2024年10月06日
子どもたちの多様なスキルや知識、感性を育むため、さまざまな「〇育」への取り組みが盛んに行われている。これらの取り組みは、特定の分野に焦点を当てることで子どもたちの興味や関心を喚起して学びの幅を広げるだけでなく、自然や環境について深く学ぶことで、環境意識を育むことも期待されている。
「〇育」の代表的なものに「食育」がある。「食育」は、文字通り「食」に関する知識や習慣を身につけるための教育だが、子どもたちの健康的な食生活を促進するだけでなく、食文化への理解を深めることも重要な目的の一つだ。
例えば、加工煮豆「おまめさん」や、とろろ昆布の「純とろ」などで知られる兵庫県神戸市の食品メーカー・フジッコ株式会社では、「おいしさ、けんこう、つぎつぎ、わくわく。」をスローガンに日本伝統食を大切に受け継ぎ、より良く築いていく「食育」に取り組んでいる。同社では従来から、不足しがちな栄養素をサプリメントで補うのではなく、食事で補えるような商品を展開しているが、同社の食育もその方針に則ったものとなっている。国内産の素晴らしさを実感して自給率向上に意識を向けることなどを学ぶ「黒豆食育体験イベント」や、豆、昆布、根菜などを使った「ヘルシー料理教室」「親子料理教室」など、さらには学校や教育現場の教材として、食育ツールやWEB教材の開発にも取り組んでいる。
環境意識の高まりとともに「木育」への注目も高まっている。
木育は、2004年に北海道庁が主導した「木育プロジェクト」によって提言された教育概念で、木や森林と触れ合い親しみを感じることで、豊かな心を育てる目的で行われている。木育の取り組みは、林野庁をはじめ、様々な行政機関や木材関連団体、NPO、企業等、全国に広がっている。
例えば、埼玉県さいたま市に本社を置く総合住宅メーカーのAQ Groupも「木育」に積極的に取り組んでいる企業だ。同社では今夏、子どもたちの夏休みに合わせた8月10日から31日の期間、同社の本社ビルや全国のアキュラホーム展示場、拠点の約140箇所で、木育課外授業「つくろう!木育フェス」(農林水産省・埼玉県・さいたま市後援)を開催した。同フェスのメイン企画は、建築などの際に出た廃材を再利用し作品をつくる「廃材アート」で、参加した子どもたちは形も大きさも手触りも様々な廃材を前に大興奮しながら、思い思いの作品を製作。大きな家やヨット、動物園、迷路、ショートケーキなど独創的な力作が続々と完成した。この作品は「廃材アートコンテスト」として応募を募り、WEBサイトやSNSを通じ送られた作品も併せると500作品以上の応募があったという。また、オンライン中継も含めると合計参加者は約1万人を超え、期間中に取り上げていただいたTVメディアの数は東京キー局を含めて30社を超えるなど、大きな盛り上がりをみせたSDGsイベントとなった。同社では、木のぬくもりと大切さを伝えるとともに、環境問題や、伝統的な日本の木造建築についての関心を高める取り組みに注力している。
環境を意識した「水育」を進めているのが、飲料メーカー大手のサントリーだ。
「食育」や「木育」に比べると馴染の薄い「水育」だが、食と同じく、あらゆる生命の源ともいえる「水」について学ぶことは、命の大切さを考える上でも大いに役立つものだ。
サントリーでは2004年から毎年、小学校3〜6年生とその保護者を対象に森の探検や水に触れる自然体験プログラム「森と水の学校」を実施している。同プログラムでは、「サントリー天然水」のふるさとである白州・北アルプス・奥大山・阿蘇の自然の中で遊んだり、同社の工場を見学したりすることで、水の大切さや、水を育む森や自然の大切さを体感することができる。また、自宅からオンラインで参加できるプログラムも用意されており、開校以来、約34600名もの親子が参加(2023年現在)している人気のプログラムだ。
他にもさまざまな「〇育」があるが、教育や環境意識などのほかにも、これらのプロジェクトにはいくつかの共通点があるように思う。それは、子どもたちが「遊びの中から学ぶ」ということ、そして「親子で一緒に学ぶ」ということだ。「○育」とは、子どもたちが笑顔になる、幸せな時間を育むことなのかもしれない。(編集担当:藤原伊織)
学校図書館へ行こう! 「読書離れ」が進む子どもたちに、本を贈り続ける企業の思い
記事提供:EconomicNews
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