「お客様の喜ぶ顔が見たいんです」--8人の職人が語った、仕事の流儀
入間市

~老朽化した街を27棟再生した大工、震災地へ畳を運んだ職人。入間市が表彰した8人の”30年選手”たちの、圧倒的な人生~
2025年11月17日、入間市はある表彰式を開いた。
対象は、30年以上同じ職業に従事し、技術を磨き続けてきた職人たち。造園、建築、塗装、配管、茶業、金型設計、畳、クリーニング--業種はバラバラだが、全員に共通するのは「その道一筋」という生き方だ。
表彰状を手にした8人の顔には、誇りと、少しの照れがあった。
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川窪照雄氏(クリーニング業)
表彰式後の懇談で、川窪照雄氏(クリーニング業・51年)が語り始めた言葉は、熱かった。
「市外から、わざわざ持ってきてくれるんですよ。どこにでもクリーニング屋はあるのに」
なぜ遠方から客が来るのか。川窪氏は即座に答えた。
「ドライクリーニングだけじゃ、汗は落ちないんです。水溶性の汚れは残る。だから僕は、ドライで洗った後にもう一度水で洗う。それが本当のクリーニングだと思ってる」
二度手間。コストも時間もかかる。それでも、川窪氏は譲らない。
「綺麗にできたとき、お客さんの喜ぶ顔を見ると、もっと綺麗にしようって思うんです。それがやりがいなんですよ」
51年間、その信念は揺るがなかった。
波多野英明氏(建築業・44年)が手がけたのは、入間市の観光スポット「ジョンソンタウン」だ。
「スタートの頃は、夜も歩けないぐらい荒廃していましたよ」
老朽化が進み、人通りも少なかった米軍ハウス街。波多野氏は16年かけて、27棟を再建した。
「今じゃ、あそこに住むのがステータスみたいになってますよね」
設計から施工まで一貫して関わり、老朽化した建物に新しい命を吹き込んだ。地域文化の保存と再生--それは、一人の大工が成し遂げた奇跡だった。
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波多野英明氏(建築業)
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鈴木武弘氏(畳職)
鈴木武弘氏(畳職・30年)は、東日本大震災の被災地支援に参加した経験を振り返った。
「石巻の仮設住宅に納めに行きました。報道で見るのと、実際に目で見るのとでは全然違う。言葉が出なかったですね」
畳文化を次世代に継承するため、小学校の放課後教室で子どもたちに畳づくりを教え、万燈まつりにも出店した。
「寒くて雨も降って大変だったけど、来てくださった方がいたから、やらないよりはPRになったかなって」
その明るい語り口の裏には、業界の厳しさがある。入間市の畳業組合は、かつて20軒あったが、今は6軒。それでも鈴木氏は、前を向いていた。
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大場治氏(金型設計工)
大場治氏(金型設計工・41年)は、微細精密プラスチック金型の世界で生きてきた。
「町工場なんで、人が採れないのは皆さんと同じ。だから、どうやって魅力的な仕事にするかをずっと考えてきました」
大手企業から言われたことをやるだけでは面白くない。自分で考え、海外展示会に30回以上出展し、シンガポールには20人規模の会社まで設立した。
その姿勢は、社員にも伝わっていた。
「中途で入った人が、すごく気に入ってくれて。『入間が好き』って言って、川崎から来たんですけど市内に家建てたんです。2家族、入間に来てくれました」
何が彼らを惹きつけたのか。大場氏はこう語った。
「顔が見えるとか、市長が頑張ってるとか。入間には魅力があるんだと思いますよ」
町工場の可能性を信じ、世界に技術を持っていく。その挑戦は、今も続いている。
滝澤正浩氏(造園業・35年)は、平成2年から家業の造園業に従事してきた。
市長から「業界として若い人は入ってきますか」と問われると、滝澤氏は率直に答えた。
「なかなか、やっぱり3Kの名残りがまだありますので。でも、道具や機械の使い方によっては、それをだいぶ解消できる環境にはなりつつあります」
もう一つの課題は、需要の変化だ。
「庭を作る需要が少なくなってますね。植木1本でも、スペースがあれば家の雰囲気は全然違うんですが、なかなか難しい」
それでも滝澤氏は、市内のゴルフ場や日本庭園の剪定作業など、入間市の緑を守り続けている。
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滝澤正浩氏(造園業)
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石川正和氏(茶製造販売)
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森田光彦氏(建築塗装業)
懇談の場では、全員が同じ悩みを口にした。
「後継者がいないんです」
佐藤達蔵氏(管工事業・35年)は、管工事協同組合の現状を語った。
