ビジネス – とれまがニュース

経済や政治がわかる新聞社や通信社の時事ニュースなど配信

とれまが – 個人ブログがポータルサイトに!みんなでつくるポータルサイト。経済や政治がわかる新聞社や通信社の時事ニュースなど配信
RSS
経済総合 市況 自動車 ビジネス 中国
とれまが >  ニュース  > 経済ニュース  > ビジネス

冬眠中のシマリスは周期的に目覚め、その時に止まっていた肝臓の体内時計が部分的に再開する 〜冬眠する哺乳類に特異な時計遺伝子の発現サイクルを発見〜 北里大学

北里大学

冬眠中のシマリスは周期的に目覚め、その時に止utf-8



北里大学大学院 理学研究科 分子生物学講座の塚本大輔 助教、中丸絵莉奈 大学院生(修士課程/研究当時)、高松信彦 名誉教授らの研究グループは、冬眠する哺乳類のシマリスの肝臓において、冬眠期の深冬眠−中途覚醒サイクルの中途覚醒時に時計遺伝子の1つである Per1 遺伝子の発現が回復することを明らかにしました。さらに、冬眠期の Per1 遺伝子の発現制御は、非冬眠期とは異なる転写因子によって制御されている可能性を示唆しました。これにより、冬眠する哺乳類が、数日間の低代謝・低体温状態である深冬眠と数時間で非冬眠期同様の代謝・体温にまで覚醒する1日以内の中途覚醒を繰り返すリズムのメカニズムの解明に前進し、哺乳類が冬眠を可能とする生理学的仕組みの理解を深めます。この研究成果は、2025年2月13日付で、Scientific Reports に掲載されました。




■研究成果のポイント
・冬眠期のシマリスの肝臓において、時計遺伝子 Per1 が中途覚醒に伴って周期的に発現していることを明らかにした。
・Per1 遺伝子の主な転写活性化には、非冬眠期では転写因子 BMAL1 が関与している一方、冬眠期では転写因子 CREB1 が関与している可能性を示唆した。
・冬眠期の深冬眠−中途覚醒のサイクルにおいて、主要な時計遺伝子の転写−翻訳フィードバックループは形成されないが、Per1 や Per2 などの一部の時計遺伝子では中途覚醒時に発現が活性化され、非冬眠期と類似した周期的な発現リズムを回復することが明らかになった。


■研究の背景
 多くの動物は、地球の自転に伴う約24時間周期の明暗と温度の変化 (昼夜) に適応するために約1日の体内時計 (概日時計)【※注1】を持っています。さらに、地球の公転に伴う約1年周期の季節変化に適応するために約1年の体内時計 (概年時計) をもっていると考えられ、様々な生存戦略をとっています。哺乳類の冬眠は季節変化に適応するための生存戦略の1つです。哺乳類は恒温性を獲得し体温を約37℃に保ちますが、冬の食料不足と外気温低下の厳しい環境を生き延びるために、一部の種では代謝を自ら低下させ、体温を外気温程度 (数℃) にまで低下させて生存する冬眠を行います。小型の哺乳類 {リス、ハムスター、コウモリ、原猿類 (キツネザルやロリスなどの霊長類) などの一部の種} の冬眠は、約半年の冬眠期の間、低代謝・低体温で不動の "深冬眠" という状態と、数時間で非冬眠期と同程度にまで代謝と体温を上昇させて活動する "中途覚醒" という状態を繰り返しています。小型の冬眠哺乳類シマリスの場合、10月頃から翌3月頃までの約6ヶ月の冬眠期の間、外気温約5℃の環境では、体温が約7℃で低代謝状態の深冬眠を約6日間行い、そこから約3時間で非冬眠期同様の代謝と体温約37℃にまで回復して覚醒する中途覚醒を約20時間行い、その後再び深冬眠状態へと移行するサイクルを繰り返します 【図1】。この冬眠期の深冬眠−中途覚醒のサイクルが、どのようなメカニズムで制御されているのか?そもそも、どうして中途覚醒するのか?など、哺乳類の冬眠現象はまだまだ未解明です。
 北里大学 理学部 分子生物学講座の当研究グループは、シマリスを対象に、冬眠の分子メカニズムを解析する研究に取り組んできた、世界的にも数少ない研究グループの一つです。これまで、シマリスで、代謝の主要な組織である肝臓において、非冬眠期 (4月頃〜9月頃) の活動−休息 (睡眠) に伴う1日の体温変動の体温上昇時に転写因子 HSF1 が時計遺伝子 Per2 の転写を活性化することを明らかにし (Tsukamoto et al., Sci. Rep., 2019)、その非冬眠期のシステムが冬眠期の深冬眠−中途覚醒サイクルの体温上昇に伴っても同様に Per2 遺伝子の転写を活性化していることを明らかにしてきました (Takamatsu, ..., Tsukamoto, J. Biol. Chem., 2023)。しかし、深冬眠−中途覚醒のサイクルにおいて、他の冬眠する哺乳類を含めても、どの程度概日時計が関与しているのかは結論が出ていません。さらに、深冬眠−中途覚醒のサイクルの顕著な特徴である体温変動による遺伝子発現機構、つまり中途覚醒に伴う体温上昇による転写因子 HSF1 の活性化による標的遺伝子の発現制御以外の遺伝子発現制御メカニズムも未解明でした。



