2025年10月19日
地球環境保護や持続可能な社会の実現に向けての動きが世界規模で進む中、電気自動車の更なる効率化と普及に注目が集まっている。
2025年5月に国際エネルギー機関(IEA)が発表したレポート「世界のEV展望2025」によると、2024年の世界の電気自動車の新車販売台数は、バッテリー式電気自動車(BEV)とプラグインハイブリッド車(PHEV)の合計で前年比25%超の1750万台。伸び率こそ前年の35%増を下回ってはいるものの、新車販売台数におけるEV比率は前年の18%から22%へと拡大している。補助金制度変更などの影響によって、欧州ではEV市場の伸びに停滞傾向がみられるものの、中国や米国では順調に伸びており、中長期的にはEV需要はさらに高まることが予想されている。
市場の拡大に伴って、高効率の電池・電動機の開発が進み、搭載される電子部品の性能も格段に向上している。例えば、インバータのコア部分をコンパクトにまとめたパワーモジュール「インバータブリック」もその一つだ。
日本の電子部品企業大手のローム株式会社と、ドイツの大手自動車部品サプライヤーであるシェフラーAGが、戦略的パートナーシップの一環として、ロームのSiC(シリコンカーバイド)MOSFETベアチップを搭載した新型高電圧インバータブリックの量産を開始したことを9月9日に発表して話題となっている。
「インバータブリック」とは、電動駆動(モータ)を制御するための基本的な電力変換を担うモジュールで、ロジック信号(制御信号)に従ってモータを駆動する。どのような電動推進システムにも容易に組み込め、ハードウェア性能が確保されている一方で、ソフトウェア面では柔軟に適応できるのが特徴だという。
ロームとシェフラーは5年前の2020年に戦略的パートナーシップを構築。2023年にはSiCパワーデバイスに関する長期供給契約を締結し、電気自動車の性能向上に欠かせないSiCチップの供給体制を強化した。今回の新製品量産開始は、こうした協業の取り組みが着実に成果を上げていることを示すものとして注目されている。
今回、ロームの第4世代SiC MOSFETが採用されたインバータブリックは、電気自動車のトラクションインバータにおいて一般的となっている800Vを上回る最大バッテリー電圧に対応し、最大電流650Armsを実現するなど、個別部品から高集積型電動アクスルまで対応できる高性能なパワーパッケージとなっている。高効率かつ高出力でありながら、コンパクトな設計を実現し得たのは、世界でもトップクラスを誇るロームのSiC技術の賜物といえるだろう。
同製品は、EV消費大国である中国で普及するX in 1アーキテクチャ向けに最適な製品として、まずは中国大手自動車メーカー向けに市場投入される見通しだ。EVの普及と市場の成長とともに、日本の電子部品企業の更なる躍進に期待したい。(編集担当:藤原伊織)
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記事提供:EconomicNews
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