TOPPANホールディングス、慶應義塾大学と共同で量子コンピュータとAIを組み合わせ漫画・アニメーション画像を生成する実証を実施
TOPPANホールディングス株式会社

効率的な計算工程を実現する量子フローマッチングの手法を活用した漫画・アニメーション画像の生成に成功、実証結果を踏まえた新たな研究フェーズを開始
TOPPANホールディングス株式会社(本社:東京都文京区、代表取締役社長COO:大矢 諭、以下 TOPPANホールディングス)は、慶應義塾大学(所在地:東京都港区、塾長:伊藤 公平)と共同で、量子コンピュータと生成AIを用いた漫画・アニメーション制作支援に関する実証実験を2026年2月1日から7月31日まで実施しました。(※1)
本実証では、慶應義塾大学が持つ量子情報科学の知見と、TOPPANグループが建装材の木目生成やコミックの自動着彩で培ったAI技術・ノウハウを融合しました。画像生成AIにおいて現在主流の拡散モデル(※2)に代わり、より少ないステップで画像生成できるフローマッチング(※3)の手法を量子回路に実装。量子コンピュータにより髪型や表情を指定したコア画像を生成した上で、AIにより背景・着色・解像度を補完する画像生成モデルの有効性について、ノイズの影響で計算結果に誤差が含まれやすい量子実機で検証しました。その結果、漫画・アニメーションの実用に耐えうる256×256ピクセルの画像生成に成功し、量子フローマッチングとAIを組み合わせた画像生成モデルの有効性を確認しました。
なお、本研究の成果はNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が主催する「NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発(※4)」(以下、同プログラム)において、慶應義塾大学 ヒト生物学-微生物叢-量子計算研究センター(Bio2Q)小山尚彦特任教授とTOPPANとの共同プロジェクト「Qrazy Qreators」としてCool Japan部門の3位を受賞しました(※5)。また同プログラムのSeason2に採択され、今回の実証結果を踏まえた画像生成の解像度向上、自然言語による画像の条件指定を目指した研究フェーズを2026年10月から開始します。両者は将来的には、3D・4Dのシーン生成などへの展開を見据えクリエイターの制作支援に向けた技術開発を推進していきます。
[画像:
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本実証の概要
■ 本実証の背景
近年、画像生成AIは、クリエイティブ制作やマーケティングなど幅広い産業で活用が進み、アイデアを広げたり表現の検証を行ったりするための新たな支援ツールとしても活用が進んでいます。一方、現在主流とされる拡散モデルは、ノイズを少しずつ取り除きながら画像生成する処理を何度も繰り返すため、計算工程が多く生成に時間がかかるという課題があります。
本実証では、拡散モデルに代替する新たな手法として、従来のAI画像生成より少ない計算ステップで高速に画像生成が可能な手法であるフローマッチングに着目。量子情報科学と量子計算アルゴリズムに知見のある慶應義塾大学が、フローマッチングの手法を量子の回路に実装し、キャラクターの構造など画像のコアとなる部分において量子コンピュータでの生成を行いました。そこにTOPPANがAIを用いて背景生成・カラー化・高解像度化を補完する量子とAIのハイブリッドな画像生成モデルを構築し、漫画・アニメーションの実用に耐えうる画像生成が可能か検証しました。
■ 本実証の概要
[表:
https://prtimes.jp/data/corp/33034/table/2012_1_3a8c59fc09401fb99c0acf57edd81ccb.jpg?v=202610161415 ]
■ 今後の目標
TOPPANホールディングスは慶應義塾大学と、本実証を通じて検証した量子コンピュータとAIを組み合わせた画像生成のさらなる研究開発を推進し、将来的な技術確立を目指します。今後は、3D・4Dを含む多様なコンテンツ制作などへ応用を広げ、クリエイターの制作支援や持続可能なコンテンツ産業の発展に貢献する用途開発を目指します。
※1 本共同研究はTOPPANデジタル株式会社と慶應義塾大学が開始し、2026年3月末にTOPPANホールディングス株式会社が契約上の地位を承継しました。
※2 拡散モデル
データにノイズを徐々に加えて劣化し、そのノイズを段階的に除去する(復元する)プロセスをAIに学習させることで、データを生成する機械学習モデルのこと。
※3 フローマッチング
画像やデータを生成するAI技術(生成モデル)の一種。画像生成で主流の「拡散モデル」に比べて計算処理のステップ数が少なく、より高速かつ効率的に高品質な画像を生成できる技術として注目されている。ミーンフローは、データがノイズ状態から目的の画像へ変化していく「平均的な流れ」をAIに学習させる手法で、従来のフローマッチングのように多数のステップを繰り返す代わりに、少ないステップ、理想的には1回の推論で画像を生成することを目指す。このため、生成に必要な計算量や処理時間を大幅に削減できる可能性がある。
※4 NEDO懸賞金活用型プログラム/量子コンピュータを用いた社会問題ソリューション開発
NEDOが、量子コンピュータを活用した社会課題の解決や新産業の創出を目指し、優れた成果に懸賞金を交付する事業。解決案の審査を通過した参加者に対し、NEDOの費用負担により量子コンピュータの計算環境を無償で提供するとともに、専門家による助言などを通じて研究開発を支援している。
※5 今回の量子フローマッチングをさらに発展させた量子ミーンフロー技術に関する論文を主に物理学やコンピュータ科学などの分野で、査読前の研究論文が公開されるオンラインアーカイブであるarXiv(アーカイブ)にて公開しています(arXiv:2609.02186)。
※6 ハードウェア効率的案アンザッツ
使用する量子コンピュータの特性に合わせて、実行しやすい基本操作を組み合わせた「量子回路のひな型」のこと。「アンザッツ」は、計算に用いるひな型を意味し、その中の調整可能な値を学習によって変えることで、目的に合う出力に近づける。装置に適した構成にすることで、計算の手順を抑え、ノイズの影響を受けやすい量子コンピュータでも実行しやすくすることを目指す。
※7 qubit
量子コンピュータの基本単位(量子ビット)。
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以 上
プレスリリース提供:PR TIMES
記事提供:PRTimes