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リコーはなぜ映像・音響企業を買収するのか 広がるワークプレイス戦略

2026年06月02日

今回のニュースのポイント

株式会社リコーは、アジア太平洋(APAC)地域においてオーディオビジュアル(AV)を含むマルチメディア配信ソリューションを一貫提供するGlobal Vision Multimedia Groupを買収したと発表しました。本買収は、同地域における販売統括会社を通じて実施され、リコーが進めるワークプレイスエクスペリエンス(WE)領域でのグローバルな提供能力拡大を目的としています。事務機器市場の環境変化が進む中、今回の買収はオフィス環境や企業の働き方を包括的に支援するデジタルサービス企業への事業転換を推進する戦略的な一環として位置づけられます。

本文
 株式会社リコーは2026年6月2日、アジア太平洋(APAC)地域で映像音響(AV)およびマルチメディア配信ソリューションを展開するGlobal Vision Multimedia Groupの買収について、両社で合意に至ったと発表しました。今回の買収は、リコーのAPAC地域における販売統括会社であるRicoh Asia Pacific Pte, Ltd.を通じて実施されました。両社は2026年1月から戦略的パートナーシップの構築に向けた協議を重ねており、今回の合意に至りました。

 買収対象となったGlobal Vision Multimedia Groupは2016年に設立され、APAC地域全体に140人以上の専門家を擁する映像音響・ビデオ会議システムのスペシャリスト企業です。同社は多国籍企業をはじめとする幅広い業界のリーディング企業に対し、システム設計のコンサルティングから施工管理、制御プログラム、音響調整、さらには導入後の保守・運用支援にいたるまで、複数国にまたがるプロジェクトを一元的に管理し、一貫した高品質なサービスを提供できる体制を持っています。リコーは本買収により、同グループが地域で培ってきた豊富な実績と専門性を自社のネットワークと統合し、APAC地域におけるサービス提供能力の強化を図ります。

 近年の企業の「働く場(ワークプレイス)」を取り巻く環境は、ハイブリッドワークの浸透や世界拠点をつなぐリモート会議の日常化などにより、大きな変革期を迎えています。これにともない、企業がオフィスに求める設備も変化しており、遠隔会議や共同作業、グローバルな連携を円滑に行うための高度なコミュニケーション空間の構築が重要視されるようになりました。今回の買収には、こうした需要への対応力を強化する狙いがあります。

 リコーによるこうした映像音響・ITサービス企業の戦略的買収は、今回の一件に留まりません。同社はこれまでにも、グローバル戦略に基づき世界各地で投資を継続しています。2025年12月には、米国ニューヨーク州に拠点を置く有力AVインテグレーターのPresentation Products, Inc.(PPI社)を買収しました。さらにこれまでに、米国のCeneroやDataVision、欧州・中東・アフリカ地域のPure AVやAVC、中南米のVideocorpやGo2neXt、カナダのETグループなど、各地域の有力企業を相次いで傘下に収めてきました。

 一連の積極的な買収方針の背景には、リコーが推進するビジネスモデルの大幅な転換戦略があります。かつてのリコーは、オフィス向けの複合機やプリンターなどの事務機器販売と、その保守契約(カウンタービジネス)を収益の主軸として成長してきました。しかし、ペーパーレス化の進展やオフィス需要の多様化により、従来のハードウェア中心の市場環境は変化を続けています。そこで同社は、先進テクノロジーを基盤に、会議室システム、業務変革支援、デジタルサービスなどを組み合わせた「ワークプレイスサービス」を提供する企業への変革を急いでいます。

 リコーが目指すのは、単に自社製品のハードウェアを販売する企業ではなく、自社・他社を問わず最適な製品、サービス、ソフトウェアを組み合わせることで、顧客のコミュニケーション環境や業務効率の向上を支援する「グローバル随一のインテグレーター」としてのポジションです。世界的にオフィスの役割が、単なる作業場所からコミュニケーションや創造性を生み出す場へと変容する中、リコーは顧客の“はたらく”に寄り添うデジタルサービスを通じて、新たな成長機会の創出と持続的な事業拡大を進める方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)

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