ビジネス – とれまがニュース

経済や政治がわかる新聞社や通信社の時事ニュースなど配信

とれまが – 個人ブログがポータルサイトに!みんなでつくるポータルサイト。経済や政治がわかる新聞社や通信社の時事ニュースなど配信
RSS
経済総合 市況 自動車 ビジネス 中国
とれまが >  ニュース  > 経済ニュース  > ビジネス

ヒトIgA腎症の発症・悪化に糸球体内皮細胞の炎症が関与することを先端的解析技術によって証明(北里大学)

北里大学

ヒトIgA腎症の発症・悪化に糸球体内皮細胞の炎症utf-8



北里大学医学部腎臓内科学の内藤正吉准教授、川島永子助教は、協和キリン株式会社 (研究本部) の長谷川久美、松原正浩らとの共同研究により、先端的マルチオミックス解析技術を用いたヒト腎臓バイオロジーの理解基盤の構築に基づき、IgA腎症患者の糸球体内皮細胞の同定、および遺伝子プロファイリングの特定に成功しました。本研究成果は、2025年6月12日付で、英国Springer Nature社の国際科学誌「Communications Biology」にオンライン公開されました。




■研究成果のポイント
・先端的解析技術であるシングルセルRNAシークエンスと空間トランスクリプトーム解析を統合することで、世界で初めてIgA腎症患者における糸球体内皮細胞クラスターを特定し、その発現遺伝子プロファイルを同定
・IgA腎症患者の糸球体内皮細胞に特徴的な新規炎症関連分子群、および炎症反応経路を同定
・IgA腎症患者では、メサンギウム細胞よりも糸球体内皮細胞における炎症反応が亢進していたことから、糸球体内皮細胞炎症反応の活性化が血管内皮細胞の透過性を亢進させ、メサンギウム細胞にガラクトース欠損 (Galactose-deficient(Gd)-IgA1) が沈着するという病態機序を提案


■研究の背景

IgA腎症は、世界中で最もよくみられる原発性糸球体腎炎ですが、未だ決定的な治療法が存在していません。IgA腎症はガラクトース欠損IgA1(Gd-IgA1)を含む免疫複合体が糸球体メサンギウム細胞に沈着する疾患と定義されますが、血液中に存在するGd-IgA1がメサンギウム細胞に沈着する原因はまだよくわかっていません。最近、自然発生IgA腎症動物を用いたシングルセルRNAシークエンス (scRNA-seq) の解析で、糸球体内皮細胞における炎症により血管透過性が亢進し、Gd-IgA1がメサンギウム細胞に沈着することが報告されました。しかし、患者組織に関するscRNA-seq解析が行われていたものの、個々の細胞の位置情報は不明でした。このため、IgA腎症における糸球体内皮細胞に関する正確な情報は不明でした。


■研究内容と成果
今回我々は、軽症IgA腎症患者と健常者の腎組織を用いて、scRNA-seqで得られた情報と空間トランスクリプトーム解析 (ST-seq) とを統合することで、組織における位置情報を保持しながら遺伝子発現を網羅的に測定することに成功しました。
この解析から、新たに以下の点が明らかになりました: ① 解剖学的に糸球体に位置する糸球体内皮細胞のクラスターおよび発現遺伝子プロファイルを同定、② 軽度IgA腎症の糸球体内皮細胞で病態関与が示唆される新規炎症関連分子を同定、③ 軽症IgA腎症患者の糸球体内皮細胞で亢進している炎症反応経路を同定。さらに、軽症IgA腎症患者ではメサンギウム細胞よりも糸球体内皮細胞で活発な炎症反応が観察されていたことから、病態として「糸球体内皮細胞の炎症反応が亢進することで、血管内皮細胞の透過性が亢進し、メサンギウム細胞にGd-IgA1が沈着する」という機序が提案されました。



