【イベントレポート】「アニマルウェルフェア」をテーマに、入居メンバーとともに持続可能な畜産の未来をビジネス視点で探索
WWJ株式会社

WeWork には、大企業やスタートアップ、自治体など、多様なメンバーが入居しており、メンバー間をつなぐコミュニティチームによるイベントやマッチング支援により、コラボレーションやイノベーションが生まれ続ける仕組みづくりを促進しています。
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WeWork では、スマートシティ / 環境 / 交通 / エンタメ&レジャー / ヘルスケア / 自治体 / オープンイノベーションの7つの注目分野ごとにプロジェクトを立ち上げ、コミュニティ形成やイノベーション創出に注力しています。
注力分野の一つ「環境(Environment)」においては、
環境に関心のある企業が集まり、情報交換を行う
WeWork を利用するメンバーの環境への意識を改革し、行動変容を促すために一緒に取り組む
環境プロジェクトを利用して課題を解決したい企業の共創の場となる
を目的とし、2025年にプロジェクトチームが発足しました。
まずは、環境分野のソリューションを持っていたり、環境問題に関心の高い入居メンバーに声をかけ、 WeWork コミュニティの中で実施可能なアクションを考えるアイデアソンイベントを、4月と6月に開催しました。4月は13社16名、6月は15社28名と回を重ねるごとに参加者が増え、入居メンバー同士の連携と、新たな価値創造を目指す土台を作ってきました。
そして、6月のハッカソンイベントにおいて提案された入居メンバーのアイデアから開催に至ったのが、8月5日、WeWork 乃木坂で開催した本イベントです。企業のサステナビリティ、購買・調達、新規事業などの担当者、人材開発に関わる企業・団体、持続可能な食の未来に関心を持つ一般参加者など、多様なバックグラウンドを持つ参加者が集まり、22社23名が参加。欧州で広がる「アニマルウェルフェア(動物福祉)」を切り口に、私たちの暮らしや環境とのつながりを見つめ直し、これからの畜産のあり方やサステナブルな食の未来について議論を深めました。
<イベント概要>
アニマルウェルフェアをテーマに、持続可能な食の未来をビジネス視点で探索する対話型イベント
日時:8月5日(火)18:00-20:30
場所:WeWork 乃木坂
主催:Lively合同会社、WeWork Japan
登壇者:
・Lively合同会社 Co-Founder & Co-CEO 三浦 友見 氏
・東京農工大学大学院 農学研究院 教授 新村 毅 氏
・アニマルウェルフェア・コーポレート パートナーズ(AWCP) シニアコーポレートコンサルタント 福田 証子 氏
■ アニマルウェルフェアは世界の共通認識
まずは、Lively合同会社 三浦氏より、「アニマルウェルフェアの基本」「採卵鶏を取り巻く4つの飼育システム」「なぜアニマルウェルフェアが必要なのか」をご説明いただきました。
欧州では1970年代からアニマルウェルフェアに関する法整備や規制が進み、WOAH(国際獣疫事務局)は、アニマルウェルフェアを「動物が生きて死ぬ状態に関連した、動物の身体的及び心的状態をいう」と定義しているそうです。この定義は、動物の身体的な健康だけでなく、心理的な幸福にも配慮する必要があることを示しており、その指標として以下の「5つの自由」が用いられるとご説明いただきました。
① 空腹と渇きからの自由
② 不快からの自由
③ 痛み、損傷、疾病からの自由
④ 恐怖と苦悩からの自由
⑤ 正常行動発現の自由
そして、「従来型ケージ(金属製のケージに複数羽の鶏を収容する)」「エンリッチドケージ(従来型ケージを改良し、鶏が自然な行動を取れる)」「エイビアリー(平飼い)」「放牧」という採卵鶏の4つの飼育システムを例に、それぞれに長所短所があり完全な飼育システムは存在しないことに加え、日本を含むアジアの大部分は従来型ケージによる管理がされる一方、EUでは2021年からその管理方法は禁止されていることなど、世界の情勢をお伝えいただきました。
