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【日本大学】女性に多い非結核性抗酸菌症の研究で新知見 腸内環境の乱れが発症、再発を誘発する可能性

日本大学



 近年急増中の非結核性抗酸菌症は女性に多く,複数の抗菌薬を用いた長期の治療を必要としますが,治療後も再発・再感染率が高いといわれるものの,発症・進行のメカニズムについては完全に解明されていません。

【概要】
 日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野の神津悠助教、丸岡秀一郎准教授、權寧博教授らの研究チームはシン・バイオシスソリューションズ(東京都千代田区)と共同で、女性に多い非結核性抗酸菌症による肺疾患の発症、再発に腸内フローラ〈腸内細菌叢〉の乱れが関与していることを明らかにしました。研究グループは、「腸内環境を良好な状態に保つことが、同疾病の予防や再発防止につながる可能性がある」としており、今後さらに研究を進める方針です。





研究の要旨とポイント

・非結核性抗酸菌(nontuberculous mycobacteria:NTM)による肺疾患(nontuberculous mycobacterial pulmonary disease:NTM-PD)は、抗酸菌のうち結核菌、らい菌を除いた非結核性抗酸菌に感染することで、長引く咳や痰などの症状が現れる疾病で、女性の患者が多い特徴があります。
・NTM-PDの治療は複数の抗菌薬を用いた長期の治療を必要としますが、治療後も再発または再感染率が高いことが報告されています。一方で、NTM-PDの発症・進行のメカニズムについてはいまだ完全には解明されておらず、その解明が急務となっています。
・本研究では、NTM-PDの治療前、治療中および再発の3つのグループ(以下、治療前群、治療中群、再発群)に分けてNTM-PDと腸内細菌叢の関連性を調査し、抗菌薬を用いた治療が腸内細菌叢の構成にどのような影響をおよぼすかを明らかにしました。
・健常者群と違いのある腸内細菌の分類群を調べた結果、治療前群と再発群で多くの菌が共通していました(SutterellaおよびPrevotellaなど)。これらは、NTM-PDの罹患に関連する腸内細菌である可能性があります。
・ともに治療経験を有する治療中群と再発群の間では、健常者群と違いのある腸内細菌として9つの菌が共通して観察されました。これは、治療後も腸内細菌叢の異常(dysbiosis)が維持される可能性を示唆しています。
・本研究の成果は、NTM-PDの発症・進行のメカニズムについて新たな知見を提供するとともに、腸内細菌叢の改善を介したNTM-PDの予防・治療方法の開発につながると期待されます。

【研究内容】
■背景
 非結核性抗酸菌による肺疾患(NTM-PD)の発生率は世界的に増加していると報告されています。日本も例外ではなく、発生率が増加しており、公衆衛生上の懸念事項として認識されています。2009年から2014年までの日本の健康保険請求のデータを分析した全国的な研究では、新たにNTM-PDと診断された症例の69.6%が女性で、平均年齢は69.3歳となっており、特に痩せ型の高齢女性に多く見られる傾向が報告されています。NTM-PDの治療は難しく、多くの場合、複数の抗菌薬を用いた長期の治療を必要とします。また、抗菌薬を用いた治療が無事に完了した後でも、半数近くの患者で微生物学的再発(再度の非結核性抗酸菌による感染)が起きる可能性があります。
 しかしながら、NTM-PDの発症・進行のメカニズムついては完全には解明されておらず、その解明が急務となっています。近年の国外の研究からは、腸内細菌叢の異常がNTM感染の素因に寄与する可能性が報告されています。一方で、日本人の腸内細菌叢は、諸外国とは異なるユニークな構成を示すことが報告されていることから、諸外国の腸内細菌叢の研究結果が日本人にもあてはまるとは限りません。
 そこで本研究では、治療前、治療中、再発の治療状況が異なる50代から80代の日本人NTM-PD女性患者の腸内細菌叢を調べることで、NTM-PDと腸内細菌叢の関連、さらには抗菌薬を用いた治療の課題を明らかにすることを目指しました。

