2026年05月14日
今回のニュースのポイント
ダイセルの2026年3月期業績は、売上高は前年度比1.2%減の5,796億円、営業利益は同31.0%減の420億円となりました。COC樹脂第2プラントや米国のエアバッグ部品工場に関連して、総額で約328億円の減損損失を計上したことなどから、親会社株主に帰属する当期純利益は同79.4%減の101億円に留まりました。セグメント別では、酢酸市況の低下によりマテリアル事業が大幅減益となった一方、セイフティやスマート、メディカル・ヘルスケアといった成長領域では、増益や黒字転換がみられました。次期は増収・営業微増益を見込むものの、地政学リスクを背景に不透明な状況が続きます。
本文
ダイセルが発表した2026年3月期連結決算は、売上高は5,796億円と前期比1.2%減に留まり、営業利益も420億円と3割減少しました。世界経済が緩やかに回復するなか、中国市場の停滞や原材料コストの高止まりが影響しました。売上高営業利益率は10.4%から7.3%へ低下し、採算面では一服感がみられます。
利益面を大きく押し下げたのは、特別損失として計上された巨額の減損損失です。ドイツで建設中の環状オレフィンコポリマー(COC)樹脂第2プラントについて、需要拡大の遅れや投資額の増加により収益性の低下が認められたため、約324億円の減損損失を計上しました。これに米国のエアバッグ部品工場の減損等を含め、総額で328億4,500万円を特別損失に算入した結果、純利益は101億円(前期は493億円)と大幅な減益となりました。
セグメント別では、主力のマテリアル事業が売上高1,613億円(前年度比12.0%減)、営業利益149億円(同49.5%減)と苦戦しました。酢酸の販売数量は回復傾向にあるものの、誘導品需要の低迷に伴う市況低下が響いたほか、アセテート・トウでの在庫調整も重なりました。エンジニアリングプラスチック事業も、電子材料向け高付加価値品は堅調だった一方、諸工業向けポリアセタール樹脂の弱含みや定期修繕費用の増加により、営業利益は191億円(同29.1%減)と前年を下回りました。
一方で、セイフティやスマート、メディカル・ヘルスケアといった成長領域では、増益や黒字への転換がみられました。セイフティ事業は、中国自動車メーカーの生産回復やインドでの拡販によりインフレータの販売が伸長し、営業利益は60億円(同55.0%増)を確保しました。スマート事業も、前期の有機半導体事業撤退による損益改善や半導体材料向け溶剤の堅調さから、5億円の営業黒字(前期は7億円の赤字)に転換しています。
財務面では、設備投資の継続により総資産は8,339億円へ拡大しました。自己資本比率は42.6%(前期末44.2%)に低下したものの、年間配当は60円を維持。さらに約138億円の自己株式取得を実施し、当期の株主還元性向は288.6%に達しています。
2027年3月期の通期予想については、売上高5,950億円(前年度比2.7%増)、営業利益425億円(同1.0%増)と、緩やかな増収増益を計画しています。エンジニアリングプラスチックや車載インフレータの販売増を見込む一方、アセテート・トウの競争激化やパルプ価格の上昇といった減益要因も想定されています。なお、地政学リスクについては現時点で算定困難として予想には織り込んでいません。
現在の同社は、市況変動の影響を受けやすい汎用化学品から、車載安全や半導体材料、医療・健康といった高機能領域の比重が相対的に高まりつつあり、今後の収益構造の変化が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)
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記事提供:EconomicNews
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