2026年07月18日
今回のニュースのポイント
三井ホームと銘建工業は、直交集成板(CLT)を活用した高性能・薄型の遮音床構造を共同開発し、特許を出願したと発表しました。従来は床構造の厚さが課題となり、最高高さ10メートル以下の規制エリアでは木造集合住宅は3階建てが一般的でしたが、新技術により4階建て実現の可能性が広がるとしています。
本文
都市部における建築計画において、木造の集合住宅やマンションはこれまで「3階建て」が一般的な限界とされてきました。この制約を生み出していた主な要因は、構造的な強度の問題ではなく、都市計画法などに基づく「最高高さ10メートル以下」という厳しい高さ制限と、建築基準法が定める居室の平均天井高さの制限、そして住宅としての品質を保つための床構造の厚さです。従来の木造建築において、上階の足音などを遮断する十分な遮音性能を確保しようとすると、上階の床から下階の天井までに必要な床構造の厚さは約500ミリメートルに達してしまいます。これに生活空間として不可欠な天井高を各階で確保していくと、全体の高さが10メートル以内に収まらなくなり、結果として高さ制限や床構造の厚さが4階建て実現の課題となっていました。
こうした限界を打破するために開発されたのが、三井ホームと国内トップシェアの直交集成板(CLT)メーカーである銘建工業が共同開発した新しい遮音床構造です。同技術では、床根太部分に国産材のCLTを活用することで、高い構造強度を維持したまま、床構造全体の厚みを従来の約500ミリメートルから300ミリメートル以下へと薄型化したとしています。床の厚みを200ミリメートル以上削減できたことにより、10メートルという限られた建物の総高さの中に、法的基準を満たした天井高を持つ4つの階層を収めることが可能となりました。さらに、薄型化において最も懸念される遮音性能についても試験を重ね、重量床衝撃音の基準でLH-60程度、軽量床衝撃音においては目標を上回るLL-50の遮音性能を達成し、集合住宅として十分な遮音性能を確認したとしています。両社はこの高性能と薄型化を両立した遮音床構造について、2026年7月3日付で特許を出願しています。
いま、建設業界において木造中層建築へのシフトが急速に進んでいる背景には、世界的な脱炭素社会の実現や、国内における木材利用促進への関心の高まりがあります。木造建築は、建設時の環境負荷低減への期待などから注目が高まっています。使用する木材の内部に炭素を長期間にわたって固定し続けることができる特性もあり、環境負荷の低減と持続可能な森林資源の循環を目指す中で、都市部の景観を損なわずに木材の利用量を拡大できる中層木造マンションや賃貸住宅の需要が高まりつつあります。今回の新技術はこうした環境配慮型の建築トレンドを後押しする背景を持っています。
この遮音床構造の登場により、今後の都市部における不動産開発や住宅市場の選択肢が広がる可能性があります。特に、敷地面積が限られ、高さ制限の厳しい狭小な都市部や住宅密集地において、これまで 3階建てしか建てられなかった土地に4階建ての木造賃貸住宅や中層マンションが建築可能となることで、土地活用の幅が広がることが期待されます。三井ホームは、これまで培ってきたサステナブル木造マンションの技術ブランドを体系化し、建築物の木造化を通じた脱炭素社会への貢献を進めており、銘建工業との素材・技術の連携を通じて、都市部における木造建築の新たな可能性と普及を模索していく方針です。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)
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記事提供:EconomicNews
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