2026年08月11日
今回のニュースのポイント
妊婦健診や乳幼児健診で使われてきた紙の問診票や母子健康手帳が、デジタル中心の仕組みへ変わろうとしています。こども家庭庁は、全国共通の情報連携基盤「PMH(Public Medical Hub)」を活用し、スマートフォンによる問診票の入力や健診結果の確認、マイナンバーカードの受診券利用などを進めています。電子版母子健康手帳を原則とすることも目指しており、2026年3月にガイドラインを発行、2026年度以降の本格的な普及につなげる方針です。
本文
妊婦健診や産婦健診、乳幼児健診といった母子保健の現場では、問診票の手書きや紙の受診券、受診結果のやり取りなど、長らく「紙」を中心とした運用が基本とされてきました。そのため、問診票の記入など住民側の負担に加え、医療機関や自治体側でも手作業によるデータ打ち込みや確認作業など、多くの事務負担が生じていました。
こうした課題を解決するため、こども家庭庁とデジタル庁は全国共通の情報連携基盤「PMH(Public Medical Hub)」を活用した「母子保健DX」を推進しています。仕組みが整備されると、受診者はあらかじめスマートフォンで問診票に入力し、当日はマイナンバーカードを受診券として利用して健診を受けます。健診結果をデジタルで共有し、受診者本人もスマートフォンなどから結果を確認できる仕組みの整備が進められています。紙の転記や郵送を減らし、関係者の間で情報を迅速に共有するのが狙いです。
このデジタル化は、子育て家庭にとって特に身近な場面で大きなメリットをもたらします。現在は、住んでいる自治体とは異なる地域で妊婦健診などを受ける「里帰り出産」の場合、自治体をまたいだ事前の手続きや調整が必要になるケースがありました。デジタル化によって、こうした居住自治体外で受診する際の煩雑な事務手続きの省略を目指しています。また、医療機関から健診結果が速やかに連携されることで、自治体による受診状況の把握や必要な支援につなげやすくなることも期待されています。
取り組みは、すでに先行して動き出しています。こども家庭庁とデジタル庁が実施する「母子保健デジタル健診実証事業」には、2026年7月時点で全国10自治体(青森県むつ市、埼玉県入間市、東京都町田市、東京都東村山市、大阪府河内長野市、広島県府中町、愛媛県西条市、長崎県諫早市、長崎県波佐見町、宮崎県都城市)が参加。マイナンバーカードを受診券として利用し、スマホで問診票を入力する仕組みの実証が進められています。
政府は電子版母子健康手帳を原則とすることを目指しており、2026年3月には「電子版母子健康手帳ガイドライン」が発行されました。2026年度以降、その本格的な普及につなげる計画です。ただし、現時点で全国一律に紙の母子健康手帳から電子版へ切り替わっているわけではなく、現在は実証から順次普及へと向かう段階にあります。
母子保健DXは、単に母子健康手帳をスマートフォンに置き換えるだけの取り組みではありません。健診情報を本人、医療機関、自治体で速やかに共有することで、紙の記入や転記、郵送などを減らし、必要な支援へ早くつなげることも狙っています。一方、現在は一部自治体での実証・普及段階にあります。長年「紙」が当たり前だった母子保健が、全国共通のデジタル基盤へどこまで移行できるのか。子育て家庭の利便性だけでなく、自治体や医療機関の負担軽減という面からも今後の展開が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)
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記事提供:EconomicNews
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