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安定供給と脱炭素は両立できるのか 発電所廃止が示す現実

2026年04月15日

今回のニュースのポイント

・四国電力は阿南発電所3号機(45万kW)と坂出発電所3号機(45万kW)の廃止を決定しました。

・両機は阿南3号機が1975年6月、坂出3号機が1973年4月に運転を開始しており、50年以上にわたって地域の電力を支えてきました。

・廃止の背景には、設備の経年化に加えて運転機会の減少や燃料受給の停止といった需給環境の変化があります。

・火力電源が減少するなかで、今後の電力需要増と脱炭素化をいかに両立させるかが電力システム全体の焦点となります。

 電力の安定供給と脱炭素。この2つの目標の両立が、現実的な課題として浮上しています。四国電力は2026年4月14日、老朽化した石油火力発電所2基、計90万kWの廃止を決定したと発表しました。この動きは、日本の電力システムが直面している安定供給と脱炭素の両立という、大きな課題を象徴しています。

 今回廃止が決まったのは、徳島県の阿南発電所3号機(45万kW、石油)と香川県の坂出発電所3号機(45万kW、石油・コークス炉ガス)です。阿南3号機は設備の経年化と運転機会の減少により、すでに2026年1月から休止しており、今後も活用の見込みがないことから必要な手続きを進め、本年6月を目途に廃止されます。また、坂出3号機についても、2027年度下期に隣接工場からの燃料であるコークス炉ガスの受給が停止することを受け、石油専焼への対応が必要になる点や設備の老朽化、需給上の必要性低下も踏まえて同時期の廃止が予定されています。

 日本の電力システムは、天候や時間帯で出力が変動する再生可能エネルギーの不安定さを、出力を自在に調整できる火力発電が調整弁として支える構造で設計されてきました。特に石油火力は、石炭や天然ガスに比べて燃料コストが高いものの、ピーク需要時やトラブル時の「最後のバックアップ」として地域の安定供給を下支えしてきた側面があります。

 一方で、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、石炭や石油火力のフェードアウトは避けて通れない課題です。老朽化し、二酸化炭素排出量も多い石油火力からの撤退は、気候変動対策の観点からは合理的ですが、その調整能力をどう補うかが次の大きな課題となります。

 太陽光や風力などの再エネは天候次第で発電量が大きく変動するため、各地で老朽化した火力の廃止が進む一方で蓄電池や需要側の調整といった投資が追いつかなければ、脱炭素を進めるほど瞬間的な供給余力が薄くなるという事態が起こりかねません。今、起きている現実は電源の漸減と需要増加の懸念が同時に進行していることです。今回廃止される2基は1970年代に稼働を開始し、半世紀以上にわたり地域の基盤を支えてきましたが、需給構造の変化を背景に系統から退場します。一方で、生成AIを支えるデータセンターやEVシフトなどを背景に、中長期的には電力需要が増加方向に向かうとの見方も強く、古い発電所は消えていくのに電気を使う場は増えるという構図になりつつあります。

 高コストの石油火力を減らすことは平時の発電コスト抑制につながりますが、供給の余裕がなくなるほど需給逼迫時の価格急上昇リスクは高まります。この供給リスクを抑えるためには、原発の活用、蓄電池や揚水発電の整備、さらには「容量市場」のような待機電源への報酬制度の確立が不可欠です。四国電力は「引き続き、電力の安定供給に万全を期していく」としていますが、全国的な視点で見れば、どの程度のスピードで火力を減らし、その代わりをどう担保するのかという議論が、今後の日本経済のコスト構造と投資判断を左右することになりそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)

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