【ニュースレター】当社名刺素材を葛繊維紙へ 活用促進で地域伝統維持に貢献
ヤマハ発動機株式会社
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~掛川の小崎葛布工芸発案。「需要増やし人材創出へ」未利用材利用でSDGsでも注目~
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3月から葛繊維紙に切り替わる当社の名刺。 透かすと茶色い繊維が見える
本社社員1万人分を切り替え
当社の本社もある静岡県西部に位置する掛川市は、 古くから野草「葛」を用いて作られた葛布※の名産地として知られています。その歴史は鎌倉時代にまでさかのぼり、掛川市内には昭和30年代ころまで40軒余りの手織葛布商が軒を連ねていたといいます。葛布はかつて日本人の生活の様々な場面で活用され、江戸時代は袴の生地として、日本家屋が主流だったころは壁紙や障子紙などに使われ、身近な工芸品として親しまれていました。
一方で日本人の生活様式の西洋化の影響を受け、現代では需要が減少。伝統工芸を守っていく人材も時代を追うごとに減り、掛川市内でも葛布を扱う店は2軒となり文化継承が危ぶまれています。そうしたなか、老舗店では葛布以外にも葛繊維を活用した新たな需要を生み出し事業維持を図ろうと、製品開発に近年注力。地元企業・団体もその利活用に協力する動きが広がっています。静岡に根を下ろす当社も地元企業として地域の伝統維持に貢献しようと、国内のヤマハ発動機本社社員約1万人を対象に、3月から名刺素材を従来のリサイクル紙から老舗店の開発した葛繊維紙へ切り替えます。今後グループ会社にも導入を進める予定です。
※沖縄の芭蕉布、山形・新潟のしな布と並ぶ「日本三大古布」の一つ
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掛川市内で江戸時代から営業を続ける小崎葛布工芸
卒業証書など名刺以外の用途も
今回当社が採用した葛繊維紙は、掛川市内で営業する小崎葛布工芸が新しい製品需要を探る中考案したものです。同社の小崎隆志社長は「7年前くらいに高速道路に生い茂る葛の活用法の相談を受けたことがきっかけでした」と振り返ります。粉砕しペレット化された葛が、素材の10%に使われ、透かして見ると茶色い繊維が見え、自然のぬくもりが感じられます。現在当社を含めた地域企業を中心に、約30社が社員の名刺素材として利用。未利用材を活用できるSDGsの取り組みとしても注目されています。
新しい名刺素材への切り替えを担当しているヤマハ発動機ビズパートナー(株)の金原理恵さんは「同じものづくりをする企業として地域の貴重な技術の継承に協力し、その活性化に寄与できればと思います」。
小崎社長は「名刺以外にも葛繊維紙の用途を企業や地域と一緒に考え、製品需要を増やしていくことで収益につなげ、伝統工芸を担う人材創出、育成につなげていきたい」と話しています。同社の葛繊維紙は、今年度から地元の小中学校の卒業証書の素材としても使われることが決まっています。かつて日本人の生活を支えてくれていた葛布、地域の人々が中心となり、その継承に手を取り合い、伝統を紡いでいこうとしています。
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工房では職人が平日毎日織機を使い、手作業で葛布作りをしている
■広報担当者より
小崎葛布工芸で完成した葛布を見た時優しい風合いとその光沢に魅了されました。同社では織機を使い全て手作業で葛布製造を行っています。 理由を尋ねると、葛布作りで使われる繊維「葛苧(くずお)」は、原料のツル収穫後に約1週間かけ煮沸、発酵、乾燥などの行程を経て完成するため、それぞれ強度も異なるということです。葛布づくりに35年携わる女性は「自然のもの相手なので毎回同じ状態ではない。きれいに織り上げるには人の手で調整が必要」と話されていました。葛布づくりの難しさはこれだけではなく、ツルを10㌔収穫しても葛苧になるものは100gだけだそうです。こういった険しい道のりを経るからこそ、工芸品として輝きが放たれるのだなと、胸が熱くなりました。
本件に関するお問合わせ先
コーポレートコミュニケーション部 広報グループ
本社:0538-32-1145 / 東京:03-5220-7211
関連リンク
小崎葛布工芸株式会社
https://ozaki-kuzufu.jp/
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記事提供:Digital PR Platform