2024年10月13日
1956年8月10日、協議会の結成以来、地球上の全人類に対し「核兵器廃絶」を呼びかけ続けてきた「日本原水爆被害者団体協議会」(略称・日本被団協)に、その努力を最大限に評価する「ノーベル平和賞」の授与が11日、発表された。
日本被団協の箕牧智之代表委員は受賞に「世界の皆様へ、私たちが生きている間に核兵器をなくしてください。被爆者11万4000人の願いです」とコメント。戦後79年、なんと重い言葉。そして、強い、強い思いだろう。ノルウェー・ノーベル委員会(フリードネス委員長)は「人類に最も大きな利益をもたらす努力を称えるというアルフレッド・ノーベルの願いを叶えるものです」と絶賛した。
日本被団協への授与理由について同委員会は「広島と長崎の被爆者による『草の根運動』である日本被団協は核兵器のない世界を実現するための努力と核兵器が二度と使用されてはならないことを証言によって示してきた」と高く評価した。
「1945年8月の原爆投下を受けて、核兵器の使用がもたらす壊滅的な人道的結末に対する認識を高めるべく、世界的な運動がおこり、そのメンバーは弛(たゆ)まぬ努力を続けてきた。そして、核兵器の使用は道徳的に容認できないという強力な国際規範が徐々に形成されてきた。それは『核のタブー』として知られるようになった」。結果、80年、核兵器は使われることなく、今日を迎えている。
今回の被団協へのノーベル平和賞がどれだけ、核兵器廃絶運動に勇気を与え、後押しするエネルギーになるか。日本がアメリカの核の傘に入ることで安全保障を担保しているという現況の在り様の議論にも一石を投じることになろう。
立憲民主党の野田佳彦代表(元総理)は祝意を示し「どれほど原爆の被害が酷いものか、その長期にわたる心身の影響がどれほど被害者やご家族を苦しめるかなど、核兵器の非人道性がさらに世界に広まり、国際社会における核兵器廃絶への声がさらに強くなることを願います」とコメント。
同時に「今、世界では核兵器の脅威がさらに高まっている状態であることも考えずにはいられません。この受賞が世界のリーダーにも訴えかけ、今の世界的な軍拡・核兵器拡散の流れを変えることにつながることを望みます」と強い願いを示した。
野田氏は「核兵器禁止条約に、わが国がせめてオブザーバーとして参加しなければ、唯一の戦争被爆国としての核廃絶に向けての本気度が問われます」ともコメント。そのうえで「政府には次回の締約国会議には必ずオブザーバー参加するように求めます」とした。
今月15日公示、27日投開票で実施される衆院解散・総選挙で政権交代が起これば参加は確実だろう。米国の保守系シンクタンク「ハドソン研究所」に自民党総裁として9月27日寄稿した石破茂総理は、総理の立場としては相当慎重な対応を取られているが、総裁としての立場では「アジア版NATO(北大西洋条約機構)創設に合わせ、米国の核兵器共有やアジア地域への核兵器持ち込み」にも踏み込んでの認識を示している。
石破政権続投か、それとも野田政権樹立か。今回の選挙はこれまで以上に大きな選択につながる選挙になっている。未来につながる政治へ、いずれを選ぶにしても、すべての有権者がまず「一票」を投じることを願ってやまない。(編集担当:森高龍二)
記事提供:EconomicNews
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