2026年04月06日
今回のニュースのポイント
「国富流出」を防ぐ安全保障的な視点:外貨獲得を目的とした国家関与が疑われる攻撃を踏まえ、暗号資産の保護を利用者財産の保護に加え、日本の国富を攻撃者に渡らせないための課題と位置づけました。
サプライチェーン全体を標的とした巧妙な手口:署名鍵の直接盗難だけでなく、外部委託先への侵入やOSS(オープンソース)への悪意あるコード混入など、間接的な攻撃リスクが増えています。
「自助・共助・公助」による重層的対策:各社の自律的改善(自助)、業界内の情報共有(共助)、当局による実証事業や演習(公助)を組み合わせ、業界全体のレジリエンスを引き上げます。
金融庁が今回の方針を策定した背景には、暗号資産が持つ特有の性質がサイバー攻撃を誘発しやすいという強い問題意識があります。ブロックチェーン技術を基盤とする暗号資産は、インターネット上で財産的価値を瞬時に移転できるため、従来の金融と異なり、資産そのものを直接窃取できる特性があります。さらに、国境を越えた資産移転や盗難後の資産洗浄が容易に行われやすいことから、交換業者等を標的とした流出事案が全世界で数多く発生しています 。一度流出すると追跡や回収が極めて困難であることが、攻撃対象としてのリスクを高めています。
近年の攻撃手法は、単なる署名鍵(秘密鍵)の盗難にとどまらず、極めて巧妙化しています 。なりすまし等で認証情報を奪取する「ソーシャルエンジニアリング」や、システム運用を担う委託先のネットワークを足掛かりにする「外部委託先への侵入」といった間接的な攻撃が広がっています。さらに、金融庁方針は2025年9月に発生した広く利用されるJavaScriptライブラリへの悪意あるコード混入事案を挙げ、OSS開発者の侵害を通じた依存ライブラリ汚染というサプライチェーンリスクに警鐘を鳴らしています。こうした現状を受け、当局は「単にコールドウォレットを用いれば安全と言える状況ではない」と断じ、組織全体の管理態勢強化を求めています。
当局は、事業者の自主的な取り組みを促すとともに、業界全体での底上げを図る方針です。各社の「自助」としては、サイバー対策をコストではなく「戦略的投資」と捉えるよう経営陣の意識改革を促し、2026事務年度以降は全社を対象に自己アセスメント(CSSA)の実施を求めます。業界内の「共助」では、ISAC(情報共有機関)等を通じた実効的な情報共有文化の醸成を支援します。さらに「公助」として、2025年度より攻撃手法に関する研究調査を継続するほか、2026年中には実運用環境に対して攻撃者の戦術を模した脅威ベースのペネトレーションテスト(TLPT)を全事業者のうち数社で実施し、その結果を業界全体に還元する計画です。
今回の方針で際立っているのは、国家関与の脅威への言及です 。警察庁や公安調査庁の指摘を踏まえ、外貨獲得を目的とした国家レベルの攻撃者が日本の暗号資産を狙っている現状を重く見ています。暗号資産の流出を防ぐことは、利用者財産の保護のみならず、「日本の国富を攻撃者の手に渡らせない」という安全保障的な観点からも対応が求められる防衛ラインとなります。
暗号資産市場が国民に信頼されるためには、技術の進化に応じた継続的なシステムリスク管理の見直しが不可欠です。今後はガイドラインの厳格化やTLPTの実効性向上を通じ、「インフラとしての安全性」が事業者の評価を左右するフェーズに入ります。金融庁は国際的な議論にも知見を提供しつつ、官民一体となって日本の暗号資産市場の安全性確保に主体的に取り組む姿勢を鮮明にしています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)
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記事提供:EconomicNews
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