2026年10月03日
今回のニュースのポイント
三井不動産とHonda発のスタートアップ・Ashiraseは、屋内ナビゲーションサービス「IndoorFlow」を2026年10月1日から東京メトロ三越前駅地下道および直結する6施設で運用開始しました。スマートフォンのカメラで周囲を認識して現在地を特定するVPS技術を活用し、GPSが届きにくい地下・屋内空間でも音声、振動、AR表示などで目的地まで案内します。導入に先立ち実施した視覚障がい者や車いす利用者計42人による事前テストでは、目的地到達率100%を達成し、88%が移動時の不安解消、95%が一人で行ける場所の増加を回答。施設単体にとどまらず、駅や地下道をまたいだ街全体の回遊性を高めるインフラとしての活用を目指します。
本文
地下道に入るとスマートフォンの地図アプリの位置情報が不正確になる。初めて訪れた大型商業施設や地下街で、目的地までのルートが分からなくなる――。そんな街なかでの「迷う」を解消しようと、三井不動産が日本橋エリアで広域的な屋内ナビゲーションサービスの社会実装を始めました。
三井不動産とHonda発のスタートアップであるAshirase(アシラセ)は、屋内ナビゲーションサービス「IndoorFlow(インドアフロー)」の一般利用を2026年10月1日から開始しました。
導入対象は、東京メトロ三越前駅地下道と、そこに直結する「COREDO室町1」「COREDO室町2」「COREDO室町3」「COREDO室町テラス」「日本橋三井タワー」「YUITO」の計6施設です。単一の建物内だけで完結する案内にとどまらず、駅、地下道、複数の施設をまたぎ、広域的な移動を一つのサービスで支援する仕組みとして導入されています。
IndoorFlowは、スマートフォンのカメラで周囲の環境を認識して現在地を高精度に特定する「VPS(Visual Positioning System)」技術を採用しています。専用設備の設置・工事を必要としない点も特徴です。
案内方法も一律ではありません。視覚障がいのある利用者には音声やスマホの振動、車いす利用者にはエレベーター優先の段差がないルート、訪日外国人観光客には6カ国語対応(日本語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、マレー語)、一般の来街者には画面上のAR(拡張現実)表示と、利用者の属性やニーズに応じたナビゲーションを提供します。目的地としても、トイレや飲食店、駅改札、授乳室、コインロッカーなどが設定されています。
サービス導入に先立ち、視覚障がい者と車いす利用者計42名を対象とした事前テストが実施されました。その結果、目的地到達率100%を達成したほか、アンケートでは88%が「移動時の不安が解消された」、95%が「一人で行ける場所が増える」と回答しました。なお、この結果は42人を対象とした事前テストにおける数値であり、来街者全体に対する効果を示すものではありません。
この技術の背景には、Ashiraseが取り組んできた歩行支援技術と知見があります。視覚障がいのある人とともに培ってきた歩行支援の技術や知見を活用し、障がいのある人だけでなく、幅広い利用者の移動を支援するサービスへと発展させています。
三井不動産は、建物の建設や管理といったハード面の提供にとどまらず、施設間をつなぐ「移動」そのものをサポートし、日本橋エリアのアクセシビリティと回遊性を高める取り組みとして位置づけています。今後は八重洲・東京駅周辺や近隣ホテルへの展開、さらにはMICE(国際会議・展示会等)における駅・地下道・宿泊施設・イベント会場間をつなぐ移動支援への活用も視野に入れています。
また、AshiraseはIndoorFlowを単なるナビゲーションにとどまらず「屋内空間データ基盤」と位置づけており、将来的には人流の把握や施設運営への活用も視野に入れています。
「駅から目的地までどう行けばいいのか分からない」という都市空間での身近な不便を、デジタル技術で取り除く試み。不動産会社が担う街づくりの役割は、単に建築物を所有・運営することから、人々が街をどのように移動し体験するかというソフト面のインフラ整備へと、領域を広げつつあります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)
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記事提供:EconomicNews
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