2026年04月03日
今回のニュースのポイント
交際費総額は4期連続増、コロナ前を2年連続で超過:2025年の交際費総額は約3,453億円に達し、コロナ禍前(2019年)を上回りました。1社あたりの平均額も343万円と、底を打った2021年から着実な回復を見せています。
営業利益に対する比率はコロナ前(8.1%)からほぼ半減:総額は増えたものの、営業利益に対する交際費比率(中央値)は4.1%と大幅に低下しました。物価高による飲食単価の上昇分を考慮しても、利益を交際費に振り向ける割合は抑制されています。
「収益向上への寄与」が問われる選別の時代へ:コロナ禍を経て「なくても困らない接待」が可視化されました。現在は無駄を削ぎ落とし、取引維持や新規開拓にどれだけ寄与するかという「ROI(費用対効果)」を厳格に見極める姿勢が強まっています。
東京商工リサーチ(TSR)が、2024年10月期から2025年9月期を最新期とする決算データに基づき、7期連続で交際費が判明した10万592社を分析したところ、国内主要企業の交際費総額は2025年に3,453億7,700万円を記録しました。これはコロナ禍前(2018年10月期〜2019年9月期)の3,367億8,200万円を2年連続で上回る数字です。4期連続の増加というデータだけを見れば、かつての「接待文化」が完全に復活したかのように見えますが、売上高や営業利益に対する支出比率を詳細に分析すると、コロナ前とは明らかに異なる企業側の慎重な姿勢が浮かび上がってきます。
具体的なデータを確認すると、2025年の交際費総額は前期比2.2%増となり、底となった2021年の約2,226億円から着実に積み上がっています。1社あたりの平均額も343万円まで戻りましたが、本質的な変化は「比率」の顕著な低下にあります。売上高に対する交際費比率(中央値)は0.61%と2019年の0.69%を下回り、さらに営業利益に対する比率(中央値)は4.1%と、コロナ禍前の2019年(8.1%)からほぼ半減しています。昨今の物価高で飲食単価が上昇している事実を踏まえれば、企業が接待の回数や対象を以前よりも厳密に選別しており、実質的には支出を絞り込んでいる実態が見えてきます。
この変化の核にあるのは、コロナ禍という強制的な「接待断絶期間」を経験したことによる構造的なシフトです。長らく慣習として続いてきた会食が止まったことで、代替手段やそもそも不要だった接点が明確になり、いわゆる「なくても困らない接待」が可視化されました。TSRも「交際費の位置づけが従来と変わり、交際費が収益向上に結びつくかが問われる時代になっている」と指摘しており、支出の必要性や営業戦略上の優先度を見極める姿勢が強まっているとみられます。こうした中で、オンライン面談と対面を使い分け、重要なクロージングや関係構築の局面のみに対面や接待を充てる「ハイブリッド営業」のスタイルが広がっています。
業種別の動向を見ると、対面営業や法人営業が重視される業界で交際費が高い傾向は依然として続いています。1社あたりの平均額では金融・保険業が1,228万円でトップ、次いで不動産業が810万円となりました。しかし、営業利益に占める交際費比率(中央値)では、2025年は建設業が4.6%で最高となる一方、平均額トップの金融・保険業は1.4%と全産業で最低水準に抑えられており、対面重視の業界であっても慎重な支出姿勢が鮮明です。これは、多額の交際費を投じる業界であっても「接待の効率化」という波が無縁ではないことを物語っています。
ここでの重要な読みどころは、企業の営業活動が「情緒的な関係性維持」から「戦略的な投資」へと変質している点です。かつては、とりあえず飲みに行って人間関係で繋ぎ止めるスタイルが交際費の多くを正当化してきました。しかし現在は、デジタルマーケティングやSaaSの普及により、接点から成約までのKPI(重要業績評価指標)をデータで追える領域が広がっています。営業コスト全体の配分が見直される中で、交際費もまた「どの接点が具体的な成果に寄与しているか」を測る対象となりました。営業の本質が、関係性一辺倒から戦略と効率の両立へと静かに移行しているサインだと言えます。
データが示唆するのは、接待文化がかつての形で復活することはなく、必要なものだけが残り、曖昧な支出は淘汰されるという未来です。企業は今後、どの取引先に対し、どのフェーズで対面リソースを割くべきかを、よりデータと戦略に基づいて判断することになるでしょう。今後は交際費だけでなく、出張費や採用費、広告費といった他の項目についても、同様の「使い方の変化」が起きていないか注視していく必要がありそうです。総額の多寡以上に、その支出が企業の成長戦略とどう結びついているか。交際費の推移は、日本企業の経営スタイルがより合理的で筋肉質なものへ進化している過程を映し出しています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)
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記事提供:EconomicNews
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