■研究内容と成果
 当研究グループは、時計遺伝子 Per2 の発現より先行して発現が上昇することがマウスなどで報告されている Per1 遺伝子に着目しました。まず非冬眠期のシマリスの肝臓において、Per1 遺伝子の発現量をリアルタイム PCR【※注2】で解析した結果、非冬眠期では活動-休息サイクルの休息後期に発現上昇していることを明らかにしました 【図2(左)】。冬眠期のシマリスは4つの状態に分けました: ①深冬眠状態、②中途覚醒直後の体温が30℃以下の状態 (中途覚醒初期)、③中途覚醒途中の体温が30℃以上35℃以下の状態 (中途覚醒中期)(転写因子 HSF1 が活性化し、時計遺伝子 Per2 の発現が上昇している時)、そして④完全に中途覚醒している状態です。冬眠期の4つの状態で Per1 遺伝子の発現量を解析した結果、中途覚醒初期から発現が上昇していることが明らかになりました 【図2(右)】。さらに、Per1 遺伝子の転写を活性化する転写調節因子をクロマチン免疫沈降法【※注3】などで解析した結果、Per1 遺伝子の転写は、非冬眠期では休息後期に転写因子 BMAL1 が活性化に関与していることを明らかにし、冬眠期では中途覚醒初期から転写因子 CREB1 が活性化に関与している可能性を示唆できました。これらのことから、冬眠期においても、非冬眠期と同様の位相関係で Per1 遺伝子と Per2 遺伝子は発現しており、当研究グループが解析した Per1、Per2、時計遺伝子 Rev-erbα 遺伝子などを含む一部の遺伝子は、非冬眠期の概日リズムに類似した周期的な遺伝子発現を冬眠期に調整して利用している可能性を示しました 【図1】。


■今後の展開
 近年、解析技術の進展により、従来のモデル生物に限らず、冬眠する哺乳類においても網羅的な解析が進められています。また、遺伝子改変技術の活用可能性も示され、冬眠研究は大きく発展しつつあります。しかし、シマリスは個体数の確保が容易ではないため、研究には慎重な計画が求められます。当研究グループでは、次世代シーケンサーを用いて、深冬眠−中途覚醒サイクルにおける遺伝子発現の網羅的解析を進めています。本研究では、冬眠期の体内時計とその制御メカニズムに関する新たな知見を提供しました。特に、深冬眠−中途覚醒サイクルにおける特定の遺伝子発現が、深冬眠から中途覚醒へあるいは中途覚醒から深冬眠への移行に関与しているのか、または肝臓などの末梢組織の恒常性維持に関わっているのかについて、今後の研究でさらに詳しく解明していく必要があります。哺乳類の冬眠の分子メカニズムの理解は、低体温療法や代謝制御を応用した医療技術の発展にも貢献する可能性があり、今後の研究が期待されます。