■今後の展開
IgA腎症は、現在でも根治療法が確立されておらず、本症を原因として透析療法が必要となる患者が後を絶ちませんが、世界中で創薬研究が盛んに進められている疾患でもあります。本研究で得られた知見は、軽症IgA腎症患者に対するより効果的な治療薬を選択する際に重要な情報をもたらします。さらに、複雑な構造を持つ腎臓は患者組織内の構造を反映させることが課題でしたが、本研究で確立された新しい手法を利用して、腎疾患に対する新薬開発や疾患活動性に対するマーカー探索が加速することが期待されます。


■論文情報
掲載誌:Communications Biology
論文名:Inflammation-associated molecules in the glomerular-endothelium in mild IgA-nephropathy patients identified by single-cell and spatial transcriptome
著 者:*Kumi Hasegawa, Nagako Kawashima, Ayako Kawabata, Megumi Sakakura, Naoki Onoda, Takashi Sano, Itaru Urakawa, Masahiro Matsubara, *Shokichi Naito (*責任著者)
DOI:10.1038/s42003-025-08325-z
URL:https://doi.org/10.1038/s42003-025-08325-z



■用語解説
注1) IgA腎症:「4ヒット理論」として知られる、ガラクトース欠損IgA1(Gd-IgA1)を含む免疫複合体が糸球体メサンギウム細胞に沈着する過程で進行する疾患と考えられている、世界で最も罹患者数が多い原発性糸球体腎炎。しかし、詳しい原因は未だ不明である。
注2)メサンギウム細胞:腎臓の最初の尿生成過程を行う糸球体を構成する3種の細胞の一つ。
注3)シングルセルRNAシークエンス(scRNA-seq):次世代シークエンス技術を用いることで、個々の細胞に発現する全転写産物の種類と量を網羅的に検出する技術。
注4)空間トランスクリプトーム解析(ST-seq):次世代シークエンス技術を用いることで、組織上の微小スポット領域ごとに、空間情報を保持したまま網羅的に遺伝子発現解析を行う技術。遺伝子発現結果を可視化し、mRNA発現パターンを明らかにする注目の解析技術。


■その他
本プレスリリースの図は、原論文「Inflammation-associated molecules in the glomerular-endothelium in mild IgA nephropathy patients identified by single-cell and spatial transcriptome」の図を引用・改変したものを使用しています。

■問い合わせ先
【研究に関すること】
 北里大学医学部 腎臓内科学
 准教授 内藤 正吉
 e-mail:snaito@med.kitasato-u.ac.jp



【報道に関すること】
 学校法人北里研究所 広報室
 TEL:03-5791-6422
 e-mail:kohoh@kitasato-u.ac.jp



【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

ヒトIgA腎症の発症・悪化に糸球体内皮細胞の炎症utf-8ヒトIgA腎症の発症・悪化に糸球体内皮細胞の炎症utf-8

記事提供:Digital PR Platform

記事引用:アメーバ?  ブックマーク: Google Bookmarks  Yahoo!ブックマークに登録  livedoor clip  Hatena ブックマーク  Buzzurl ブックマーク

ニュース画像

一覧

関連ニュース

とれまがファイナンス新着記事

とれまがマネー

とれまがマネー

IR動画

一覧

とれまがニュースは、時事通信社、カブ知恵、Digital PR Platform、BUSINESS WIRE、エコノミックニュース、News2u、@Press、ABNNewswire、済龍、DreamNews、NEWS ON、PR TIMES、LEAFHIDEから情報提供を受けています。当サイトに掲載されている情報は必ずしも完全なものではなく、正確性・安全性を保証するものではありません。当社は、当サイトにて配信される情報を用いて行う判断の一切について責任を負うものではありません。

とれまがニュースは以下の配信元にご支援頂いております。

時事通信社 IR Times カブ知恵 Digital PR Platform Business Wire エコノミックニュース News2u

@Press ABN Newswire 済龍 DreamNews NEWS ON PR TIMES LEAF HIDE

Copyright (C) 2006-2025 sitescope co.,ltd. All Rights Reserved.