「24社ありますけど、年々減ってます。若い人は入ってきても、すぐ辞めちゃう。暑い、寒い、汚い--今の若い人には厳しいのかもしれません」
森田光彦氏(建築塗装業・43年)も同様に後継者不足の悩みを抱えている。石川正和氏(茶製造販売・33年)も、同じ危機感を抱いていた。
「前は100軒以上ありましたけど、今は77軒。若い子にお茶を親しんでもらうことが大事だと思ってます」
それでも、職人たちの表情は明るかった。杉島市長が「皆さん、明るく楽しそうに」と漏らすと、佐藤氏は笑った。
「組合、楽しんでますから。みんな仲いいんです」
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佐藤達蔵氏(管工事業)
表彰式で杉島理一郎市長は、こう語った。
「一口に30年以上と言っても、その道のりは時代背景もあって大変厳しいものがあったと思います。そうした苦労の中で、技術を磨き、後進を育成し、地域の発展に貢献してきた皆さんの人生の歩みは、入間市の誇りです」
そして、こう続けた。
「高い技術力のことより、想いを持ってその道に携われてこられた皆さんの、語り尽くせないような思いが垣間見えました」
技術の伝承、業界の発展--困難な道だと分かっている。それでも、市長は職人たちに期待を込めた。
「皆が目指したくなる、追いたくなるような背中でいてください」
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入間市長 杉島理一郎
造園、建築、塗装、配管、茶業、金型設計、畳、クリーニング。
8つの業種、8人の職人。彼らが共通して語ったのは、技術だけではなかった。
「お客さんの喜ぶ顔」「地域への貢献」「次の世代への想い」「仲間との絆」
30年以上、一筋に生きてきた人生には、数字では測れない価値があった。
入間市が表彰したのは、技術ではない。人だ。
遠方から客が来るクリーニング屋も、老朽化した街を再生した大工も、震災地へ畳を運んだ職人も--全員が、自分の仕事を愛していた。
その姿は、どんな広告よりも、入間市の魅力を物語っていた。
【受賞者一覧】※受賞者コメントは表彰式後にいただいたものです
- 滝澤正浩氏(造園業・35年)「この度は入間市技能功労者表彰に推薦いただきありがとうございます。父から受け継ぎ現在に至ります。造園業は緑の空間の中で仕事をし、環境にも大変関係のある業種だと思います。これからも、経験を活かし、環境緑化に携わっていきたいと思います。」- 波多野英明氏(建築業・44年)「大変光栄に思います。これからも地域の皆さまのために貢献していく所存です。」- 森田光彦氏(建築塗装業・43年)「この度、この様な光栄な表彰をされることに大変嬉しく思います。今後も可能な限り社会に対し、ご奉仕に尽くしていきたいと思います。」- 佐藤達蔵氏(管工事業・35年)「高校卒業後、父が経営する水道工事の会社に入社し、現在まで入間市で上下水道の工事を行ってきました。まさかこのような表彰をいただけるとは思ってもいなかったので、大変うれしいです。今後とも入間市で上下水道の工事を通じで貢献が出来たらと思います。」- 石川正和氏(茶製造販売・33年)「本日表彰に当たりまして、感謝の気持ちでいっぱいです。私は、茶業に携わること33年になります。お客様においしい狭山茶を飲んでいただきたく、日々精進しております。また、狭山茶がより多くの人に知ってもらえるよう努力していきたいと思っています。」- 大場治氏(金型設計工・41年)「この度は、入間市技能功労者表彰の栄を賜り誠にありがとうございます。金型及びものづくり業界発展のため、今後も新しいことに挑戦し、優秀な人材育成に努めてまいりたいと思います。」- 鈴木武弘氏(畳職・30年)「本日は表彰していただきありがとうございます。日本文化の象徴の一つである畳を後世にまで残せるように、また、畳の良さを知っていただきたいと思い、今後も頑張っていきたいです。」- 川窪照雄氏(クリーニング業・51年)「クリーニングを頑張ります。」
【狭山茶の郷から世界へ】入間市が描く「Well-being City」の未来図~伝統の茶文化と最先端のまちづくりが織りなす、心豊かな暮らしの新モデル~
首都圏から電車で約1時間。市内には緑豊かな茶畑が広がり、季節の移ろいとともに風景が変化する、どこか懐かしい景色が残されています。入間市は、商業的茶産地としては日本最北に位置し、狭山茶の発展とブランド化に大きく関わってきた地域です。歴史ある茶文化を大切にしながら、現在では多様な文化や価値観を取り入れたまちづくりに取り組んでいます。
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伝統と多様性が調和する、入間市ならではの景観
関東平野の自然に恵まれたこの地では、代々受け継がれてきた茶農家の手により、狭山茶が丁寧に育てられています。
一方で、米軍基地跡地を再整備した「ジョンソンタウン」や、大型商業施設「三井アウトレットパーク入間」などもあり、伝統と現代的な要素が調和したまちの風景が広がります。
こうした多様性こそが、入間市の大きな魅力の一つです。





記事提供:PRTimes