■論文情報
掲載誌:Scientific Reports
論文名:Periodic expression of Per1 gene is restored in chipmunk liver during interbout arousal in mammalian hibernation
著 者:Erina Nakamaru, Kota Seki, Yuiho Shirahata, Megumi Adachi, Nene Sakabe, Takuya Matsuo, Daisuke Tsukamoto & Nobuhiko Takamatsu
DOI:10.1038/s41598-025-87299-8
※本研究はJSPS科研費 基盤研究(C) 20K06746、20K06447、23K05857、学術変革領域研究(A) 24H02018 の助成を受けたものです。


■用語解説
※注1 時計遺伝子と概日リズム(転写−翻訳フィードバックループ)
 概日リズムは、生物が約24時間周期で睡眠−覚醒や代謝を調節する仕組みです。このリズムは時計遺伝子によって制御され、BMAL1 と CLOCK が Per (Per1、Per2、Per3) や Cry (Cry1、Cry2) などの遺伝子を活性化し、産生された PER・CRY タンパク質が BMAL1・CLOCK の働きを抑えるという "転写−翻訳フィードバックループ" によって維持されます。このフィードバックが繰り返されることで、体内時計が外部環境の昼夜サイクルと同期します。本研究では、冬眠中のシマリスの肝臓で、非冬眠期とは異なる遺伝子発現調節が起こっていることが示唆されました。
※注2 遺伝子の発現量のリアルタイム PCR での解析 (RT-qPCR 解析)
 遺伝子の発現量を解析するリアルタイム PCR (RT-qPCR) は、細胞や組織内の特定の遺伝子の発現量を正確に測定する手法です。まず、RNA を抽出し、逆転写酵素を用いて DNA (cDNA) に変換します。次に、この cDNA を鋳型として PCR を行い、増幅された DNA 量を蛍光シグナルでリアルタイムに検出します。これにより、遺伝子の発現レベルを定量的に解析できます。本研究では、この手法を用いてシマリスの肝臓における Per1 遺伝子の発現量を調べました。
※注3 クロマチン免疫沈降法 (ChIP)
 クロマチン免疫沈降法は、特定のタンパク質が DNA のどの領域に結合しているかを解析する手法です。まず、細胞内の DNA と結合しているタンパク質を化学的に固定し、DNA を断片化します。その後、目的のタンパク質に特異的な抗体を用いて DNA-タンパク質複合体を回収し、結合していた DNA 配列を PCR や次世代シーケンスで解析します。本研究では、Per1 遺伝子のプロモーター領域に結合する転写因子 (BMAL1 や CREB1) を特定するために ChIP 解析を行いました。



■問い合わせ先
【研究に関すること】
 北里大学 理学部 生物科学科 分子生物学講座
 助教 塚本 大輔
 e-mail:tsukamot@kitasato-u.ac.jp

 URL: https://www.kitasato-u.ac.jp/sci/research/faculty/?c=laboratory_topics&lab_pk=1694482655#content

【報道に関すること】
 学校法人北里研究所 広報室
 TEL:03-5791-6422
 e-mail:kohoh@kitasato-u.ac.jp




【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

冬眠中のシマリスは周期的に目覚め、その時に止utf-8

記事提供:Digital PR Platform

記事引用:アメーバ?  ブックマーク: Google Bookmarks  Yahoo!ブックマークに登録  livedoor clip  Hatena ブックマーク  Buzzurl ブックマーク

ニュース画像

一覧

関連ニュース

とれまがファイナンス新着記事

とれまがマネー

とれまがマネー

IR動画

一覧

とれまがニュースは、時事通信社、カブ知恵、Digital PR Platform、BUSINESS WIRE、エコノミックニュース、News2u、@Press、ABNNewswire、済龍、DreamNews、NEWS ON、PR TIMES、LEAFHIDEから情報提供を受けています。当サイトに掲載されている情報は必ずしも完全なものではなく、正確性・安全性を保証するものではありません。当社は、当サイトにて配信される情報を用いて行う判断の一切について責任を負うものではありません。

とれまがニュースは以下の配信元にご支援頂いております。

時事通信社 IR Times カブ知恵 Digital PR Platform Business Wire エコノミックニュース News2u

@Press ABN Newswire 済龍 DreamNews NEWS ON PR TIMES LEAF HIDE

Copyright (C) 2006-2025 sitescope co.,ltd. All Rights Reserved.