の役割の解明といった、生物学の根幹に対する貢献に加えて、真核生物における窒素固定機構解明による、窒素固定植物の創生など農業革命に関わる応用研究にも繋がる可能性を秘めており、長年海洋微細藻に関わる研究に携わり得られた知識・経験が、本発見に貢献して今回の受賞にも繋がったことは、とても感慨深いものがある。
・萩野特任講師
30年前の高知大学理学部地学科での卒業論文研究をきっかけに始めたB. bigelowiiの研究が、これまでの多くの研究者との出会いや科学技術の進歩、そして共同研究によって大きく進展し、最終的にはオルガネラ化という生物進化や海洋における窒素循環の研究などの、基礎科学の進展につながったことを嬉しく思います。これまで研究に協力してくださった全ての皆様や研究機関に心より感謝いたします。今後もB. bigelowiiの研究を進めることにより、生物進化と海洋生態系研究の理解に貢献していきたいと思います。
【１】米国科学振興協会・ニューカム・クリーブランド賞（英語）
https://www.aaas.org/awards/newcomb-cleveland-prize/about
【２】米国科学振興協会・受賞理由説明（英語）
https://www.aaas.org/news/aaas-announces-2025-award-winners?intcmp=homec-news&utm_id=reclaUbiOOSQrBpdi
【３】海産微細藻類における窒素固定型シアノバクテリアのオルガネラ化（細胞内小器官化）の進行を明らかに
htps://www.kochi-u.ac.jp/information/2024040100016/
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