2026年08月15日
伐採や森林火災に伴う森林減少、そして気候変動への対応において、世界的に森林の持つ役割にあらためて注目が集まっています。森林は二酸化炭素(CO₂)の吸収源となるだけでなく、水源涵養(森林が雨水を蓄え、河川への流出を緩やかにする働き)や土砂流出の防止、生物多様性の保全など多面的な機能を備えています。こうした中、日本企業や公的機関による海外での植樹活動は、かつてのような「何本植えたか」という本数中心の評価から、いかに苗木を定着させ健全な森林として育成・管理できるかという実効重視のアプローチへと変化しています。
その代表例が、製紙業界が進める海外植林事業と持続可能な森林経営です。日本製紙グループでは、オーストラリアやブラジルなどの海外で、持続可能な森林経営を展開しています。同社では単に木を「植える」だけでなく、適切な「育成」、計画的な「収穫」、そして「再植林」という循環型森林経営を実践しています。環境に配慮して水辺林(川や湖などの水辺に広がる森林)を保護するなど生態系保全に目配りしつつ、長期的な視点で森林資源を管理する仕組みを整えています。
また、生態系や生物多様性の回復を目的とした民間企業の取り組みでも、植樹後の継続管理に重きを置く動きが見られます。70年以上養蜂業に携わり、自然環境の保全を重視する山田養蜂場は、中国・雲南省麗江市の世界遺産「玉龍雪山」のふもとにおいて、地域の生態系に合わせた「宮脇式植樹」による5か年計画を展開しています。中国各地での植樹は2004年から行っており、本プロジェクトは今年2年目を迎えました。2026年中に麗江市に約4万本の植樹を進めるほか、本年より、過去に植樹した苗木の定着率や樹高、幹の太さを測定する「成長調査」を開始しました。「植えて終わり」ではなく、その土地の在来種が根付き、森として再生していくプロセスを継続的に検証・管理する段階へと活動を進化させています。
こうした森林再生の動きは、民間企業にとどまらず公的機関を通じても推進されてきました。国際協力機構(JICA)では、途上国における森林保全や持続可能な森林管理の支援を行ってきました。地域の生態系保全とあわせ、現地住民と協働しながら適切な森林資源の利用法を定着させるなど、環境保全と生活の安定を両立させる基盤づくりを後押ししてきた経緯があります。
かつての海外植樹は広報的な要素が強調されることもありましたが、現在は企業の事業持続性や地球環境への実質的な貢献度が厳しく問われています。日本製紙の循環型森林経営、山田養蜂場による成長調査を伴う植生回復、JICAによる公的支援など、立場やアプローチは異なりながらも「植える」から「森を育てる」取り組みへと進化させている点が共通しています。多面的な機能を持つ森林の再生に向け、中長期的な視点に立った実効性のある取り組みの重要性は今後さらに高まりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)
環境保護だけじゃない? 木を植え、育てて、森をつくる。植樹活動がもたらす多様な効果
記事提供:EconomicNews
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