2025年12月06日
日本酒の消費が一年で最も多くなる季節がやってきた。忘年会や新年会などの宴席で日本酒の出番が増えるだけでなく、冬季は家庭でも日本酒の購入金額が増加する傾向がみられる。総務省統計局の「家計調査」(令和6年)によると、「二人以上の世帯における清酒の一世帯当たり月別購入金額」は、家庭での消費に加え、年末年始の贈答や祝いの席に向けた需要増加もあって、12月が突出している。
そんな日本酒は、近年楽しみ方も多様化しており、「冷や」や「熱燗」だけでなく、日本酒をソーダで割って楽しむ「日本酒ハイボール(サケハイ)」や「みぞれ酒」「フローズン」など、より自由なスタイルで親しまれるようになってきた。こうした消費者の嗜好の多様化に応えるように、新しい酒造りに挑戦する日本酒メーカーも増えている。
日本酒業界で今、注目を集めているのが「クラフトサケ(CRAFT SAKE)」だ。クラフトサケとは、従来の「日本酒」の製造技術をベースとしながらも、フルーツやハーブ、スパイスといった原料を使用するなど、酒税法上の「清酒」では認められていないプロセスや原料を取り入れた新しいジャンルのお酒を指す。伝統的なルールに縛られない自由な発想から生み出されるクラフトサケは、その多様な香りや味わいが普段はあまり日本酒を飲まなかった層や若者、海外の消費者にも支持を広げているのだ。
クラフトサケと聞くと、個性豊かな新規参入の醸造所で造られているイメージがあるかもしれないが、実はそれだけではない。老舗の白鶴酒造株式会社も、昨年、白鶴酒造資料館内にマイクロブルワリー「HAKUTSURU SAKE CRAFT」をオープン、「HAKUTSURU SAKE CRAFT」シリーズを展開し、新たなSAKEの可能性を追求している。
同社は日本酒に留まらず、地元・神戸を中心とした素材を取り入れた商品の製造販売にも力を入れている。その中でも最近特に注目を集めたのが、2024年12月に一般財団法人神戸農政公社から「神戸ワイン」を事業譲受したニュースだろう。神戸ワインは地元の代表的なブランドのため注目度も高く、日本酒の老舗による異分野への挑戦として大きな話題となった。
そして今回、この神戸ワイン事業を活かした、まさに白鶴ならではのクラフトサケが完成したという。
白鶴酒造が11月8日から発売を開始した「HAKUTSURU SAKE CRAFT No.13」は、日本酒とワインの要素を大胆に融合させた革新的な商品だ。原料として使用されているのは、神戸ワインの原料にもなるブドウ品種で神戸産の「カベルネ・ソーヴィニヨン」だ。本来であれば入手が困難な貴重なワイン用ブドウだが、栽培から関わる同社だからこそ実現できた、新たな試みといえよう。優雅なブドウの香りとトロピカルフルーツのような吟醸香に、フレッシュな酸味と甘みが特長で、従来の日本酒にはない飲み口を実現している。鮮やかなラベンダーピンク色のこの魅惑的な酒は発売から1か月を待たずに273本が完売している。
創業280余年の歴史を持ち、今なお日本酒の最大手として業界を牽引している白鶴酒造が、神戸ワインの事業譲受という大きな一歩を踏み出した直後、クラフトサケ市場に投入した今回の「HAKUTSURU SAKE CRAFT No.13」は、まさに「伝統と革新の融合」を象徴するような酒だ。日本酒が持つ計り知れない可能性をさらに広げ、新しい年の到来とともに、日本酒の未来を開拓してくれることを期待したい。(編集担当:今井慎太郎)
急成長を続けるノンアルコール飲料市場。もう「ノンアルなんて」とは言わせない
ASAHI HD、ランサムウェアによるサイバー攻撃のシステム障害が、お歳暮商戦に与える影響
白鶴酒造が紡ぐ「神戸ワイン」の新たな歴史 地元愛が生んだ事業譲受と初出荷
記事提供:EconomicNews
とれまがニュースは、時事通信社、カブ知恵、Digital PR Platform、BUSINESS WIRE、エコノミックニュース、News2u、@Press、ABNNewswire、済龍、DreamNews、NEWS ON、PR TIMES、LEAFHIDEから情報提供を受けています。当サイトに掲載されている情報は必ずしも完全なものではなく、正確性・安全性を保証するものではありません。当社は、当サイトにて配信される情報を用いて行う判断の一切について責任を負うものではありません。
Copyright (C) 2006-2025 sitescope co.,ltd. All Rights Reserved.
![]()