2026年03月23日
今回のニュースのポイント
・現場の積み上げで決まる「分散型」: 日本の賃金は政府が一方的に決めるものではなく、企業ごとの労使交渉の積み上げで決まる。なかでも自動車や電機といった大企業の決着が、中小企業の交渉でも「どこまで近づけるか」という目安(相場)になる。
・「ベア」と「最低賃金」の役割: 給与水準を底上げする「ベースアップ(ベア)」が交渉の柱。一方で、政府の審議会で決まる「最低賃金」も、特に非正規雇用などの賃金の下支えとして欠かせない役割を担っている。
・日銀も注目する「春闘」の行方: 日銀は「賃金と物価の好循環」が起きているかを測るうえで、春闘の動向を主要な判断材料の一つとして重視している。この結果が、将来の金利政策にも影響を与える。
「今年の賃上げは5%」といったニュースを目にするとき、多くの人が「一体それは誰が決めているのか」と疑問に思うかもしれません。
日本の賃金が決まる仕組みは、政府がトップダウンで命令を下すような形ではありません。基本は、それぞれの企業と労働組合が直接話し合う「労使交渉」の積み上げです。その中心にあるのが、1955年から続く「春闘」という慣習。2月から3月にかけて各社で交渉が行われ、3月中旬に大手企業の回答がドッと出る「山場」を迎えます。ここで出た数字が、その年の日本全体の「賃上げの空気感」を作っていくことになります。
賃上げの中身を見てみると、勤続年数で上がる「定期昇給」に加え、給与の土台そのものを底上げする「ベースアップ(ベア)」が大きな柱です。最近のような物価高の局面では、このベアをどれだけ勝ち取れるかが、生活を守れるかどうかの分かれ道になります。また、この春闘とは別に、政府の審議会で決まる「最低賃金」も、現場の賃金を底上げする重要なセーフティネットとして機能しています。
交渉のテーブルでは、何が話し合われているのでしょうか。まず大前提となるのは自社の業績や稼ぐ力です。そのうえで、世の中の物価がどれくらい上がっているか、人手不足でどれほど採用が厳しいか、といった現場の状況が判断材料に加わります。例えば大手企業が5%前後の賃上げを決めれば、中小企業の交渉でも「それにどこまで近づけるか」が一つの目安になります。こうして主要産業の決着が波及していくことで、日本全体の賃金水準が形作られていくのです。
この春闘の結果を、誰よりも熱心に追いかけているのが日本銀行です。日銀は、賃金が上がり、それが買い物(消費)を活発にする「好循環」が本物かどうかを判断する際、春闘の動向を主要な材料として重視しています。ここで勢いのある数字が出れば、金利を引き上げるなどの政策判断を後押しする要因にもなり得ます。
最近では、この決定プロセスにも変化が見られます。これまでは「組合が要求し、会社が渋々応える」という構図が一般的でしたが、今は深刻な人手不足。優秀な人を繋ぎ止めるために、会社側が先んじて高い賃上げを打ち出すケースも増えてきました。伝統的な春闘の枠組みに、シビアな「人材獲得競争」という市場の論理が混ざり始めているのです。
今後は、一部で導入が進む「ジョブ型雇用」のように、個人のスキルや役割に応じた配分も徐々に広がっていくでしょう。賃上げが大企業だけでなく、中小企業や非正規雇用の方々にまでどこまで波及し、実感を伴うものになるのか。それは、これからの日本経済の先行きを左右する重要な論点の一つといえます。(編集担当:エコノミックニュース編集部)
2026年春闘も「5%台」維持か 問われる中小企業への波及と実質賃金
記事提供:EconomicNews
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