2026年02月19日
今回のニュースのポイント
・利便性の向上:スマホ一台であらゆる申請が完結する一方で、制度そのものが複雑化している矛盾
・運用コストの転換:窓口業務の削減が、システムの保守・運用コストやサイバーセキュリティ対策費へとスライドしている実態
・包摂の課題:デジタル化の恩恵を受けられない層に対する、アナログという名のセーフティネットのあり方
2026年、私たちのポケットにあるスマートフォンは、事実上の役所の窓口となりました。マイナンバーカードの完全搭載と行政手続のオンライン化により、かつての役所での長い待ち時間は過去のものになりつつあります。しかし、画面上で手続が完結する便利さを手に入れた一方で、私たちはデジタルという名の新しい壁に直面しています。
デジタル行政の現状を、最新のセルフレジに例えてみましょう。操作に慣れた人にとっては、有人レジに並ぶより圧倒的に速く買い物を終えられます。しかし、商品のバーコードが見つからなかったり、機械がフリーズしたりしたとき、近くに助けてくれる店員(職員)がいなければ、それはただのストレスでしかありません。行政サービスのデジタル化においても、システムエラーや複雑な入力項目に戸惑う人々が、画面の前で立ち往生しています。
デジタル化の最大の目的は、行政の効率化によるリソースの再配置です。窓口での単純な受け付け作業をAIやシステムに任せることで、浮いた人員を福祉や教育といった、人間にしかできないきめ細かな支援に充てる。これが理想の形です。しかし現実は、システムの不備への対応やセキュリティ対策に追われ、現場の職員が本来の支援業務に集中できていないという本末転倒な事態も起きています。
また、デジタル化が進めば進むほど、それにアクセスできない層との格差が情報の格差から権利の格差へと変質していくリスクもあります。便利さを追求する裏側で、誰一人として取り残さないためのアナログな窓口をどう維持し続けるか。これはコストの問題ではなく、民主主義の質の問題です。
デジタル行政は、単なる手続のオンライン化ではなく、行政と国民の新しい信頼関係を構築するための手段であるはずです。システムに人間を合わせるのではなく、人間の生活を支えるためにシステムがどうあるべきか。2026年の私たちは、便利さの代償として何を差し出し、何を守るべきなのかを問い直されています。(編集担当:エコノミックニュース編集部)
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記事提供:EconomicNews
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