BSI(英国規格協会)、パンデミックとリモートワークへの急速な移行が若者の働き方に与えた影響について調査を実施 「共に進化する:次世代を惹きつける組織へ ― ハイブリッド時代の人材戦略と職場設計」レポートを発表
BSIグループジャパン株式会社

本プレスリリースは2025年4月8日(英国時間)に英国で配信されたプレスリリースの抄訳版です。
2025年4月8日:英国規格協会(British Standards Institution、以下「BSI」)は、新型コロナウイルスのパンデミックとリモートワークへの急速な移行が若者の働き方に与えた影響に関するグローバル調査を実施し、調査結果をまとめたレポート「共に進化する:次世代を惹きつける組織へ ― ハイブリッド時代の人材戦略と職場設計(Evolving Together:Enabling The Hybrid Generation To Flourish at Work)」を発表しました。本レポートによると、若手社員の過半数(64%)が、完全出社はリモートワークよりも給与が高くあるべきだと考えていることが明らかになりました。
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BSI(英国規格協会)、パンデミックとリモートワークへの急速な移行が若者の働き方に与えた影響について調査を実施 「共に進化する:次世代を惹きつける組織へ ―ハイブリッド時代の人材戦略と職場設計」レポートを発表
● 2020年以降に新社会人となった人口は世界で約2億人(※1)。この世代は、パンデミック以前の職場環境をほとんど知らず、出社とリモートワークを組み合わせた「ハイブリッド世代」を形成しています。
● ワークライフバランスは、仕事のモチベーションにおいて最も重要な要素となっています。
● 社会的不安を考慮した場合、ハイブリッドまたはリモートワーク勤務をしている4人に1人が完全出社が求められる仕事に就くことを迷うと回答しました。
● 過半数(64%)が、完全出社が求められる仕事には、より高い賃金が支払われるべきと考えている一方で、フルリモートワークは最も人気のない働き方となっています。
本調査は、英国のシンクタンクであるResPublicaと共同で実施されたもので、パンデミック中またはそれ以降に就職した世界の4,700人を対象としたアンケートと、一連のフォーカスグループインタビューおよび国際的な文献調査から構成されています。
これはBSIが世界9カ国(オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、オランダ、英国、米国)のビジネスリーダー932人を対象に行ったAI成熟度に関する調査結果をもとに、AIが仕事に与える影響について考察したレポート「共に進化する:AI人材の活躍(Evolving Together: Flourishing in the AI Workforce)」シリーズの一環として実施され、パンデミック以前の職場の経験を持たない、出社とリモートワークを組み合わせた「ハイブリッド世代」が、パンデミック下という特異な状況の中でどのように形成され、どのような影響を受け、それが仕事の未来をどのように形成していくかについて、極めて重要な洞察を示しています。
■柔軟性を重んじるハイブリッド世代には、個と組織をつなぐ統合力が求められる
出社とリモートワークのハイブリッドな勤務体制は最も人気があり、37%が好ましいと回答しているのに対し、フルリモートワークはわずか16%でした。また、回答者の4分の1強(27%)が完全出社を希望し、20%が出社をメインとした勤務を希望していると回答しました。
本レポートによると、一貫した方針と信頼に基づく企業文化の必要性も強調されました。現在リモートまたはハイブリッドワークをしている回答者のほぼ半数(49%)が、もし会社から完全出社を求められた場合、仕事を辞めたいと思うと回答しました。しかし、対面でのコミュニケーションの重要性も理解されており、回答者の60%が、ハイブリッドであっても、チームが顏を合わせて直接会話できるように「全員出社の日」を設けるべきだと回答しています。さらに、現在ハイブリッドで働いている人の36%は、フルリモートワークの職場の仕事を検討することはないと回答しました。
71%の回答者は、完全出社が必要な仕事には他の柔軟なオプション、たとえば従業員は特定の時間帯にのみ出勤を義務付けられ、残りはフレキシブルに働ける「コアタイム」や、週の所定労働時間は変えずに、1日あたりの就業時間を長くして、その分就業日数を減らす勤務形態やパートタイム勤務などの制度を提供すべきであると回答しました。
