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【名古屋大学】砂糖の摂り過ぎによるメタボを改善する成分が明らかに ~イノシトールとタウリンが脂質代謝異常の改善に作用~

名古屋大学



名古屋大学大学院生命農学研究科の小田 裕昭 准教授らを中心とする研究グループは、メタボリックシンドローム(注1)につながる脂質代謝異常(脂肪肝(注2)、高中性脂肪血症(注3))を、イノシトール(注4)やタウリン(注5)の摂取によって腸内環境を変化させることで改善することを明らかにしました。
これまでメタボリックシンドロームは、食べ過ぎ、特に油の摂り過ぎが原因として考えられてきましたが、最近になって、砂糖(ショ糖や異性化糖(注6)などのフルクトース(注7)を含む糖)が大きな原因であると分かってきました。そのため、WHOは1日の砂糖の摂取を摂取エネルギーの5%に抑えるように勧告を出しました(2015)。しかし、砂糖による脂質代謝異常のメカニズムは十分に明らかになっていませんでした。
本研究グループはこれまでの研究により、砂糖の摂り過ぎが腸内細菌叢(注8)を変化させて脂肪肝や高中性脂肪血症を引き起こすことを突き止めていることから、腸内環境を正常化することで砂糖による脂質代謝異常が改善される可能性があると考えました。
しかし、実生活では甘いものはなかなか止められません。本研究では、腸内環境を整える方法で予防できる可能性を検討するために、植物性食品に多く含まれるイノシトールと海産物に多く含まれるタウリンに注目して、脂質代謝の改善作用を検討しました。砂糖の摂り過ぎにより脂肪肝、高中性脂肪血症が起きますが、イノシトール、タウリンの摂取によって改善されたことから、イノシトールとタウリンが腸内細菌叢を変化させて腸内環境が改善されたためだということが分かりました。
本研究成果は、イノシトールとタウリンが砂糖の摂り過ぎによるメタボリックシンドロームを腸内環境の改善により予防できる可能性を示すものです。
本研究成果は、2024年8月 オランダ科学雑誌「Food Bioscience」に掲載されました。




【本研究のポイント】
・砂糖など甘味料の摂り過ぎが腸内細菌を介して脂肪肝、脂質代謝異常を引き起こす。
・植物性食品に多く含まれるイノシトールや海産物に多く含まれるタウリンがこれを改善することを明らかにした。
・イノシトールとタウリンが腸内細菌叢を変化させ腸内環境を改善したことが分かった。


【研究背景と内容】
 メタボリックシンドロームは、インスリン抵抗性(注9)を基盤とする生活習慣病の前段階の未病状態であり、生活習慣の改善によりもとに戻すことができると考えられています。これまでメタボリックシンドロームの原因は、エネルギーの過剰摂取や動物性脂肪(飽和脂肪酸)の摂り過ぎが主要因であると考えられてきました。ところが、最近になり、砂糖(ショ糖)や異性化糖などフルクトースを含む糖の摂り過ぎが主要因の一つであることが分かりました。この砂糖の摂り過ぎは、後から添加される糖の摂り過ぎが問題と考えられています。そのためWHOは1日の砂糖の摂取を摂取エネルギーの5%未満に抑えるように勧告を出しました。これは、小さじ6杯分の砂糖に相当するわずかな量です。
 ところが、砂糖やフルクトースがどうして脂質代謝異常(脂肪肝、中性脂肪血症)を引き起こし、メタボリックシンドロームにつながるかについては、ほとんど分かっていませんでした。本研究グループは、以前の研究で脂質代謝異常の原因が腸内細菌叢の変化であることを突き止めました(新しいメカニズム)。
 しかし、実生活において、分かってはいても甘いものはなかなか止められません。そこでこの新しいメカニズムに従って、腸内環境を正常化することによって砂糖による脂質代謝異常が改善される可能性が考えられました。植物性食品に多く含まれるイノシトールや海産物に多く含まれるタウリンは、生体内で浸透圧の調節する役割を持っています。また、両者とも脂質代謝の改善効果が知られています。


 本研究では、ラットに炭水化物としてスターチを与えたグループと砂糖を与えたグループを設け、砂糖を与えた群にイノシトールを与える群とタウリンを与える群を設けて、脂質代謝と盲腸の腸内細菌叢を調べました。イノシトールは効果的に脂肪肝を抑制し、イノシトールとタウリンともに、血清中性脂肪濃度を低下させました。イノシトールとタウリンは、砂糖によって変化した腸内細菌叢を改善しました。また両者とも肝臓の脂質代謝関連遺伝子の発現を改善しました。以上の結果から、甘いものを食べるときに、イノシトールやタウリンなどの食品を食べることで、脂質代謝の異常が緩和されることが明らかになりました。そして、この効果が腸内環境の正常化によるものであることを明らかにしました。

