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【杏林大学】下垂体前葉の成体組織幹細胞の新たな性質と由来を同定―下垂体前葉の外科的治療後の組織再構築への応用に期待―

杏林大学



保健学部保健学研究科博士前期課程1年新藤綾乃(指導教官 健康福祉学科 堀口幸太郎 准教授),自治医科大学 東森生 講師,神奈川大学 藤原研 教授,東邦大学 吉田彩舟 講師らの研究チームは,ラット下垂体前葉の成体組織幹細胞が間葉系幹細胞の性質を持ち,その細胞の一部が生後の下垂体前葉発生過程で外部組織から侵入してくることを明らかにしました。この研究成果は下垂体前葉の成体組織幹細胞の性質や組織構築機構に関して新たな知見を与えるものとなりました。なお,本研究はJSPS 科研費(19K07255, 22K06798)の助成を受けて行われたもので,研究成果はCell and Tissue Research誌の電子版に,2025年1月14日に先行公開されました。
掲載URL:https://doi.org/10.1007/s00441-024-03947-x





研究のハイライト

・ラット下垂体前葉の成体組織幹細胞は,転写因子SOX2と膜タンパク質CD9を発現する細胞(CD9/SOX2陽性細胞)として同定されます。
・本研究では,このCD9/SOX2陽性細胞をラット下垂体から単離し,外胚葉性のホルモン産生細胞だけでなく,中胚葉性の血管内皮細胞や脂肪細胞,骨細胞,軟骨細胞様の細胞に分化させることに成功し,間葉系幹細胞の性質を持つことを実証しました。
・この間葉系幹細胞の性質を持つCD9/SOX2陽性細胞は,生後の下垂体前葉形成時に神経堤細胞や骨髄造血幹細胞など外部組織から下垂体に侵入する細胞に由来する可能性が示唆されました。
・本研究結果は,これまで外胚葉から発生する下垂体前葉の組織構築,維持には外部からの細胞が関わるという新たな組織形成機構を予想させ,下垂体前葉の外科的治療後の組織再構築に応用できる可能性が期待できるものです。

背景
各臓器,組織を構成する細胞は常に新しい細胞に置き換わっていきます。この細胞のターンオーバーの供給源になる細胞を成体組織幹細胞といいます。下垂体前葉は,外胚葉性の口腔上皮になる細胞群から発生する内分泌器官です。成長ホルモンや母乳合成を行うプロラクチン,生殖に関わる卵胞刺激ホルモンや黄体形成ホルモンなどを分泌するホルモン産生細胞と毛細血管で構成されています。ラット下垂体前葉の成体組織幹細胞は,前葉と中葉側に跨る細胞層であるマージナルセルレイヤーと呼ばれる部位に存在し,膜タンパク質CD9や転写因子SOX2を発現していることが特徴です。このCD9/SOX2陽性細胞が中葉側マージナルセルレイヤーから前葉へと移動することで,下垂体前葉の細胞供給に関与していると考えられています。これまでの研究から, CD9/SOX2陽性細胞は,前葉の各ホルモン産生細胞だけでなく,中胚葉性の血管内皮細胞へ分化することも報告されており,間葉系の性質を持つことが示唆されていました。本研究は,この下垂体前葉の成体組織幹細胞の詳細な性質と由来を明らかにすることを目的としました。これらを明らかにすることは,下垂体前葉の外科的治療によって切除した後の組織再構築に関して重要な鍵になるのではと考えます。

研究概要
本研究では,下垂体中葉側のマージナルセルレイヤーのCD9/SOX2陽性細胞が外胚葉性のホルモン産生細胞と中胚葉性の血管内皮細胞に加え,他の中胚葉性の脂肪細胞,骨細胞,軟骨細胞にも分化できる間葉系幹細胞の性質を持つかどうかを検討しました。まず,抗CD9抗体を用いたビーズトラップ法によって中葉側マージナルセルレイヤーからCD9陽性細胞だけを単離し,間葉系細胞への分化能を観察しました。すると,コラーゲン培地に10%ウシ胎児血清を添加して低密度で培養すると血管内皮細胞へ分化しました。また,間葉系幹細胞用の市販の分化培養液を用いて脂肪細胞や骨細胞,軟骨細胞への分化誘導にも成功し,各間葉系細胞への分化能を持つことを証明しました(図1)。また,間葉系幹細胞マーカーとして用いられる膜タンパク質CD73,CD105,CD271,CD349がCD9陽性細胞に発現することも観察しました(図1)。続いて,このCD9陽性細胞の発生過程を調べるために,生後初期のラット切片を用いて,間葉系幹細胞マーカーなどとの二重免疫染色を行いました。すると,下垂体後葉と中葉の境界部でCD9と各抗体の共陽性細胞を観察し,後葉から中葉に細胞が侵入するような像を観察しました。しかし胎児期ではこのような細胞は観察されませんでした。さらに,CD9陽性細胞の由来を明らかにするために神経堤細胞マーカーであるP0-proteinを発現する細胞がGFP蛍光を有するP0/GFPトランスジェニックマウスを用いて観察しました。すると,中葉側マージナルセルレイヤーのGFP陽性細胞の一部がCD9陽性でした。また,骨髄間葉系幹細胞マーカーとCD9との二重免疫染色を行った結果,両陽性細胞も観察できました。以上から,下垂体前葉の成体組織幹細胞は,間葉系幹細胞の性質を持つこと,そしてその細胞の一部は生後初期の下垂体前葉の発生過程で外部組織から侵入した間葉系幹細胞に由来することが明らかとなりました。

研究の意義
本研究では,内分泌器官である下垂体前葉は,口腔の外胚葉性の細胞から発生する組織であると考えられていたのに対し,その成体組織幹細胞のCD9/SOX2陽性細胞には,生後初期に後葉側から進入する間葉系幹細胞が含まれていることを明らかにしました。今後CD9/SOX2陽性細胞の詳細な起源やホルモン産生細胞への分化機構を明らかにすることで,下垂体腫瘍における外科的治療後の補充療法として,これらの細胞を利用した組織再構築に応用できる可能性があると考えます(図1)。


掲載論文
発表雑誌名
Cell and Tissue Research

論文タイトル
CD9/SOX2-positive cells in the intermediate lobe of the rat pituitary gland exhibit mesenchymal stem cell characteristics

著者
Ayano Shindo1, Morio Azuma2, Ken Fujiwara3, Saishu Yoshida4, Kotaro Horiguchi5*

著者(日本語表記)
新藤綾乃1,東森生2,藤原研3,吉田彩舟4,堀口幸太郎1,5*
*責任著者

所属
1. 杏林大学大学院 保健学研究科,2. 自治医科大学 医学部薬理学講座分子薬理学部門,3. 神奈川大学 理学部 生物化学科,4. 東邦大学 理学部 生物分子科学学科, 5. 杏林大学 保健学部 健康福祉学科



▼本件に関する問い合わせ先
杏林大学 保健学部 健康福祉学科
准教授 堀口 幸太郎
TEL:0422-47-8000(代表)
メール:kota@ks.kyorin-u.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

記事提供:Digital PR Platform

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