続いて、アニマルウェルフェアの必要性やビジネスインパクトの事例として、イギリスの主要な投資イニシアティブであるBBFAWおよびFAIRRが、フードサプライチェーンにおけるアニマルウェルフェアと食の安全リスクを重要なESG課題として位置付けていることや、国際認証制度、BBFAWが掲げる企業がたどるべき5つのステップを紹介。
① 畜産動物福祉のポリシーコミットメント
② 畜産動物福祉のガバナンス・マネジメント
③ 畜産動物福祉のターゲット
④ 畜産動物福祉のパフォーマンス・インパクト
⑤ 動物由来食品への依存の低減
さらに、アジアでも近年、アニマルウェルフェアへの関心や規制強化の動きが広がっていることや、サステナビリティ経営を目指す企業にとってアニマルウェルフェアは環境・倫理・ビジネスの観点から重要なテーマとなっている現状、今後企業が行動を起こさなかった場合に発生しうるリスクまでをご説明いただきました。
■ 次世代型畜産福祉モデル鶏舎「Unshelled」
続いてアニマルウェルフェアの第一人者である東京農工大学 新村毅氏が開発されたモデル鶏舎「Unshelled(アンシェルド)」からのライブ中継を実施しました。Unshelledは、2025年1月に東京農工大学の府中キャンパス内に完成し、「飼育現場を見せる鶏舎」として養鶏を身近に感じてもらい、養鶏を人間と動物の両者にとってより良いものにするための議論や研究を行っています。参加者はまず、従来イメージしていた鶏舎とは異なることに驚き、先ほど紹介された採卵鶏の4つの飼育システムを現地中継によって見せていただいたことで、臨場感を味わい、より理解を深めることができました。
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次世代型畜産福祉モデル鶏舎「Unshelled」
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■ まずは対話からはじまるアニマルウェルフェア
三浦氏や福田氏によるレクチャー、Unshelledからのライブ中継によってインプットを得た参加者は、グループワークを実施。意見交換や対話を行うことで、新たな気づきやアイデアが数多く生まれました。その後の懇親会では、マイボトル、マイタンブラーを持参の参加者の姿も多く見られ、サステナビリティに配慮した軽食を楽しみながら、カジュアルな雰囲気の中で、これからの畜産のあり方やサステナブルな食の未来についてアイデアを共有しました。
参加者からは、
「動物福祉という視点から食や環境を考えるのは新鮮で、社内にも持ち帰りたい」
「学術的な話と実際の取り組みがバランスよく、議論が深まった」
「軽食や交流の時間で気軽に意見交換でき、ネットワーキングにもつながった」
といった声が寄せられました。
本イベントは、アニマルウェルフェアの基本的な考え方、世界の情勢、そして私たちの暮らしやビジネスにどのような影響を与えるのかを知り、畜産とサステナビリティの接点を、理論と実例の両面から学ぶ機会となりました。また多様な立場の参加者が意見交換できるコミュニティの創出により、共創のタネが少しずつ芽吹いてきていることが感じられました。
次回、Lively合同会社および WeWork の環境プロジェクトでは、本イベント参加者および WeWork 入居メンバー限定のUnshelledモニターツアーが予定されています。
<Lively合同会社について>
Livelyは、「豊かな生命が息づく地球環境と持続可能な社会を次世代へ繋ぐ」ことを目指し活動する会社です。2022年12月の設立以来、ネットゼロ、サーキュラーエコノミー、生物多様性、人権、動物福祉といった領域において、国内外企業へのコンサルティングや新たな事業の創出に取り組んでいます。各メンバーは、事業会社・金融機関・コンサルティングファーム・法律事務所・大学・NGOなどの多様なバックグラウンドを活かし、企業への実践的なコンサルティングに加え、未来のイノベーション創出に向けた大学との共同研究や事業開発を行っています。
関連リンク
「アニマルウェルフェア」をテーマに、入居メンバーとともに持続可能な畜産の未来をビジネス視点で探索
https://wework.co.jp/contents/report/250919



記事提供:Digital PR Platform