2026年03月25日
今回のニュースのポイント:
・「信頼」が生む業務の偏り: マネジャーが「確実な成果」を求めて特定の見込みがある社員に仕事を振ることで、高パフォーマーに過度な負荷がかかる構造が常態化しています。
・パフォーマンス・パニッシュメント(頑張り損): 「パフォーマンス・パニッシュメント」と呼ばれる現象は、最近の人事・組織マネジメントの議論でも、高パフォーマーのバーンアウトや離職要因としてたびたび指摘されています。
・貴重な人的資本の流出リスク: 業務過多による燃え尽きや不公平感は、組織にとって最も手放したくない人材の離職を招き、チーム全体の士気と成長力を著しく停滞させる要因となります。
「あの人に頼めば間違いない」。
職場で飛び交うこの言葉は、一見すると最大の賛辞ですが、その裏には「仕事ができる人ほど損をする」という構造が隠れている場合があります。仕事ができる人に業務が集中するのは、「任せれば安心」という信頼と評価がある一方で、組織としての業務配分や管理の仕組みが追いつかず、結果として同じ人に負荷が偏り続けるためです。
近年の経営学や組織心理学、人事実務の文脈では、こうした状態を「パフォーマンス・パニッシュメント(Performance Punishment)」と呼ぶことがあります。優秀な成果を出すほど、さらに難易度の高い仕事や大量のタスクが「報酬」ではなく「追加の義務」として課される現象です。この悪循環が起きると、高パフォーマーにはさらにスキルと経験が蓄積され、「その人に振るのが最も合理的で早い」という力学が強化されます。業務量や難易度を可視化する仕組みがない組織ほど、マネジャーは無意識に“頼みやすい人”へ依存し、不均衡を加速させてしまう傾向にあります。
こうした状況は、組織にとって深刻な経済的損失を招くリスクを孕んでいます。高パフォーマーは責任感が強く、依頼を断ることに心理的ハードルを感じやすいため、自らブレーキをかけられずに燃え尽きてしまうケースが少なくありません。こうした状態が続くと、高パフォーマーは「静かな退職(仕事への熱意を失い最低限の業務のみこなす状態)」を経て、より正当な評価やバランスを求めて他社へ流出するリスクが高まります。後に残されるのは、依存しきっていたチームの機能不全と、周囲の「ほどほどに働こう」という停滞した空気です。
この構造的欠陥を打破するには、個人の努力ではなく、管理の「仕組み」を再設計する必要があります。まずは、誰が何をどれだけ抱えているかをリアルタイムで「見える化」し、負荷の偏りを定期的に是正すること。さらに、高パフォーマーには単なる“作業の量”を積むのではなく、戦略立案や育成といった「高付加価値な仕事」へシフトさせ、ルーティンワークはチーム全体で分担する設計が求められます。
「できる人」に過度に依存する組織は、短期的には回っているように見えても、長期的には、自らの成長エンジンをじわじわと傷めていることにもなりかねません。追加の貢献に対して、明示的な報酬や裁量、そして「断る権利」をセットで保証すること。有能な人材が「頑張ってよかった」と思える環境を作れるかどうかが、人的資本経営時代の成否を分ける鍵となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部)
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記事提供:EconomicNews
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