大豆イソフラボンと黒豆ポリフェノールの併用摂取により更年期周辺女性の「睡眠の質」の改善効果を確認
フジッコ株式会社

―第40回日本女性医学学会学術集会で発表―
フジッコ株式会社(本社:神戸市中央区/代表取締役社長執行役員:福井正一)は、石渡尚子 先生(跡見学園女子大学 マネジメント学部 生活環境マネジメント学科 教授)と共同研究を行い、一般財団法人 松本ヘルス・ラボ(長野県松本市)で実施した臨床試験において、大豆イソフラボンと黒豆ポリフェノールの併用摂取により、更年期周辺女性の睡眠の質の改善効果を確認しました。
本研究成果は、2025年11月1日~2日に開催された「第40回日本女性医学学会学術集会」で発表しました。
■研究の背景
更年期の女性は、女性ホルモン分泌量が急激に減少・変動することで自律神経が乱れやすくなり、ほてり、イライラ、疲れやすさ、不眠などの様々な精神的・身体的症状が現れる場合があります。これらの更年期特有の症状は、仕事や日常生活に大きく影響を与える場合があります。厚生労働省の調査1)によると、「更年期障害と診断されたことがある/されている」または「更年期障害の可能性があると考えている」人の割合は50歳代の女性の5割弱になっています(図1)。さらに、経済産業省は「女性特有の健康課題による社会全体の経済損失」が年間3.4兆円、そのうち更年期症状での経済損失が1.9兆円にもなると試算しています2)。
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図1. 50歳代女性における更年期障害の可能性
(厚生労働省「更年期症状・障害に関する意識調査」1)を元に作成)
大豆イソフラボンは女性ホルモン様作用を有することから、更年期女性の骨代謝の改善や女性ホルモンの影響による体調の変化に役立つことが報告されています3, 4)。また、黒大豆の種皮から抽出された黒豆ポリフェノールは高い抗酸化作用を有し、自律神経機能調節作用があることが明らかになっています5)。そこで、大豆イソフラボンと黒豆ポリフェノールを併用して摂取することで、更年期周辺女性の精神的・身体的な症状を軽減する効果があると考えて、その効果を検証しました。
■研究内容
日常生活で気分の低下、疲労感またはストレスを感じている40歳以上64歳以下の日本人女性104名に、1.プラセボ食品、2.大豆イソフラボン含有食品、3.大豆イソフラボン・黒豆ポリフェノール低用量含有食品、4.大豆イソフラボン・黒豆ポリフェノール高用量含有食品のいずれかを12週間摂取してもらいました。
その結果、大豆イソフラボンと黒豆ポリフェノールを併用摂取した群では、主観的評価による睡眠の質(起床時眠気、入眠と睡眠維持、疲労回復、睡眠時間)や肩こり、眼の疲れが摂取前後で改善しました(図2)。特に、睡眠時間の主観的評価は、大豆イソフラボン・黒豆ポリフェノール高用量群でプラセボ群と比較して有意に改善しました。また、これらの改善効果は、大豆イソフラボンを単独で摂取した時よりも高い効果を示していました。
[画像2:
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図2. 主観的評価による睡眠の質(睡眠時間)、肩こりおよび眼の疲れの変化
(睡眠の質(睡眠時間)はOSA睡眠調査票MA版による評価、肩こりと眼の疲れはVAS(Visual Analog Scale)アンケートによる評価)
■まとめ・今後の展望
本研究により、大豆イソフラボンと黒豆ポリフェノールを併用して摂取することで、大豆イソフラボンを単独で摂取するよりも睡眠の質や肩こり、眼の疲れへの改善作用が高くなることが明らかになりました。これらの研究成果は、更年期周辺女性のQOL(Quality of Life)やワークパフォーマンスの改善につながることが期待されます。
フジッコでは大豆イソフラボンの機能性食品素材「フジフラボン(R)」、黒豆ポリフェノールの機能性食品素材「クロノケア(R)」を販売しています。今後はこれらの機能性食品素材について、女性の健康機能性に対する影響をさらに明らかにしていくとともに、自社のサプリメントへの活用や、他社のサプリメント等の素材販売を進めていく予定です。
