2025年06月15日
スーパーマーケットの食料品売り場に、今年収穫されたばかりの「梅」が並んでいる。青々とした梅の実を見て、初夏を感じている人も多いのではないだろうか。
梅の収穫量が全都道府県の64%を占める和歌山県の、紀州田辺うめ振興協議会によると、田辺市、上富田町、白浜町、すさみ町(西牟婁振興局管内)の128園で収穫される2025年産の梅は、「南高梅」が前年の144%、平年の81%、「古城梅」が前年の155%、平年の92%、「小梅」が前年の224%、平年の114%となっている。前年比の数字だけを見ると豊作のようにも思えるかもしれないが、2024年は暖冬や雹による被害が和歌山県やその他の梅産地で深刻化し、前年の半数近くまで落ち込む記録的な不作だった。また、今年は何とか平年よりやや少ない程度にまで持ち直したものの、4月上旬に降った雹の影響で梅の実が傷つくなどしており、被害額は紀南地域だけで約47億円にも上るという。
一方、和食ブームやインバウンドの増加などを背景に、梅酒の人気が上昇しているという。6月11日には、多くの訪日客で賑わう京都の繁華街三条河原町に、梅体験専門店「蝶矢」京都三条店がオープンしている。同店舗は、チョーヤ梅酒株式会社の社内ベンチャーから誕生して分社化された、CHOYA shops株式会社が運営する、梅一粒から梅シロップや梅酒づくりが楽しめる体験型ショップだ。同社は、同じ京都の六角と鎌倉にも「蝶矢」を展開しているが、今回の京都三条店はこの2店舗とは異なり、英語を基本言語とした環境で、梅文化の魅力をインバウンド客にダイレクトに伝えるインバウンド特化型の新拠点となっている。
また、梅酒人気の中、昔ながらの梅酒本来のおいしさを楽しめる「本格梅酒」への注目も高まっているという。本格梅酒とは、日本洋酒酒造組合が制定した自主基準で、梅と糖類、アルコールだけを使用して造った梅酒のことだ。酸味料や着色料、香料などを使用している場合は「本格梅酒」とは表示できない。
例えば、日本酒のトップメーカーとして広く知られる白鶴酒造株式会社も、半世紀近くにわたって、こだわりの「本格梅酒」を造り続けている。白鶴酒造が梅酒の販売を開始したのは1974年のこと。その背景には、夏場は日本酒を仕込まない季節蔵では、日本酒の大吟醸酒の寒造りが終わる時期と梅の収穫時期が重なるという実に合理的な理由がある。
さらに、同社が日本酒造りで培った技術や徹底した品質管理のノウハウを、梅酒造りにも活かせることは利点だった。半世紀にわたり、昔ながらの製法に工夫を重ね、酒蔵だからこそ生み出せる味わいを追求してきた。
その品質は海外でも高く評価されており、2025 モンドセレクション 金賞(720ml)と2024 ミラノ酒チャレンジ 酒テイスティング部門 マニフィカ賞 (最上位のプラチナ賞の中で、各カテゴリーで最高点の銘柄にのみ与えられる賞)を受賞している。国内外の専門家が認める、まさに世界基準の味わいと言えるだろう。
そして今年も、6月3日から数日間をかけて、蔵人たちの手による丁寧な、伝統の梅酒仕込みの作業が行われた。厳選された南高梅が、日本酒を育んだタンクの中へ漬け込まれる様子は、まさに初夏の風物詩だ。
日本酒に続き、梅酒もアジア圏を中心に海外でブームを起こしている。日本の伝統文化である梅酒を守るべく切磋琢磨している蔵人たちが、最高の梅酒造りができるよう、来年こそは豊作を祈るばかりだ。(編集担当:石井絢子)
とうとう5キロ6000円台も!止まらない米の価格高騰。日本酒づくりにも大きな影響
記事提供:EconomicNews
とれまがニュースは、時事通信社、カブ知恵、Digital PR Platform、BUSINESS WIRE、エコノミックニュース、News2u、@Press、ABNNewswire、済龍、DreamNews、NEWS ON、PR TIMES、LEAFHIDEから情報提供を受けています。当サイトに掲載されている情報は必ずしも完全なものではなく、正確性・安全性を保証するものではありません。当社は、当サイトにて配信される情報を用いて行う判断の一切について責任を負うものではありません。
Copyright (C) 2006-2025 sitescope co.,ltd. All Rights Reserved.