2025年05月17日
日本国内主要自動車メーカーの2025年3月期決算が出揃った。過去最高の売上を記録したトヨタ自動車、マツダなど各社概ね良好な収益構造だが、経営不振が伝えられる日産自動車だけは大幅な赤字を計上した。
ただ、米トランプ政権が自動車に25%の追加関税を発動し、次年度は日本の自動車や部品メーカー業績に深刻な影響を与えることになる。今回の自動車関税についてまったく対策をとらなかった場合、大手自動車メーカーの営業利益は、3兆2467億円ほど押し下げられるとしている試算もある。米トランプ政権の関税政策などの影響で2026年3月まで2025年度業績見通しを「減益」または「未定」とする企業が相次いだ年次報告だった。
各社決算と次年度業績予想の内容をサマリーで紹介する。
■TOYOTA──トヨタ自動車
トヨタが発表した2025年3月期連結決算は、売上高が前年同期比6.5%増の48兆0367億円で過去最高を記録した。売上高が過去最高を記録するのは4年連続。営業利益は10.4%減の4兆7955億円、当期利益は3.6 %減の4兆7650億円だった。
国内外でHEV(ハイブリッド車)などの販売が堅調で、年度通期にわたる円安の為替要因も重なって収益が押し上げられた。
同時に発表した2026年3月期の連結業績予想は、米トランプ政権の自動車への関税を織り込んだ結果、売上高は前年同期比1.0%増の48兆5000億円、営業利益は同20.8%減の3兆8000億円、最終利益は同34.9%減の3兆1000億円と見込んでいる。
■HONDA──ホンダ
ホンダが発表した2025年3月期連結決算は、売上高が前年同期比12.2%マイナスの1兆2134億円。営業利益は10.41%減の1兆2134億円、当期利益は23.6 %減の9030億円だった。二輪事業がグローバルで好調で、過去最高の販売台数・営業利益・営業利益率を達成した。四輪事業はおもに中国・ASEAN地域における販売台数の減少、ならびに北米でのEV販売に向けたインセンティブ強化の影響はあったが、HEVの販売は拡大、売上に貢献した。
2026年3月期連結業績予想では、純利益が前期比70.1%減の2500億円と見込む。米トランプ政権の米国外からの輸入車に対す追加関税と円高が進み、利益を圧迫。売上収益は6.4%マイナスの20兆3000億円と見通す。
日産との経営統合の再協議について「当分ないと理解してもらっていい」と三部敏宏社長は決算会見で語り、否定的な考えを示した。
■MAZDA──マツダ
2024年度(2025年3月期)、マツダのグローバル販売台数は130.3万台、対前年同期比5%増だった。これは北米市場が過去最高の販売を達成した点が貢献した。売上高は過去最高の5兆0189億円で、マツダとして初の5兆円超。営業利益は前年同期比26%減の1861億円で増収減益となった。
2026年3月期の業績見通しは、米国関税政策など先行き不透明な経営環境から合理的な算出は困難として、開示を見送り未定とした。ただし、世界販売は「前年並みを目指す」という。第1四半期決算時に政策動向や影響を精査のうえ状況を開示する予定だ。
■SUZUKI──スズキ
2024年度、スズキの決算は売上が前年度より8.7%増の5兆8251億円。販売台数の増加や円安効果で本業のもうけを示す営業利益が30.2%増の6428億円となり、創業以来過去最高をマークした。
一方、2025年度1年間の業績見通しでは、為替の円高傾向や米政権の関税政策の影響を見込んで、売上が4.7%増えて6兆1000億円と、初めて6兆円を超える。が、営業利益が22.2%減少する5000億円になると見込んでいる。
■SUBARU──スバル
国内主要メーカーで最後の決算発表となったSUBARUは、国内生産が前年同期並みの60.2万台、海外生産は同6.3%減の34.5万台となり、世界生産台数は同2.4%減の94.6万台だった。結果、2024年度・売上高が前年同期比0.4%減の4兆6857億円、営業利益が同13.4%減の4053億円、最終(当期)利益が同12.2%減の3380億円で減収減益だった。
なお、2026年3月期の見通しは、米国の関税政策の動向など、自動車や航空機などを取り巻く事業環境は不透明な状況が続いており、現時点で合理的な業績見通しを算定することが困難であることから、2026年3月期連結業績見通しは未定としている。
■MITSUBISHI──三菱自動車
三菱自動車が発表した2024年度のグループの決算は、売上高が前年度とほぼ同じ水準の2兆7882億円だった。一方、本業のもうけを示す営業利益は27.3%マイナスの1388億円になった。同期の世界販売台数は同3%増の84万2000台。欧州(11%減)や 中国ほか((同48%減)で台数を減らしたが、北米(14%増)や日本(同6%増)で伸びた。ベトナムなど東南アジア(5%増)も前年超えとなった。
また、2025年度の業績予想は世界販売が4%増の87.8万台になり、売上高が5.8%増える見通しだが、米トランプ政権による関税政策や為替変動の影響を受け、営業利益は前年度よりも28%減ると試算。追加関税の影響だけで利益を400億円押し下げるとしている。三菱自動車は米国で年間およそ10万台のクルマを販売しているが、現地生産は行なっていない。日本からの完成車両輸出に依存しており、これが業績に大きな影響を及ぼすとしている。
■日産自動車
日産自動車の2024年度通期決算は、報告によると世界販売台数は334万6000台だった。2024年度通期の連結売上高は12兆6332億円、連結営業利益は698億円、売上高営業利益率は0.6%となった。当期純損失つまり赤字は6709億円、自動車事業のフリーキャッシュフローと同営業利益は通期で赤字となったが、同事業のネットキャッシュは対前年度比で微減となる1兆4980億円となった。(編集担当:吉田恒)[日産については別項に詳しいので、そちらを参照のこと]
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記事提供:EconomicNews
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