■大豆イソフラボンの機能性食品素材「フジフラボン(R)」
大豆胚軸から大豆イソフラボンを抽出・精製した機能性食品素材。当社はこれまで煮豆や蒸し豆など多くの大豆製品を発売してきましたが、その中で大豆イソフラボンの健康機能に着目、加齢に伴い女性ホルモンレベルが急激に低下する更年期女性の骨の成分維持を中心とした機能性を長年研究してきました。「フジフラボン(R)」は、近年伸長している大豆イソフラボン素材市場でトップシェアとなっています6)。最近では、月経前症候群(PMS)や更年期症状などの女性特有の健康課題のケアを目的とした「フェムケア」が社会的な関心を集めており、女性ホルモンに似た働きを持つ大豆イソフラボンはフェムケア用の健康素材としても注目されています。
■黒豆ポリフェノールの機能性食品素材「クロノケア(R)」
黒大豆種皮から黒豆ポリフェノールを抽出・精製した機能性素材。「クロノケア(R)」は、ポリフェノールを58%以上(主成分は低分子プロシアニジン)含み、非常に高い抗酸化作用を有します。体内で酸化ストレスが蓄積すると、自律神経機能が乱れて疲れなどの症状に繋がりますが、「クロノケア(R)」は、酸化ストレスを低減して自律神経機能を整えることが確認されています5)。この作用により、「クロノケア(R)」は「一過性の疲労感」や「日中の一時的な眠気」を軽減する機能があることを確認しており、これらの機能については機能性表示食品の届出が受理されています。また、最近の研究により「睡眠の質」「冷え」の改善効果も確認しており7)、現在、機能性表示食品の届出を行っています。
■一般財団法人 松本ヘルス・ラボ
松本ヘルス・ラボは、健康意識の高い会員と企業をつなぎ、新しいヘルスケア事業の創出をサポートするために、松本市が設立した一般財団法人です。会員によるヘルスケア関連商品やサービスの評価、松本ヘルス・ラボ独自の産学官等ネットワークを通じて、企業の課題解決を支援しています。
ホームページアドレス:
https://m-health-lab.jp/
■引用文献
1) 厚生労働省 (2022). 更年期症状・障害に関する意識調査
2) 経済産業省 (2024). 女性特有の健康課題による経済損失の試算と健康経営の必要性について
3) Wei, P., et al. (2012). Asian Pacific journal of tropical medicine, 5(3), 243-248.
4) 喜多村啓介ら(編) (2010). 大豆のすべて. サイエンスフォーラム, 260-280.
5) Akagi, R., et al. (2021). 薬理と治療, 49(6), 953-964.
6) 株式会社富士経済 (2025). 機能性成分・素材市場の現状と将来展望2025
7) Akagi, R., et al. (2025). Food Science & Nutrition, 13(6), e70156.
■発表の情報
学 会:第40回日本女性医学学会学術集会
会 期:2025年11月1日(土)~2日(日)
場 所:ホテルイースト21東京(東京都江東区)
演題名 :大豆イソフラボンと黒大豆ポリフェノールの摂取による更年期女性の精神的・身体的不調に対する効果の検討
発表者 :相磯 知里1、林 美咲1、丸尾 俊也1、丸山 健太郎1、石渡 尚子2(1. フジッコ株式会社 イノベーションセンター、2. 跡見学園女子大学 マネジメント学部 生活環境マネジメント学科)
<研究内容に関するお問い合わせ先>
担当者:イノベーションセンター 素材研究グループ 相磯 知里
責任者:イノベーションセンター センター長 丸山 健太郎
TEL:078-303-5385 ホームページアドレス:
https://www.fujicco.co.jp
<原料販売に関するお問い合わせ先>
担当者:イノベーションセンター 素材事業部 課長 平澤 素王
責任者:イノベーションセンター 素材事業部 部長 岸本 晃典
TEL:078-303-5925
ホームページアドレス:
https://www.fujicco.co.jp/products/material/プレスリリース提供:PR TIMES


記事提供:PRTimes