■研究手法と成果
 研究チームは、日本人50~80代のNTM-PD患者群(女性20名)と健常者の対照群(健常者群。女性20名)の腸内細菌叢を、次世代シーケンサー※2を用いた16S rRNA遺伝子配列解析※3により比較しました。
 その結果、治療前群と再発群では、Sutterella、Adlercreutzia、Odoribacter、およびPrevotellaの相対存在量が健常者群と比較して少ないこと、Erysipelatoclostridium、Massilimicrobiota、Flavonifractor、Eggerthella、およびFusobacteriumの相対存在量が健常者群と比較して多いことが共通していました(図中AおよびCのアスタリスク)。これらの腸内細菌はNTM-PDの罹患に関連している可能性があります。
 また、治療前群と治療中群の間で、健常者群と比較して相対存在量が少ない腸内細菌を比較すると、そのほとんどが異なっていました(図中AおよびBの青色箇所)。さらに、ともに治療を経験している治療中群と再発群の間では、健常者群と違いのある腸内細菌として9つの菌が共通していました(図中BおよびC)。これは、治療後も腸内細菌叢の異常が維持される可能性を示唆しています。
 以上の結果から、抗菌薬を用いた治療が、腸内細菌叢のさらなる異常を引き起こすだけでなく、変化した腸内細菌叢の構成を長期的に固定化し、それが治療後のNTM-PDの再発に関連する可能性が示唆されました。
 したがって、再発を防ぐためには、治療後にプロバイオティクスやプレバイオティクスなどによる積極的な腸内細菌叢の改善を行うことが有効な手段の一つと考えられます。また、これらの結果は、日常的に腸内細菌叢を良好な状態に保つことがNTM-PDの有効な予防策になることを示唆しています。そのため、腸内細菌叢の状態を定期的に検査し、必要に応じて食生活等を介した腸内細菌叢の改善に取り組むことがNTM-PDのリスク回避につながると考えられます。

【今後の展開】
本研究で明らかとなったNTM-PDと腸内細菌叢の関連性は、NTM-PDの発症・進行のメカニズムの理解、腸内細菌叢をターゲットとする新たなNTM-PDの予防・治療方法の開発につながることが期待されます。

【用語解説】
※1 腸内細菌叢
ヒトの腸内には1,000種以上、10~100兆個程度の腸内細菌が共生しており、重さにして約1.5 kgと考えられている。腸内細菌はそれぞれテリトリーをもって生息しており、その全体を「腸内細菌叢」と呼んでいる。

※2 次世代シーケンサー
一度に大量の塩基配列を決定することができる次世代型の塩基配列決定機器。旧世代型に比べ、同時処理可能なDNA断片数が桁違いに向上し、目的サンプルの大量塩基配列データを得ることができる。

※3 16S rRNA遺伝子配列解析
16S rRNA遺伝子配列は、細菌の進化の道筋(系統関係)によって異なっており、配列を調べることで細菌が属する分類群(属や種など)を明らかにすることができる。そのため、細菌の系統マーカー遺伝子として利用される。

※4 効果量
ある現象に対して、着目している変数がどの程度の影響力を持っているのかを指標化した量のこと。

【論文情報】
本研究成果は、国際学術誌『Biomedicines』(2025年5月21日付)に掲載されました。
タイトル:Gut Microbiota Dysbiosis in Japanese Female Patients with Nontuberculous Mycobacteria-Associated Lung Disease: An Observational Study.
著者:Kono K, Kozu Y, Yokota S, Hatayama K, Mizumura K, Maruoka S, Masuyama H, Gon Y.
DOI: 10.3390/biomedicines13051264.

【問い合せ先】
神津 悠(こうづ ゆたか)
丸岡 秀一郎(まるおか しゅういちろう)
日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
所在地:〒173-8610 東京都板橋区大谷口上町30-1
TEL: 03-3972-8111 内線2402
E-mail: kozu.yutaka@nihon-u.ac.jp
maruoka.shuichiro@nihon-u.ac.jp

※取材にお越しいただく際は,あらかじめ上記連絡先までご一報願います。



【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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