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物価「高止まり」の正体。一度上がった価格が下がらない構造と賃金の壁

2026年03月17日

「給料増でも生活苦」のなぜ。物価の粘着性と実質...

今回のニュースのポイント

・「上昇の鈍化」は「値下げ」ではない: コアCPIの上昇率はピーク時から鈍化しているものの、指数そのものは高い水準で高止まりしています。生活者の実感は「下落」ではなく「高いまま固まった」状態にあるのが統計上の事実です。

・戻らない「輸入コスト」と「物流費」: 円安による輸入コストの高止まりに加え、「2024年問題」対応に伴う運賃や人件費の見直しが重なっています。これら構造的なコスト増が、価格を元の水準に戻すことを難しくしています。

・「3年連続マイナス」の実質賃金: 額面の給与(名目賃金)は上がっていますが、物価上昇に追いつかず、実質賃金は足元まで3年連続でマイナスが続いています。これが「いくら働いても楽にならない」感覚の根源です。

 スーパーのレジで、あるいは外食のメニューを見て、「少し前より確実に高くなった」と感じる感覚は、統計データでも裏付けられています。コアCPI(生鮮食品を除く消費者物価指数)の上昇率は一時期の勢いを欠いているものの、価格の水準そのものは高い位置で固まっており、一度上がった物価が簡単には元に戻らない「粘着性」が鮮明になっています。

 なぜ、物価は下がらないのでしょうか。理由の一つは、企業のコスト構造が一段底上げされたことです。原油や穀物などの国際価格がピークから落ち着いても、歴史的水準に近い円安が続いているため、円建てでの輸入コストは以前の水準まで下がっていません。加えて、物流業界の「2024年問題」に伴う運賃や人件費の見直しも重なり、物流費や光熱費を含む「総コスト」は過去より一段高い状態が定着しています。

 特に小売や外食の現場では、激しい競争の中で「慎重に、かつ断続的に」価格転嫁を進めてきました。一度改定したメニュー価格や、内容量を減らして価格を据え置いた(実質値上げ)商品は、コストが多少下がった程度では元に戻されません。下げるときは需要が極端に落ち込むなどの強烈な動機が必要であり、結果として物価は「上がりやすく、下がりにくい」性質を帯びます。

 こうした物価の動向に対し、家計の「防御力」が追いついていないのが現状です。名目上の賃金は上昇傾向にあるものの、物価上昇のスピードがそれを上回り続けているため、物価変動の影響を除いた「実質賃金」は足元まで3年連続でマイナスが続いています。家計は安価なプライベートブランドへのシフトや、不要不急の支出を削るなどの“防衛行動”を強めており、これが「景気実感の乏しさ」に直結しています。

 今後の焦点は、この「賃金と物価の追いかけっこ」において、賃金が物価を追い越す局面をいかに作り出すかです。単なるコスト転嫁による値上げではなく、DX投資による生産性向上や付加価値の高いサービス提供を通じて、企業の収益改善を賃上げに還元する。この循環が定着しなければ、家計の購買力回復と持続的な経済成長の両立は難しいと言えるでしょう。(編集担当:エコノミックニュース編集部)

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