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政府統計はどこまで実態を映しているか。数字の「限界」を正しく読み解く技術

2026年02月17日

「景気回復」の実感がないのはなぜ?政府統計がズ...

 厚生労働省が発表した直近の「毎月勤労統計調査」で実質賃金がプラスに転じたと報じられても、自分の生活実感とのあまりの乖離(かいり)に、首を傾げた経験はないでしょうか。

 スーパーで感じる値上げの痛みと、発表される物価上昇率。これらが噛み合わないとき、私たちはつい数字そのものを疑いたくなります。しかし、そこには統計という仕組みが持つ「構造的な限界」が潜んでいます。統計を否定するのではなく、その限界を知ることで、より正しく社会を捉えられるようになります。

 統計が実態とズレて見える理由には、大きく分けて3つの構造があります。

 1つ目は「サンプリングのタイムラグ」です。家計調査などは数千世帯を対象に行われますが、急激な物価変動や新サービスの普及に、調査対象の構成が追いつかないことがあります。

 2つ目は「集計方法の設計」です。消費者物価指数では、パソコンや家電の性能向上などを「実質的な価格低下」とみなす処理が行われます。これは技術進歩を反映するためですが、実際の消費者の「支出額」とは必ずしも一致しません。

 3つ目は「平均の罠」です。一部の高所得者層や大企業の好業績が全体の平均を押し上げ、大多数の中小企業や一般家庭の感覚を覆い隠してしまうケースです。

 例えるなら、統計とは「高層ビルから見下ろした街の風景」のようなものです。街全体がどの方向に動いているか、どこで渋滞が起きているかという「大まかな流れ」を把握するには適しています。しかし、路地裏で誰が困っているかという「個別の生活」までは解像度が足りず、映し出すことができません。

 大切なのは、統計を「絶対的な正解」として受け取るのではなく、あくまで「一つの傾向を示す定規」として扱うことです。

 数字と自分の実感がズレたとき、感情的に否定するのではなく、「どの層の数字が平均を動かしているのか」を冷静に想像してみる。数字とは「信じる」ものではなく、「利用する」ものとして付き合うのが、現代を生きる賢い姿勢と言えるでしょう。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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