■報酬は重要だが、ワークライフバランスが肝心
回答者の約3分の2(64%)が、完全出社の仕事には、より高い賃金が支払われるべきだと思うと回答しました。しかし、仕事のモチベーションとして最も重要な要素はワークライフバランスであることも判明しました(49%)。そして、安定した仕事(43%)、金銭的インセンティブ(39%)が続きます。これは、リモートワークとハイブリッドワークがもたらす経済的なメリットが一部影響していると考えられます。リモートワークとハイブリッドワークをしている人の59%は、オフィスや勤務地への通勤に1時間以上かかるため、出社しないことで出費を減らすことができると回答しています。
■彼らはつながりを大切にする
本レポートでは、これまでの議論で見落とされがちな要素についても明らかにしました。ハイブリッドワークは好まれる勤務体制である一方、かなりの割合(調査対象国によって27%から55%)が対面での会議や交流を非常に重視していました。回答者の過半数(52%)が、1対1の会話では対面が最も望ましいとし、昔ながらの電話を選んだのはわずか7%でした。また、3人以上の同僚と会議をする場合、46%は対面が望ましいと回答したのに対し、カメラをオンにしたウェブ会議が望ましいと回答したのは26%にとどまりました。
また、レポートの結果から、回答した国ごとに明確な差が見られました。対面での会議を好む回答者は、日本ではわずか27%であったのに対しイギリスは55%でした。ウェブ会議に関しては、日本は「カメラオフ」を好む傾向が強く35%にのぼる一方、中国ではその割合はわずか5%にとどまりました。
■ウェルビーイング、メンタルヘルス、そして孤立、それぞれが影響しあっている
回答者の3分の1(34%)は、パンデミック時に行ったリモートワークによってメンタルヘルスに悪影響があったとしていますが、約5分の3(57%)は、ハイブリッドワークによってメンタルヘルスが向上したと回答しています。5人に1人以上(22%)は、社会的不安が、新たに完全出社での仕事に就くかどうかの決断に影響すると回答しました。この割合は、すでにリモートワークで勤務している人に限ると4人に1人が該当します。
Z世代の孤独と孤立が世界的に議論されていますが、この世代は対面での働き方がもたらす社会的なメリットを認識しています。4分の3近く(73%)が最初の職場で友人を作り、半数以上(55%)がメンターを見つけ、半数近く(48%)が少なくとも月に1回は同僚と交流の機会をもつと回答しており、対面での職場経験が人とのつながりや自己成長の機会を提供し、メンタルヘルスにポジティブな影響をもたらすことが示されました。
BSIの最高責任者(CEO)であるSusan Taylor Martinは、次のように述べています。
「パンデミックから5年が経ち、世界中の組織は今でも最も効果的な働き方は何かについて模索し続けています。BSIはこの大きな激動期の中でキャリアをスタートさせ、パンデミック以前の典型的な働き方を知らない世代の詳細な実態を把握するために、この重要な調査を実施しました。調査結果は、この世代を“lazy generation”とする文化的な対立を煽る言説に対し、強力な反論となります。むしろ彼らは、人生と仕事に何を求めるかを慎重に考え、それと交換に失うものについても理解している世代であることが明らかになりました。
彼らは将来のリーダーです。人材の確保、維持、そしてその人材から最大限の成果を引き出す方法を考えている組織は、若手社員たちがどのような道のりを歩んできたかを理解し、共感することからはじめ、彼らがキャリアに何を求めているのかを把握し続けることで、確実にその恩恵をうけるでしょう」
BSIグループジャパン株式会社 代表取締役社長である漆原 将樹は、次のように述べています。
「時代とともに働き方は見直され、パンデミックを契機にリモート勤務など柔軟な働き方が急速に浸透しました。こうした変化の中で、パンデミック期にキャリアをスタートさせた“ハイブリッド世代”は、これまでとは異なる価値観を持つようになっています。彼らはワークライフバランスやウェルビーイングを重視し、持続可能で安定したキャリアを志向しています。
価値観の共有や信頼に基づく企業文化が、物理的なオフィス勤務以上に重要視される今、組織には個人の多様なニーズに応えると同時に、透明性と健全性を備えた働く環境づくりが求められています。特に少子高齢化が進む日本では、若年層の活躍を支える環境づくりが企業の持続的成長の鍵となります。
私たちは、今後もこうした企業文化の醸成や健康で安心して働ける職場づくり、および人的資本に取り組む企業の皆様を支援してまいります」
