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採用競争は内定後へ 人手不足時代に問われる企業の人材定着力

2026年07月05日

企業担当者との面談イメージ。人手不足を背景に採...

今回のニュースのポイント

マイナビ総合研究所が発表した「内定者フォローに関する調査」によると、社会人1~3年目のうち約6割が、内定期間中に企業から月1回以上のフォローを受けていたことが分かりました。また、内定者フォローを通じて入社への納得感につながった割合も約6割となり、企業と内定者の継続的な接点づくりが重要性を増しています。人口減少による人材獲得競争が続く中、企業の採用戦略は「内定を出す」ことから「入社後の活躍を見据えた関係構築」へ変化しつつあります。

本文
 日本企業の採用活動に変化が起きています。これまでの採用活動では、「いかに優秀な人材へ内定を出すか」が大きな焦点とされてきました。しかし、深刻な人手不足が慢性化する中、企業には内定後も学生との関係を維持し、入社への納得感を高める取り組みが求められるようになっています。マイナビ総合研究所が公表した調査データは、採用競争の舞台が選考期間中だけにとどまらず、内定後にも広がっている労働市場の現状を示しています。

 具体的なファクトを整理すると、社会人1~3年目の1,936人を対象とした調査において、内定期間中に企業から「1カ月に1回以上」のフォローを受けたと回答した割合は59.3%に達しました。実施されたフォローの主な内容としては、全体の60.4%を占める「内定式」が最も多く、次いで「内定者との交流・懇親会」も50.2%と半数を超えています。これらのデータは、多くの企業が入社までの数カ月間を単なる「空白期間」にすることなく、一定の頻度で内定者との接点を維持しようとリソースを割いている動きを浮き彫りにしています。

 ここで注目すべきは、単なる接触の頻度ではなく、提供されるフォローの内容が内定者に与える印象の構造です。企業から受けた施策の中で印象が良かったものとして、最も高かったのが「社内報・資料の共有」の83.0%であり、次いで「社内見学・工場見学」が80.1%、「先輩社員との交流・懇親会」が80.1%と同水準で並びました。このファクトは、内定者が求めているものが単なる「企業側からの接触そのもの」ではなく、「入社後の働き方や組織の実態を具体的に理解できる情報」であることを示しています。特に、5日以上の「業務体験・内定者インターンシップ」において、小企業では87.8%が好印象と回答したのに対し、大企業では75.4%にとどまり、12.4ポイントの明確な差異が確認されました。配属予定の部署や業務内容が入社前から想定しやすい小企業ほど、実務に踏み込んだフォローが入社後の具体的な業務イメージに直結しやすく、採用競争において大企業に対して構造的な優位性を築ける可能性を示しています。

 マクロ的な視点から捉えると、人材市場が「企業が学生を選ぶ時代」から「お互いが選び合う相互選択の時代」へシフトしている構造変化が背景にあります。急激な人口減少とそれに伴う若年労働力の不足は、一人の学生が複数の内定を保持することを常態化させ、企業を「選ばれる側」の立場へと置くことになりました。企業にとって今後の持続可能性を左右するのは、採用人数の確保だけではありません。採用した人材が入社後に組織へと定着し、早期の離職を防ぎながらその能力を最大限に発揮できる環境を整えられるかという、人材の定着まで含めた人的資本戦略の成否が企業の競争力を決定づける要因となっています。

 こうした人的資本経営への転換を迫る流れは、現代の産業構造の成熟とも密接に結び付いています。先端のAI導入やデジタルトランスフォーメーションが加速する時代であるからこそ、それらの高度な技術を使いこなし、付加価値へと昇華させる「人間」という経営資源の重要性はむしろ高まります。以前取り上げた人事院における全公務員共通スキルの議論などとも共通するように、これからの組織には、単なる入り口としての採用活動だけでなく、継続的な育成と能力発揮をシームレスに下支えする仕組みづくりが求められています。

 人手不足時代における採用競争は、新卒採用の数字のみを競う段階から、獲得した人材との中長期的な関係性をどう築くかという質的な段階へと移っています。内定者フォローの広がりは、目先の辞退防止策という枠組みを超え、企業と働く人がお互いの理解を深め、将来の長期的な成長につなげるための重要なインフラへと役割を変えつつあります。人口減少が一段と進む日本経済において、今後は「人材を獲得できる企業」という点にとどまらず、「人材が納得して定着し、力を発揮し続けられる環境を整備できる企業」が確固たる競争優位を持つ時代になりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)

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記事提供:EconomicNews

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