【成果の意義】
 砂糖の摂り過ぎは脂質代謝異常を引き起こし、メタボリックシンドロームを引き起こします。しかし、砂糖の摂取を抑える他にほとんど予防法はありません。それは作用メカニズムが分かっていなかったからです。本研究グループは、砂糖や異性化糖などのフルクトースを含む糖の摂り過ぎが脂質代謝異常を起こすというメカニズムが、腸内細菌叢を介する作用であることを明らかにしてきました。そのメカニズムに従って、腸内環境を他の食品成分で改善することにより砂糖の摂り過ぎによる脂質代謝異常が抑えられると考えられ、それを今回の実験によって示しました。
 植物性食品に多いイノシトールや海産物に多いタウリンが、腸内環境を改善して、砂糖の摂り過ぎによる脂質代謝異常を改善しました。本研究成果は、腸内環境を整えることができれば、砂糖の摂り過ぎによる脂質代謝異常やメタボリックシンドロームを予防できる可能性があることを示したものであり、他の食品成分による予防も可能になると考えられます。

【用語説明】
注1)メタボリックシンドローム:
 生活習慣病の前段階の未病状態であり、インスリン抵抗性を基盤とした状態を指す。食事や運動に気を遣うことによって、可逆的に戻ることが期待される。一般に太っていることを指す言葉のように使われることがあるが、必ずしも正しくない。日本人の場合、太っていない人でもインスリン抵抗性がありメタボリックシンドロームと評価される場合がある。そのような人は、痩せていても糖尿病になることがある。
注2)脂肪肝:
 肝臓に中性脂肪がたまっている状態を指す。脂肪肝が進行すると、肝線維症や肝硬変、肝がんへ移行する可能性がある。アルコール摂取しない場合、非アルコール性脂肪肝炎(NASH(現在はMASH))と呼ばれ、その原因はメタボリックシンドロームと関連が深いと考えられている。
注3)高中性脂肪血症:
 血中に中性脂肪がたまる高脂血症の一つで、これまでは高コレステロール血症が動脈硬化症の危険因子と考えられてきたが、最近高中性脂肪血症も危険因子と考えられるようになった。
注4)イノシトール:
 多くの食品に含まれるが、植物性の食品に多い化合物。浸透圧の調節作用や脂質代謝正常化作用が知られている。体内でも合成されるが、食事から摂取することで効果を示すことが知られている。
注5)タウリン:
 海産物に多く含まれるアミノ酸の一種で、浸透圧の調節や脂質代謝性浄化作用が知られている。最近、寿命を伸ばすアミノ酸であることが分かり、注目を浴びている。体内でも合成されるが、食事から摂取することで効果を示すことが知られている。

注6)異性化糖:
 果糖ブトウ糖液糖とも呼ばれる。デンプンを加水分解してブドウ糖液に変え、およそ半分を果糖に異性化(変化)したものであり、スクロースと同様な甘味があり、安価で供給されているため、ジュースなどの甘味料として多く利用されている。
注7)フルクトース:
 グルコースと同じ組成式をもつため、自身のエネルギーは同じだが、グルコースと代謝が異なるため、メタボリックシンドロームや脂肪肝、高中性脂肪血症、高尿酸血症、肥満などを引き起こすことが知られている。本文にもあるように、未だそのメカニズムは不明。

注8)腸内細菌叢:
 私達の消化管には多くの微生物が住んでいるが、その中でも大腸には大量の細菌が住んでおり、腸内の細菌全体を指す言葉。体の外だが、私達の健康に大きな影響を与える。
注9)インスリン抵抗性:
 インスリンが効きにくくなる状態を指し、メタボリックシンドロームの基盤となる。肥満になると引き起こされるが、肥満でなくても脂肪肝によっても引き起こされる。

【論文情報】
雑誌名:Food Bioscience
論文タイトル:Inositol and taurine ameliorate abnormal liver lipid metabolism induced by high sucrose intake
著者:Qi Song, Shiori Nishitani, Shiori Saito, Naomichi Nishimura, Satoshi Mochizuki, Hiroaki Oda  
太字は名古屋大学
DOI:
https://doi.org/10.1016/j.fbio.2024.104368
URL:
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2212429224007983?via%3Dihub


▼本件に関する問い合わせ先
名古屋大学広報課
TEL:052-558-9735
FAX:052‐788-6272
メール:nu_research@t.mail.nagoya-u.ac.jp


【リリース発信元】 大学プレスセンター https://www.u-presscenter.jp/

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