BSIの「共に進化する:次世代を惹きつける組織へ ― ハイブリッド時代の人材戦略と職場設計(Evolving Together: Enabling The Hybrid Generation To Flourish at Work)」では、この他に以下の項目を取り上げています。
● 性別、セクター、国・地域による差異と規範
○ 英国、米国、フランス、ドイツ、日本、中国、インド、オーストラリア
○ セクター別内訳:建築環境、小売、食品・農業、ヘルスケア
● 仕事に対する姿勢、キャリア開発の優先順位と忠誠心
● マネジメントとトレーニングに関する志向性
● 健康、ウェルビーイング、社会的つながり
● 働き方、会議の方法、テクノロジー活用に関する志向性
● パンデミックとロックダウンの経験
レポートの全文(英語)は、こちらのページよりダウンロードいただけます。
URL:
https://www.bsigroup.com/en-GB/insights-and-media/insights/whitepapers/evolving-together-enabling-the-hybrid-generation-to-flourish-at-work/
(※1)国際労働機関(ILO)の「仕事の未来100周年記念イニシアチブ」の数字に基づく推定値(2025年3月)
■調査方法について
本調査は、英国における新たな経済・社会・文化の在り方を探る独立系の非党派シンクタンクResPublicaと提携して実施されました。本調査の結果は、BSI、ResPublica、Bursonの3社のインプットをもとに、定性的・定量的データを組み合わせて作成されています。
調査の構成要素は以下のとおりです。
● 2025年1月にメディアおよびデジタルチャネルを通じて証拠募集を実施しました。
● 2025年1月から3月にかけて、経済分析および文献レビューを実施しました。
● 2019年から2024年に労働市場に参入した4,710人を対象に、オーストラリア、中国、フランス、ドイツ、インド、日本、英国、米国の8ヵ国にわたる複数市場・セクターで世論調査を実施しました。
● 2025年2月14日から24日にかけて、Focaldataを通じてBursonがフィールドワークを実施しました。
● 2025年1月から2月にかけて、キャリアをスタートさせた若手社員を対象にフォーカスグループインタビューを実施しました。
● 英国のメンタルヘルス関連の慈善団体であるMindやAGCAS(Association of Graduate Careers Advisory Services)などの組織の代表者に対し、1対1のインタビューを実施しました。
■BSI(英国規格協会)とBSIグループジャパンについて
BSI(British Standards Institution:英国規格協会)は、ビジネス改善と標準化を推進する機関です。設立以来1世紀以上にわたって組織や社会にポジティブな影響をもたらし、信頼を築き、人々の暮らしを向上させてきました。現在190を超える国と地域、そして80,000社以上のお客様と取引をしながら、専門家、業界団体、消費者団体、組織、政府機関を含む15,000の強力なグローバルコミュニティと連携しています。BSIは、自動車、航空宇宙、建築環境、食品、小売、医療などの主要産業分野にわたる豊富な専門知識を活用し、お客様のパーパス達成を支援することを自社のパーパスと定めています。
気候変動からデジタルトランスフォーメーションにおける信頼の構築まで、あらゆる重要社会課題に取り組むために、BSIはさまざまな組織と手を取り合うことによって、より良い社会と持続可能な世界の実現を加速し、組織が自信を持って成長できるよう支援しています。
BSIグループジャパンは、1999年に設立されたBSIの日本法人です。マネジメントシステム、情報セキュリティサービス、医療機器の認証サービス、製品試験・製品認証サービスおよび研修サービスの提供を主業務とし、また規格開発のサポートを含め規格に関する幅広いサービスを提供しています。
■ResPublicaについて
ResPublicaは、英国の独立系公共政策シンクタンクであり、思想的リーダーシップの発揮、研究、政策革新を行っています。ResPublicaは、英国のすべてのコミュニティに経済的繁栄をもたらすとともに、組織・企業・個人における優れた実践を促進し、強く繁栄する社会の実現を目指しています。
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