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建物は発電する存在へ 大成建設が電力自給実証

2026年04月20日

画像は蓄電池システムの外観と低圧水素貯蔵システ...

今回のニュースのポイント

太陽光と水素で「電力自給」を実証:大成建設は、横浜市の技術センターにおいて、太陽光発電、蓄電池、水素エネルギーを組み合わせた電力自給型建物の実証を進めています。

外部電源に頼らない「完全自律運転」を検証:太陽光発電のみで、365日を通じて商用電源に頼らず建物を運用する「完全自律運転」を実現できるか検証しています。

エネルギー供給不安と需要増が背景:地政学リスクに伴うエネルギー安全保障への懸念や、AI・データセンター増設による電力需要の増加、脱炭素への要請が、建物単位での自給を後押ししています。

電力インフラの分散化を促進:個別の建物がエネルギーを自給し、系統への依存度を下げる動きは、停電時の事業継続(BCP)や、電力網全体の負荷分散にも寄与すると期待されています。

建物が電力を自ら生み出し運用する動きが広がっています。大成建設が横浜市の技術センター「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」で進めている実証は、エネルギーを外部に過度に依存しない、新しい建物の在り方を示すものです。

このシステムは、屋上の太陽光発電に加え、大容量の蓄電池と低圧水素貯蔵設備を組み合わせたものです。太陽光による発電の変動を、短期的には蓄電池で、季節や天候差による長期的変動は、余剰電力から製造した水素で補う仕組みです。

 これにより、365日を通じて商用電源に頼らず建物を運用する「完全自律運転」の実現を検証しています。大成建設は2026年度中に制御技術を確立し、2027年度以降は街区全体への展開も視野に入れています。

 こうした「電力自給」への注目の背景には、日本のエネルギー環境の変化があります。ホルムズ海峡情勢を背景に中東依存の脆弱性が意識される一方、生成AI・データセンターの急増に伴う電力需要の増加、そして2050年カーボンニュートラルに向けた脱炭素の要請といった“三つの圧力”が同時に高まっています。安定した電力を確保する難しさが意識されるなか、省エネと再エネを組み合わせたZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)から、さらに一歩進んだ「電力自立」へのニーズが顕在化しているのです。

 この動きの本質は「電力供給の分散化」です。これまでは「発電所から一方的に電気を送る」という大規模集中型のインフラが主流でしたが、現在は「建物自らが発電・蓄電する」分散型へと変化しつつあります。建物が「電力を消費するだけの存在」から、自給能力を持つことで系統への依存度を下げ、エネルギー供給の安定化に主体的に関わる存在へと変容していると言えます。

 こうした変化は、企業の事業継続(BCP)対策にも大きな影響を与えます。災害時に商用電源が途絶しても、建物自前で電力を維持できれば、事業を継続できるだけでなく、地域の避難拠点としての役割も果たせます。将来的には、オフィスや工場、商業施設などが「小さな発電所」として機能し、電力インフラ全体の負荷を分散させる重要な役割を担う可能性があります。

 いま問われているのは、実用化に向けたコスト低減と、政策との連動です。エネルギー価格の変動が激しい時代において、「自給」という選択肢が単なる環境対策を超えた、現実的なリスク管理手段として位置づけられつつあります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)

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