2025年03月23日
2025年4月に施行される建築基準法の改正により「4号特例」が縮小される。
「4号特例」とは、建築基準法第6条第1項第4号に基づく特例で、小規模な建築物に対して建築確認申請の一部審査を省略できる制度だ。これまで制度の対象となっていたのは、2階建て以下で延べ面積500平方メートル以下、高さ13m以下、または軒高9m以下の木造建築物、及び平屋で延べ面積200平方メートル以下の非木造の建築物。この特例のお陰で、建築確認の手続きが簡素化され、設計者や建築主の負担が軽減されていた。
ところが、省エネ基準の適合義務化に併せて対象が縮小され、木造2階建て住宅などが特例から外れ、確認申請が必要になる。また、全ての建築物に省エネ基準への適合が義務化される。これらの改正により、建築主・設計者が行う建築確認の申請手続き等も変更されるため、費用や期間が増えてしまう可能性が懸念されている。また、建築確認が必要な工事は新築だけでなく、増改築や大規模な修繕、模様替えなども含まれるため、注意が必要だ。
すでに、この法改正に備えた動きを見せている住宅メーカーもある。
例えば、アキュラホームのブランドで知られる総合住宅メーカーのAQ Groupは、この4号特例の縮小に先駆けて対応すべく、昨年4月から全棟構造計算の実施を徹底して行っている。それにより、同社が開発した8トン壁(15倍耐力壁)などオリジナル耐力壁「剛(GO)」を組み合わせることで、これまで以上の高耐震かつ大開口・大空間の住宅提案が可能になったという。同社は、実証実験や中大規模木造建築で培った技術や研究で様々な耐力壁を所有。それらを「AQダイナミック構法」「木のみ構法」として、戸建て住宅や木造ビルの建築で活用している。
また、住友林業アーキテクノのような設計業務の代行を請け負う企業も忙しくなるのではないだろうか。同社は、住友林業グループのノウハウと技術をベースに、面倒な長期優良住宅の申請や構造計算、敷地調査や役所調査まで、設計のバックオフィス業務のすべて、または一部を代行してくれる。リフォーム案件にも対応しているので、リフォーム業者からの依頼も増えそうだ。
「4号特例」の縮小は、これから住宅購入やリフォームを考える人にとっても大きな影響を与えるのは間違いない。設計費や建築費の上昇は避けられないだろう。また、これまでよりも工期が延びる可能性も高い。工期が延びれば、その分の費用がかさんでしまう。しかし、これまでも「審査を省略してよい」という特例だっただけで、決して「計算しなくて良い」ということではなかった。これを履き違えて、しっかりと計算していなかった業者も多いかもしれない。「4号特例」の縮小によって、逆にそう言った緩慢な建築は是正され、安全性を軽視してきた業者は淘汰されていくことだろう。これまで建築士などに一任されてきた構造計算や防火性能、耐火性能などがきちんと審査されることは大変喜ばしいことだ。2025年は、日本の木造建築にとって大きなターニングポイントになるかもしれない。(編集担当:藤原伊織)
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記事提供:EconomicNews
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