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経済安全保障とは何か。半導体・エネルギーで変わる国家戦略

2026年04月03日

なぜ今「経済安全保障」なのか?供給網の分断と技...

今回のニュースのポイント

「経済=安全保障」への構造的変化:米中対立や地政学リスクの顕在化により、半導体や重要鉱物などの供給途絶が国家の存立を揺るがすリスクとなりました。2022年成立の「経済安全保障推進法」に基づき、特定重要物資の確保と重要インフラの防衛という、モノと体制の両面から国を守る仕組みが動き出しています。

半導体とエネルギーが戦略の中核:産業のコメである半導体の国内生産(TSMC熊本工場やRapidusなど)への巨額支援に加え、原油輸入の約96%(2024年度)を占める中東依存からの脱却が急務となっています。米国や豪州など中東以外からの原油・LNG調達拡大といった「自律性」の確保が加速しています。

生活コストの上昇と「保険」としての役割:調達先の分散や国内回帰は、物流費や設備投資の増加を通じて短期的には製造コストを押し上げ、製品価格の上昇圧力となります。しかし、これは供給ショックによる極端な物価高騰や社会混乱を防ぐための「社会全体の保険」として機能する側面を持っています。

 米中対立や中東情勢の緊迫化を背景に、経済安全保障という言葉が急速に注目を集めています。その本質的な意味を一言で言えば、経済安全保障とは「国の安全を、軍事だけでなくエネルギー・技術・サプライチェーン全体で守ろうとする考え方」です。先端技術の覇権争いや特定の国による資源の輸出規制などを通じて、「経済的な供給網が止まれば、国民の生活も国家の安全も維持できない」という厳しい現実が浮き彫りになったことが背景にあります。

 この課題に対応するため、日本でも2022年に「経済安全保障推進法」が成立し、国家戦略として具体的な施策が動き出しています。その中心となるのが、半導体、蓄電池、重要鉱物、LNG、クラウド関連、医薬品、肥料、工作機械・産業用ロボット、航空機部品、船舶関連部品、抗菌薬の11分野を「特定重要物資」に指定し、国内生産や調達先の多角化を国が財政的に支援する仕組みです。例えば、熊本へのTSMC工場誘致や次世代半導体を目指すRapidusへの大型支援は、まさに半導体の供給を他国に依存しすぎないための「自律性」確保の象徴と言えます。同時に、日本にしかできない技術を持つことで、他国から必要とされる「不可欠性」を維持することも、重要な戦略の柱となっています。

 また、エネルギー分野も経済安全保障の最前線です。日本は原油輸入の9割超(2024年度で約96%)を中東からの供給に依存しており、その依存度はここ数年95%前後で高止まりしています。紛争リスクを抱えるホルムズ海峡の封鎖や原油高騰は国内の電気代や物価に直結するため、備蓄の強化や再生可能エネルギー、原子力発電の活用に加え、米国や豪州など中東以外からの原油・LNG調達拡大が安全保障の一環として進められています。同法はまた、電気・ガス・通信・金融などの重要インフラ事業者が、基幹設備の導入や保守を行う際に、外国勢からの不当な影響やサイバーリスクがないか事前審査を受ける仕組みも設けています。

 こうした政策の強化は、私たちの生活にも確実な変化をもたらします。調達先の分散や国内回帰は、物流費や人件費、設備投資の増加を通じて短期的には製造コストを押し上げ、製品価格の上昇圧力として働きます。しかし、これは予期せぬ供給途絶によるパニック的な値上がりを防ぐための「社会全体の保険料」と捉えることもできます。一方で、国内での大規模な工場投資は、地方における新たな雇用の創出や技術基盤の再構築につながるという側面も持っています。

 今後の日本の経済安全保障において鍵となるのは、こうした巨額の国内投資をどこまで継続できるか、そして重要鉱物を中国以外から安定的に確保し、国内リサイクルをどこまで具体化できるかです。企業経営においても、短期的な利益追求だけでなく、サイバーセキュリティ対策や在庫の積み増しといった「リスクコスト」を適切に管理することが求められる時代となりました。ニュースを読み解く際、それが単なる価格の変動なのか、あるいは国の供給力や技術主権に関わる話なのかという視点を持つことで、経済安全保障という言葉が、自分たちの暮らしを守るためのリアルな戦略として見えてくるはずです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)

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