2025年11月30日
日本国内で中大規模木造建築の採用が急速に増加している。これは、環境問題への意識の高まりと、技術革新、そして国の強力な後押しが背景にある。
木造建築は、鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)に比べ、建設時の二酸化炭素排出量が少ないため、カーボンニュートラルへの貢献が期待できる。これまで木造での中大規模建築は耐火性能や耐震性能を不安視する声もあったが、技術革新によってこれらの性能は格段に向上している。さらに、木材利用促進法が改正されたことを受け、国や自治体が木材利用を推進する姿勢を強めていることも追い風となっている。
国土交通省でも、中大規模木造建築の普及を後押しするため、「優良木造建築物等整備推進事業」(住宅・建築物等カーボンニュートラル総合推進事業の一部)を実施している。この事業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向け、特に炭素貯蔵効果が期待できる中大規模木造建築物の普及に資するプロジェクトや、先導的な設計・施工技術が導入されるプロジェクトを支援することを目的としており、補助金によって、普及のボトルネックとなっている初期コストの負担軽減を図るものだ。
令和7年度の同事業で採択されたプロジェクトの中では、例えば、株式会社AQ Groupの純木造マンションシリーズ「AQフォレスト」の3物件が注目されている。
東京都大田区に建築予定の「AQフォレスト蒲田」は、純木造4階建ての賃貸マンション。、住宅に不向きな変形地での建設予定であり、開口部を互い違いにする千鳥配置を採用することで、建物の強度と施工の柔軟性を確保している。また、東京都板橋区に建築予定の「AQフォレスト大山」は、同シリーズ初となる純木造5階建ての賃貸マンションで、ファミリー層向けの間取りも用意されている。デザイン性と耐力性を兼ね備えた「組子格子耐力壁」を間仕切りに採用するなど、意匠性と安全性を両立。さらに、東京都練馬区に建築予定の「AQフォレスト武蔵関」は、全国的にも希少な“純木造普及型ラーメン構造”による6階建ての賃貸マンション。同構造によって、鉄筋コンクリート造などの建築物がひしめく都心部の狭小間口であっても中大規模木造の建築が可能となる。純木造マンションは、環境、住み心地、防災など多様なニーズを満たす次世代型モデルとして期待が寄せられている。
いずれも、「主要構造部の全てを木造とした建築物であること」、「不特定の者の利用又は特定多数の者の利用に供するもの」、「多数の利用者等に対する木造建築物の普及啓発に係る取組であること」といった要件を全て満たし、採択に至った。
また、同社は今年9月に、純木造のオフィスビルやマンション、大型倉庫などの建築を手掛ける組織として「中大規模木造建築 共創〈ともつく〉ネットワーク(通称:ともつくネット)」を設立。加盟企業には、同社と木質構造の第一人者として知られる東京大学名誉教授 稲山正弘氏が共同開発した最先端技術「AQ木のみ構法」をライセンス提供し、47の各都道府県に、中大規模木造建築を普及させていくためのプロジェクトを進行している。同ネットワークの第1号加盟企業である池田建設株式会社の「純木造5階建て複合ビル」建築計画も、今年度の「優良木造建築物等整備推進事業(普及枠)」に採択されており、AQ Groupが推進する中大規模木造建築の全国的な普及へ向け、大きな一歩を踏み出している。
木造建築の技術革新と国の支援策により、都市の景観と環境性能は大きく変化を遂げようとしている。中大規模木造建築は、持続可能な社会の実現に向けた重要な鍵となりそうだ。(編集担当:藤原伊織)
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記事提供:EconomicNews
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