2024年12月29日
2024年、政治分野の「大収穫」は安倍政権発足以来、壊され続けた「国会機能」が、石破内閣発足で正常化へ「熟議と公開」の立法府に回復したこと。
今年9月の自民党総裁選で高市早苗衆院議員が自民総裁になり、高市内閣が誕生していたとすれば「政治改革」棚上げばかりか、「裏金議員」は総選挙で党公認になり、重複立候補も当然、堂々行われ、総選挙後は「禊は済んだ」と政倫審も政治改革法案も蓋をされ、年の瀬を迎えたと想像する。
雑誌のインタビューに衆院選での一部議員への非公認に高市氏は「とんでもなくひどい話」としているし、自民党総裁選では高市氏への推薦人として署名した20人のうち13人が「裏金議員」だったことも、その推察は外れているとも思えない。
「自民党内野党」と揶揄されながらも、石破茂・自民党元幹事長が総裁選を制し、総理となり、国民の自民党に対する批判、自民への不信を真摯に受け止め「党内の政治改革本部においては身内の論理、身内の理屈を排除し」(24日の記者会見で石破総理)政治改革に臨んだ姿勢は「国会機能の正常化」に貢献したと評価したい。自民党に自浄能力を発揮する議員がいたということ。
総選挙で「裏金」に関わりながら政倫審にも出席しなかった議員などを公認しなかったり、重複立候補を認めなかった英断は、公示後の「2000万円問題」はあるものの、一定、評価したい。
結果、自民党は改選議席を大きく割り込み、自公合わせても衆院で過半数に届かない「少数与党」になった。高市氏などは石破総裁ら党執行部のとった対応を批判するが、自民党再建へのスタートには国民目線に立った対応こそが相応しく、野党側からすれば、むしろ来夏の参院選で石破総裁との戦いが高市氏とは違い、かえって戦いづらい相手になっていると予想される。
石破総理は「比較第1党として、他党の皆様方のご意見を丁寧に承り、可能な限り幅広い合意形成を図るように一生懸命努力を致してまいりました。今国会では与野党が喧々諤々の議論を行った。まさに『熟議の国会』に相応しいものになったのではないでしょうか」と振り返った。
立憲民主党の小西洋之参院議員が24日の参院本会議で「衆院における歴史的な与党過半数割れと我々参議院での論戦によって、自民党が野党7党案を丸のみし、政策活動費の全面廃止に至った。議会政治の進展としても誠に画期的なこと」と法案「賛成討論」で語った。与党側の合意形成への姿勢がうかがえるものになった。
石破総理が与野党問わず、国会論戦で厳しい質問にも正面から自身の言葉で答えてきたことにも好感が持てる。失礼ながら、官僚が用意した答弁書を十分に理解・把握して答弁しているのだろうか?とさえ感じさせられる答弁や先送り、はぐらかしが安倍内閣・菅内閣・岸田内閣には相当あったと感じている。
ただ一点、政治改革で石破総理に認識を改めていただきたいことがある。石破総理は「企業団体献金」に関して、24日の記者会見で「こうゆう社会であるべき、こうゆう政治であるべきということについて企業は参政権を有していないので、そういう立場(声)を反映することができない。だとすれば『憲法21条の表現の自由』に淵源を求めて、企業団体献金というものがあるのではないか」と語った。
参政権がないからこそ、見返りを求めて企業などが自ら求める政策へ政府の政策を導こうとする献金は「参政権の侵害にあたる行為」ともいえるし、見返りを求めるような行為は涜職(とくしょく)罪になる可能性も、また、逆に見返りを求めず、会社の利益につながらない企業献金は企業サイドでは株主に対する「背任行為」になるのではないか。企業献金の根拠を「表現の自由」に求めることには違和感がある。
それ以前に、政党助成金制度創設経緯を検証すれば、企業団体献金は「全廃」にすることが適っていることがわかる。総務省官僚だった小西議員(立憲)は企業団体献金について「企業団体献金はリクルート事件後の1994年(平成6年)政治改革の中で廃止と決まっていた」と国会で指摘した。
小西氏は「このことは、当時の細川護熙(もりひろ)首相が政治資金規正法附則10条の趣旨について、『全面禁止は法律の付則で『5年後に見直す』とした。『激変緩和』の意味と報道インタビューに答えた」と紹介。
また「当時の河野洋平自民党総裁においても『公費助成が実現したら企業献金は、本当は廃止しなきゃ絶対におかしい。しかも、激変緩和のため5年後に見直すと法律の附則に書いた』と衆議院の議長オーラルヒストリー事業において同様の趣旨説明をしていることからも明らかです」と政党助成金制度と引き換えに「企業献金禁止」が約されていたことを明らかにしている。
この説明を踏まえた議論を次期国会で深めていただくことこそ期待する。与野党こえて、国会議員の責任として企業団体献金に国民が納得できる結論を得るよう。3月末の結論を注目したい。来年夏には参院選挙がある。(編集担当:森高龍二)
記事提供:EconomicNews
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